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ウザいけどカワイイ後輩と四六時中ダベる日々。  作者: かるたっくす
2年・春――後輩、ときどき押しかけ新妻的な日々
15/57

15.刹那のしおらしさ



 あっという間に放課後、部活の時間になった。

 友達が少ないと騒々しいイベントに巻き込まれずに済むから助かる。

 ……まあ、肝心の部活の方が今日から騒々しくなりそうなわけだが。


「おっはようございまーす! 志賀愛羽、失礼しまーす!」


 噂をすればなんとやら。

 ドアを蹴破る勢いで唯一の新入部員が部室に入ってくる。俺好みの静寂はものの見事に打ち破られた。


「……せからしい」

「おっ、珍しく方言出てますね」

「警察の突入じゃあるまいし、もっと普通に入ってこれないのか」

「え、別に普通じゃないですか?」

「どこの普通だ。体育会系じゃあるまいし」

「なるほど、どちらかといえばここは文化系でしたね。以後気をつけますっ」


 びしっと、小さく敬礼のポーズをしてみせる志賀。

 その後はゆっくりドアを閉めたり、物音一つ立てないようにしてパイプ椅子に座ったりというわざとらしさ。

 ここまで大げさにされると、『文化系ってこんな感じでしょ?』と皮肉られているようで腹が立つ。


「新入部員を簡単にクビにする方法とかないものか」

「なんか、来て早々不吉な呟きが聞こえるんですけど」

「なに、体調不良? それは大変だ、今すぐ帰った方がいい」

「今来たばっかりなのに!? ていうか体調不良なんて言ってないんですけどっ」

「遠慮することはない。なんなら入院してもらっても大丈夫だ、二年ほど」

「先輩卒業しちゃうじゃないですか! 冗談でもやめてくださいよ、そういう意地悪言うの」


 むすーっとふくれっ面になる志賀。願わくは、俺に対する意地悪も是正されてほしいものだが。


「というかお前、入ってくる時に『おはようございます』って言わなかったか?」

「言いましたけど?」

「今は夕方なわけだが」

「その日初めて先輩にお会いしたら、たとえ夜中でも『おはようございます』って言うのが常識じゃないですか」

「いや、俺にとってはだいぶ非常識なんだが……」


 社会人であれば昼間や夕方以降に出社した時などに『おはようございます』なんて挨拶することもあると聞くが、ここ学校だし。

 それとも運動部ではこれが当たり前だったのだろうか。いずれにせよ体育会系に縁のない俺には理解できない律儀さだった。


「中学の時は、そんな感じだったのか?」

「はい?」

「バスケ部だったんだろ。兄貴と同じで」

「えっ――」


 志賀の目が、不意を突かれたと言わんばかりに丸くなる。


「……もしかして先輩、ほんとは覚えて……」

「あ、いや。今日の朝、お前の兄貴から聞いて」

「そう、ですか」


 ほんの一瞬、志賀の顔に悲しげな気配が表れたように見えた。

 けれど確かめられる間もなく、色白の頬には普段通りの笑みが戻り、


「まあ先輩のことですから、どうせそんなことだろうとは思いましたけど」

「なんだよ、その反応」

「なんでもありません。乙女の秘密ですから」


 細い唇の前に人差し指を持ってくる志賀。まったく、垣間見えたしおらしさはどこへやらだ。

 あまり深堀りしてほしくない話題だったのだろうか……まあ、そこまで気を遣う間柄でもない気はするが。



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