生きたい
『生きたい』
生きたい
もう
生きてるのに
ふと垂らした指先が
冷たい水に触れるように
私の記憶が
未来に繋がる時
生きたい
生きていたい
そう思う
毎日を苛ついて過ごす
消すために車を走らせる
サービスエリアにたむろする人達
哀しみを誤魔化しているように見える
手と手を繋いで
輪になって
それでなんになる
なにが消えるというの
私は消さない
ずっと苦しんでいる
苦しみたくはない
ただ消さないだけ
心臓の痛みが時を告げる
どこまで
どこまで
どこまでの時間なのか
可愛い白いもふもふした長い魚を抱いて
眠ろうとするのだが
消さない苦しみが私を眠らせない
魚は逃げて
私は逃げ遅れる
きっと眠れないのは私だけじゃない
きっと誰もが消せない苦しみを抱いている
そんなの私には関係ない
これは私の苦しみでしかない
山の稜線を
白く朝日が染める
私の人生の一日が
性懲りもなく始まる
生きてるのに
なぜまだその上に生きたいと願うのか
背中から私に鎌を突きつけている死神を
抱き締めたい
生きていく
生きていく
生きていく
生きていきたい
私が生きていくのは惰性ではない
そう思いたい
フィクションです




