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15.それでも、私のお姉様ですから

 アルヴィン様はライラ様に殺されるとナルトリア

王国に謝罪に行くことを拒否しました。


 ライラ様って、本当に勇猛果敢で剣の実力は騎士団顔負け、曲がったことは大嫌いで裏切り者は決して許さないという、そんな人物像が会ったこともない私にまで伝わっているくらい怖そうな人ですからね。


 そんな人、私だってわざわざ会いたくはないですけど。アルヴィン様はライラ様の婚約者ですし、王族ですし、国の揉め事の原因になったのですから会いに行きませんと……。


「まったく、我が息子ながら情けない。ライラ殿のような胆力のある女性と結婚すれば、多少はマシになると思うたが、その前で躓くとは」


 あー、陛下はアルヴィン様の性格を矯正したくてライラ様と婚約させたのですね。

 それって、完全に裏目じゃないですかー。

 いや、確かに私のお姉様とキスするなんて読めないでしょうけど、厄介な展開になったものですよね。


「フェルナンド殿、毎度のことで申し訳ないが、ナルトリア王国とのこの一件――」


「はい。私がライラ殿下と話し合いましょう。――とはいえ、アルヴィン殿下からの直接の謝罪なしに許されるとは思えませんが」


「それはもっともな意見だ。もちろん、アルヴィンも同行させる。逃げぬように近衛隊に監視させてな」


「はぁぁぁぁ!? ぼ、僕もぉぉぉぉぉぉ!?」


 思ったとおりというか、何というか、フェルナンド様がアルヴィン様の尻拭いをすることになりました。

 陛下も申し訳なさそうな顔をしています。


 アルヴィン様は自分も謝罪に行かなくてはならないと聞いて、声を張り上げて抗議していますね。

 いや、当たり前でしょう。それは……。


 しかし、ライラ様の怒りの矛先は恐らくイザベラお姉様にも向きますよね。

 もしかしたら、お姉様の首を要求するなど物騒なことを言われるかもしれません。


 そんなの、私は――。


「陛下、今回の件は姉であるイザベラの不始末でもあります。……ですから、その、私もフェルナンド様に同行させてください! ライラ様に謝罪する機会を頂きたいのです!」


 気付けば、国王陛下にフェルナンド様と同行させて欲しいと頼んでいました。

 このままだと、イザベラお姉様が殺されてしまうかもしれませんし。

 それは私としてはあまりにも辛いのです。


「ふむ。それは構わんが、意外だな。シルヴィア殿、お主の姉は婚約者が妹に奪われたと吹聴するほど、お主のことを毛嫌いしておるのだぞ。……それでも姉のために謝りたいと申すのか?」

  

 国王陛下は本当に意外だと思われているのでしょう。

 私がお姉様のためにナルトリア王国に行くなんて、姉妹仲が悪いはずなのに何故なのかと。

 

 ですが、それは誤解です。


 だって、私はこの前まで姉妹仲が悪いなんてこれっぽっちも思っていなかったのですから。


 むしろ、私は今でもイザベラお姉様のことが大好きです。

 じゃないと、お姉様の服を直して着るとかしませんよ。

 お姉様の身代わりとして辺境にお嫁さんになりになんか行きませんよ。

 美人で格好良くて、社交性もあって人気者のお姉様から悪口言われたり、魔法で攻撃されて、こんなにショックなんて受けませんよ。


「本当はイザベラの言うとおり、私が悪いかもしれないのです。私が姉のことを好きすぎて色々と見えなくなってしまっていた可能性がありますから。もちろん、姉のしたことが完全に許されるはずありませんが、命だけでも救えるように尽力したいです」


「う、うむ。シルヴィア殿が姉のことを好きだということは通じた。大賢者の血を色濃く継いだお主なら大丈夫だと思うが気を付けて行きなさい」


 ということで、私はイザベラお姉様の命だけでも守りたいということで、フェルナンド様に同行することとなりました。

 

 ですが、お姉様にとってそれは屈辱以外の何ものでもなかったみたいです――。 



 

実はシルヴィアもかなり変な性格です。


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