ヨトリとウォルト
「私とウォルトはアクラスウ帝国の貧民街で育ったの」
「貧民街?この帝国にはそんなとこがあるのか?」
まさか帝国にそんな場所があるとはな。知らなんだ。まぁはじめてきたし知らないのも当たり前か。
「あるのよ。貧民街。私とウォルトはそこで育ち、あのおばさんに拾われあのおばさんの経営する孤児院に預けられたわ。まぁヒウアは金を寄付するだけのやつだったけどね。だからひきとられたのと違うわ。ただ預けられただけ。だから私はあいつのことを親ともなんとも思ったことはないわ。ウォルトはヒウアに依存していたようだけど」
ヨトリがウォルトに依存するようにウォルトは拾ってもらったことでヒウアに依存するようになったのか。
「でも孤児院でしていることはひたすら水魔法の練習。もしも才能がないとわかればまた貧民街に捨てられる。だから孤児院にいた奴らは他人を蹴落としてでも捨てられないようにしていた。全く今思い出してもあの頃はクソみたいな毎日だったわ」
ヨトリが天を見上げて行った頃に青のメギスは目を覚ます。
さて、どっちなんだろうか。ウォルトか?それともヒウアなのか?
「こんのクソガキィ!よくもやってくれたわね!拾った恩を仇でかえすようなやつはもう知らん!殺してやるぅ!」
「・・・キナ。あんた達は先に行きなさい。この子のけじめは私がとるわ」
ヨトリが急に俺に言い出すが俺は
「ヨトリ。何を言っている。やつが青のメギスならもう」
「いいから行きなさい。効率よく進むためにもはやくよ。ミワ!頼むわよ」
ヨトリは珍しくミワに頼み込みミワが俺の手を掴んで
「兄様。ここはヨトリに任せていきましょ。あいつだって何か考えがあっていってるんだろうし。それにヨトリは簡単に死ぬやつじゃないわ」
「・・・わかった。ヨトリ!ちゃんとケジメつけていきて俺たちのところに帰ってこいよ!」
俺はヨトリに向かって叫ぶとヨトリは軽く笑って
「当たり前でしょ。私を誰だと思ってるの?こんなおばさんくらい楽勝。それより早く行きなさい」
ヨトリは俺たちに言うと俺たちはヒウアの背後にあるドアから出て次の部屋へと向かった。
キナ達がヨトリとヒウアを残していった後ヨトリは
「ウォルトなんでしょ?」
「・・・やっぱりわかっちゃうか。そうだよ。私はウォルトだよ」
「何であいつらの前でヒウアの真似を?」
「そうね。あいつらには迷惑かけたしこれ以上迷惑かけるわけにはいかないわ。そうでしょ?」
ウォルトはヨトリに言うとヨトリは「そうね」と答えた。




