1233 黒幕の狙い
フランを襲えと命令されていた? なんでだ?
「こやつらも、理由は分からんらしい。ただ、ドラゴンの殺害が難しい場合は、お主を襲って戦闘行為をさせるようにと言われていたようだ。まあ、黒猫族の子供としか言われておらんかったようだがな」
戦闘行為をさせる? 殺せでも、捕らえろでもなく? ますます意味が分からんな。
「実はな、こやつらには何らかのスキルがかけられておった形跡がある」
「なんらかのって、どんな?」
「視覚の中継をするようなスキルだろうな。中継を使うことで、魔眼などを遠隔発動可能なスキルがあったはずだ」
「気づかなかった?」
「ああ。全くな。隠蔽技術が恐ろしく高いようだ」
男たちに何らかのスキルが掛かっていたことに、エイワース級の魔術師が気づけなかった? 依頼者なのか、その協力者なのかは分からんが、かなりの実力者であるようだ。
「危機察知には反応がない。多分、千里眼系の魔眼だろう。新たなランクAであるお主の実力を知りたかったのではないか? まあ、こ奴らでは実力不足だったわけだが」
なるほど、フランの実力を測るための噛ませ犬扱いだったってわけか。ランクAの地位っていうのは、面倒ごとも引き寄せるってことなのだろう。
メイン目標はビスドラで、ダメそうならフランの実力を測る? 他国の人間が? それに、ランクAにぶつけるには弱すぎないか?
なんか、納得できそうでできない、違和感というか、気持ち悪さがある。もしかしたら、スキルの中継役としての価値しか、見出していないのだろうか?
その後はエイワースが数日かけて全員を尋問をしたが、やはり大きな成果は挙がらなかった。
エイワース自身は非常に楽し気で精力的に働いているようだったので、手加減したということもないだろう。
最後、男たちはホワイトが手配してくれた衛兵に引っ立てられていった。
エイワースは何人かよこせと駄々をこねたが、村にこいつらを残せるわけがない。残したら残したで、エイワースが怪しげな実験を始めるのだ。
他でやる分には好きにすればいいが、村ではアウトである。フランや子供たちの教育に悪いし。
今回の事件の後、しばらくは警護の赤騎士が増員された。被害は出なかったとはいえ、騎士たちにとっては大事件だったからな。
むしろ、村人たちの方があまり気にしていないようだ。レイドスの人はやはりたくましいらしい。
襲撃事件から5日。
本気になった赤騎士たちの警戒網に、新たな集団が捉えられていた。今回は10人の集団であるようだ。
冒険者に見えるらしいが、前回の例もある。冒険者だと決めつけられないだろう。
「フラン、エイワース、ホワイト。今回も出迎えを頼むよ」
「ん」
「任せておけ」
「今回は、荒事にならずに済んでほしいものですがね」
ホワイトがぼやくが、どうなるかね?
新たに村へとやってきた冒険者たちは、全員がかなりの実力者だった。
先頭にいるリーダーらしき男は、ランクB級。他も半数はランクC相当だろう。ランクD、E程度に思える者たちも、魔術師や斥候系の役割なのだと思われた。
それに、見た覚えのある顔がいたのである。
「やあ、先日ぶりです」
「?」
『調査依頼を受けていた冒険者の1人だよ』
「ああ」
エイワースらとともに、村周辺で調査依頼をこなした冒険者の1人である。戦闘力が低かったのでフランはいまいち覚えていないようだが、チラチラとフランを見ていたので俺はしっかりと覚えているぞ。
ロリコン野郎だった場合、どう秘密裏に処理するかまで考えたからね!
「どしたの?」
「仕事ですよ。こちらの方々を案内したのです。またよろしくお願いいたしますね」
どうやら、冒険者ギルドが再び冒険者を派遣してきたらしい。しかも、今回は前回以上の凄腕ばかりだ。
俺たちの想像以上に、国はこの村を重要視しているようだった。
とりあえず冒険者たちを村に通そうとしたんだが――。
「待て。依頼なんぞ聞いていないぞ?」
待ったをかけたのは、エイワースであった。
「依頼票を見せろ」
「いやー、どこやったっけなぁ。荷物の底に仕舞い込んでしまってて、すぐには出せそうにないんですが……。後で見せますよ」
「ふん。今見せろ。見せられんのなら、失せろ」
冒険者たちがムッとするのが分かった。でも、エイワースの言うことにも一理あるよな。言葉は強いが、そこを適当にしてはいけないか……。
少し気を抜いていたかもしれん。
フランもそう思ったのか、エイワースを止めることなく話を聞いている。
それに、もう1つ気になっていることがある。明らかに、観察されていた。フランですら気づいていないようだが、スキルか魔術か、何らかの方法で俺を見ている者がいるのだ。
冒険者たちの誰かか? 見られていることは解るが、どいつかまでは分からない。今のところ、悪意は感じられなかった。俺のことを品定めしているような感じだ。
俺が視線の主を探している間にも、エイワースと冒険者たちの話は続く。
「何を疑っているのか分からないですけど、一度村に入れてもらっていいですか? ここで荷物をひっくり返すわけにはいきませんので」
「別に、ここでひっくり返せばいい。儂らは一向に困らん」
言ってることは融通の利かない頑固爺のようなセリフだが、その表情は優越感に彩られていた。明らかに、冒険者たちを挑発して面白がっている。
次第に、冒険者の口数が減り、いいから入れろと言う感じの言葉を繰り返すだけになった。ここでグダグダやってる暇があるのなら、依頼票を出せばいいと思うんだが……?
エイワースが何があってもここを通さないと分かったんだろう。
「……わかりました。今回は引きます」
「ほう? 何故だ? ここで依頼票を出せばいいだろう? 別にこちらは迷惑ではないぞ? 出せん理由があるのか?」
「……」
あれ? もしかして、本当に依頼票がない? つまり、嘘だった? でも、虚言の理に反応はなかったが……。いや、依頼で来たとしか言ってないか! 誰のどんな依頼かまでは言及してない!
あぶねー! エイワースに助けられたぜ。
今月末、原作16巻と、コミカライズ14巻が発売されます。
各店舗様の購入特典だけではなく、メロンブックス様などでは同時購入特典なども付きますので、気になる方はチェックしてみてください。
コミカライズは最新話が更新されております。
あの謎の満ちた存在が少しだけ登場していますので、ぜひご覧になってくださいませ。
レビューをいただきました。
数年ぶりのなろうで、1000話越えの当作品を選ばれるとは……。
読み応え結構あると思いますけど、お腹パンパンになってらっしゃいませんか?
あと、設定の作り込みの部分を褒めて頂き、私の中の設定厨が喜びに打ち震えております。
ありがとうございます。




