表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
31/1337

29 ゴブリンから得たもの

よりたくさんの方に読んでもらえるチャンスがあるという事で、ネット小説大賞にエントリーしてみました!


ステータスのHP部分を修正し、レベルアップ前の数値も表示しました。

『あらかた回収したな』

「大量」

『おう。魔石値が一気に200近く貯まったからな』


 上位種が多数いたとはいえ、雑魚のゴブリンも100匹以上は確実にいただろう。


『しかし、魔獣が全然寄ってこなかったな』

「ん。楽ちん」


 これだけ血の匂いが充満していて、魔獣が感じ取らないことはないと思うのだが。そばに寄ってくると、急に方向転換して去って行ってしまうのだ。知能が低くても、この惨状を目の当たりにすれば、恐怖を覚えるのだろうか。フランが言う通り、回収が楽に済んで良かったけどな。


『新しいスキルもいくつかあるぞ。しかも、面白そうなやつばかりだ』


 今回の戦いで得た物で、1番大きいのは勿論フランの成長だ。ただ、それ以外にも色々手に入った。物理的にね。


 折れたり錆びたりした物を除いても、鉄製、青銅製の武器が50本。防具も僅かにある。まあ、臭いし汚いしで、防具のほとんどは捨てることになったけどな。魔力を帯びたアイテムも少しあったのは、大きい収穫だ。詳しいことはあとで調べよう。


 新しいスキルはこんな感じだ。


 詠唱短縮、軽業、眷属契約、蹴脚技、蹴脚術、死霊魔術、毒吸収、毒魔術、斧技、不動心


 ホブゴブリン・ダークメイジ、ホブゴブリン・ネクロマンサー、ホブゴブリン・グラップラー、ホブゴブリン・グラディエーターという4種から得たスキルだ。


 まあ、問題もあったのだが。


『ホブゴブリンがいたな』

「ん」


 新スキルを提供してくれた4匹は、ホブゴブリンだった。そのステータスは、以前に倒したゴブリン・キング以上だったな。という事は、すでにゴブリン・クイーンが生まれていて、繁殖が始まっているという事か?


『なあ、ゴブリンって、成長が早いのか?』

「うん。10日くらいで、大人になるらしい」

『まじで昆虫並みだな。だとすると、ヤバいんじゃないか?』


 ホブゴブリンの大繁殖の可能性有りか。


『冒険者ギルドに報告に戻った方がいいな。俺たちだけで狩りたいところだが、放っておいたら大きな被害ができるかもしれん』

「ん」


とりあえず、ホブゴブリンの死体だけ回収しようとしたのだが――。


『フラン!』

「ん」


 俺は突進するような速度で、フランに向かって飛びついた。フランは慌てず、俺の柄をガシッと掴む。


「あそこだ!」

「おい、これ全部ゴブリンか?」

「なんだこの惨状は……!」

『手間が省けたな』


 冒険者たちのようだった。数時間前に助けた、駆け出したちの姿もある。彼らがゴブリンについての報告を行い、人員が派遣されてきたのだろう。


 危ない危ない。もう少しで、勝手に動いている場面を見られるところだった。


「お嬢ちゃん! 大丈夫か!」

「怪我は?」

「大丈夫」

「これは……全部お嬢ちゃんが?」

「ん」


 フランが頷くと、10人の冒険者たちは、一様に驚きの表情を浮かべる。


「この数を……1人で、だと?」

「それが本当なら、ランクE……。いや、狭い巣穴ではなく、大軍を1度に相手にするのは、ランクD冒険者並。いや、それ以上だぞ」

「え! ランクD?」

「まじで?」


 なんか勝手に盛り上がっているな。確か、冒険者のランクは、モンスターの脅威度に合わせて決められるんだったか?


 同じランクの魔獣を、十分に準備した上でパーティを組んで相手にして、死なないで対処できるレベル。それと、1つ下のランクの魔獣だったら、単独で相手にできるレベル、だったかな。


 つまり、ランクEの冒険者なら、同ランクの冒険者4~6人でパーティを組んで、脅威度Eの魔獣1匹を狩れるレベルだ。そして、ランクFの魔獣なら、1人で討伐できなくてはいけない。

 

『え~と、ゴブリンは1匹でG、10匹でF、100匹でEだよな』


 1人で100匹のゴブリンを倒したフランは、低く見積もってもランクDの実力があるってことか。しかも、今回は、100匹超えで、上位種を多数含む上、相手に有利な森林で同時に相手にした。それが、冒険者からの評価をやや上げているらしい。


 リーダーらしきドワーフの男性が、仲間に説明してやっている。うんうん。フランが褒められてるのを聞くのは気持ちがいいな。もっと褒めていいんだぞ?


 ただ、フランはそう言った評価はあまり気にならないようだ。ドワーフの言葉を遮って、ホブゴブリンの死体を目の前にドサッと置いた。


「これ」

「これは、ホブゴブリンか?」

「あっちにも」

「しかも、4匹?」

「すでに、巣穴の外に、ホブゴブリンが出ている段階か!」


 どうやら、結構ギリギリの事態らしい。このまま放置しておけば、10日以内に、ゴブリンスタンピード、つまりゴブリンの侵攻が起きるという事だ。


「おっと、すまない。自己紹介がまだだったな。俺はエレベント。アレッサのD級冒険者だ。名前を伺ってもよろしいか?」

「フラン」

「旅の方かな? ここでゴブリンを食い止めてくれたこと、感謝する」

「? 私はアレッサの冒険者」

「む? いや、わしはアレッサに10年以上いるが、お嬢さんを見た記憶がないが……」


 これだけ小さくて美少女で、しかも強いフランを、見逃すわけがないという表情だな。エレベントのパーティメンバーらしき、3人の男たちもうなずいている。もう一つの、獣人たちで構成されたパーティも、同様の反応だ。


「登録したのは昨日」

「は?」

「うそ! じゃあ、ランクは?」

「G」

「はぁぁ? これだけ強くて、G? 何の冗談だ!」

「いえ、必ずしもランクと強さは一致しません。エルフなどの中には、森の中で長年修行して、人間界に出てきて冒険者登録をした結果、ランクGなのに、実際はD相当という者もいますから」

「な、なるほど」

「そうだよな~」

「もう、フランさんたら人が悪いんだから!」


 ああ、結局そういう結論なんだな。見た目は幼くても、成長の遅い長命種族なら、実は10数年修行をしてきましたという設定が成り立つからな。


『こいつら、勝手に納得したけど、訂正しなくていいのか? きっと、フランのことを、若作りだけど実は年増って思ってるぞ』

(別に)


 清々しい程、自己評価が気にならないらしい。残念。こいつらが驚く面が見たかったのに。まあ、説明するのも面倒だし、いいか。


「と、とにかく、クイーンのいる巣穴は、俺たちだけじゃ手に負えない。一旦ギルドに戻ろう!」

「そうだな。悪いんだが、フランさんにも一緒に来てほしいんだがね」

「分かった」

「助かる。じゃあ、戻ろう。事態は一刻を争うからな」

「おう!」


名称:フラン  年齢:12歳

種族:獣人・黒猫族

職業:魔剣士

状態:契約

ステータス レベル:6→12

HP:80→189 MP:71→115 

腕力:45→92 体力:34→74 敏捷:46→82

知力:30→50 魔力:36→62 器用:47→63

称号

解体王、回復術師、スキルコレクター、火術師、料理王

〈New〉一騎当千、ゴブリンキラー、殺戮者


 フランのステータスはこんな感じだ。ステータスの上りがメチャクチャいい。さらに、称号が3つも!


一騎当千:1戦で、同格以上の敵を、単騎で100体以上退けた者に与えられる称号。

効果:HP+20、腕力+20、体力+20。スキル・不退転を獲得。


ゴブリンキラー:同一戦場内において、ゴブリンを100匹以上葬った者に与えられる称号。

効果:スキル・ゴブリンキラー獲得


殺戮者:同一戦場内において、100の命を刈り取った者に与えられる称号。

効果:敏捷+10。スキル・精神安定を獲得。


スキル

不退転:逆境において、恐怖無効、回復速度大上昇を得る。


ゴブリンキラー:ゴブリンに対して、ダメージ上昇


精神安定:殺傷に対しての、精神的ハードルの低下。その後の、精神の安定効果。


 いいなぁ称号。俺も欲しいぜ。剣の体のせいなのか、俺は称号を得られないみたいだからな。それにしても、一騎当千だけが凄まじい。獲得条件も難しいが、これだけでも微チートなんじゃ? っていう効果だ。


 あと、重要なことに気づいたな。今更だが、フランが独自に得たスキルは、俺のセットスキルに含まれない。


 フランが有用なスキルを覚えてくれれば、俺のセットスキルも色々付け替えることができるだろう。


 冒険者と共に町へと向かう道すがら、フランにステータスを教えてやる。


(一騎当千? 激レア)

『そうなのか?』

(英雄の称号!)


 あのフランが興奮気味だ。それだけ嬉しいんだろう。


「なあ、お嬢ちゃん、パーティは組んでないのか?」

「パーティ?」

「おう。もし、誰とも組んでないなら、俺たちと組まんか?」


 なんと、エレベントからの勧誘だ。その眼は、本気っぽい。しかも、その言葉を聞いた他の2パーティも、声をかけて来たではないか。


「ちょっと待った。俺たちだって、狙ってたんだ」

「抜け駆けはいけません。優秀な冒険者は、どのパーティだって欲しがっているんですよ」


 なんか、嬉しいな。フランのことが認められたみたいで。


『だってよ? どうする?』

(私のパーティは師匠)

『俺のことを隠して、他のパーティに加わることも可能だぞ?』

(いい。師匠がいる)

『そうか』


 まあ、俺の能力を見られるわけにはいかないからな。パーティを組むのは難しいだろう。


 今はね。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 百体以上で一騎当千って、名称詐欺だな(笑
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ