生者
『生者』
生者の怨念は
死人より強いものだが
突発的に鳴る木魚の音が露わにするものは
悲劇的
彼我彼我彼我
生者生者生者生者 詰め込まれた満員電車の中に
溢れ返り 覚醒する 寝息の群れよ
転げたガチャガチャマシーンの カプセルの中の やすけき群れの
青く燃える温度なき焔の中に 迷い込んだ一人だけの女よ
おまえは生きながら 死人に犯されているのだ
ああ、鳥よ!
青い炎の囀りよ!
太陽のソーセージ
双子座の間にある。…。!。
噛み 咬み! 犇めく金平糖を掻き分けて
やぶれかぶれの破れ傘を突き破って咲く大輪の花よ
生者よ生者よ!
燃える シビンを投げろ
金星の輝く空に向かって 狼の遠吠えのように投げつけろ
戻ってくる 戻ってくる 臭い巨人の大足に
踏まれたら 漂う流星になればいいのさ
黒板の上を引きずられる聖者の爪の音を聞いて
つまようじのおばけよ、舌を出せ!
生者よ生者よ生者よ!
死人を超えてそこに咲け
たとえ何万光年もの未来を旅しようとも知れぬ宇宙に突き当たって何万人ものインベーダーに取り囲まれて嘲笑されようともおまえの見るおまえの光! 存在の光! 欲望を超えた光!
囀りの光に一瞬の花を咲かせて咲き、裂き、割き、先のほうへ、。! ぺけ! 7234! □□□□! 超えようとも! たとえ超えようともだ! やがておまえは戻ってくる! 安ウイスキーの小瓶を抱えて戻ってくる! だから
生者よ!
群れるな ただ、蒸れよ
星の形をした銀のペンダントの上で
今、跡形もない流星を追い回し、虚しい空気の怨霊に耳を傾け
始発駅と終着駅のあいだを、細い黒線で結ぶのだ
ああ、北海道よ
雪原に佇む私の母のような狼よ
境界線を突き抜けて生きよ
まるいあの空に
バッテンをつけて笑え
生者よ
我よ
犬と猫とのあいだに置いたミアキスを置いたがゆえの中途半端がゆえの置いた中途半端に
吉増剛造さまの物真似をしてみたつもり……




