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自分の宇宙人性ぐらい
『自分の宇宙人性ぐらい』
どうしても愛してるマイ宇宙が
汚れるのを他人のせいにするな
自分の宇宙人性ぐらい
自分で守れ
あほたれよ
『わたしが一番緑色だったとき』
わたしが一番緑色だったとき
みんなは肌色になっていった
やがて肌色ということばが差別用語と叩かれるようになっても
わたしにはちっとも関係がなかった
わたしが一番緑色だったとき
みんなは顔を真っ黒に塗りはじめた
やがて白い顔になったみんなが一斉に同じ方向をむいても
わたしにはちっとも関係がなかった
わたしが一番緑色だったとき
宇宙人の色は銀色らしいと囁かれはじめた
やがて地球人は広い宇宙を孤独に漂っていることが論証されても
わたしは変わった色の宇宙人と呼ばれつづけた
ああ
今はカビのような緑色のわたし
若くて一番きれいな緑色だった頃の写真を眺めながら
でも緑色なんだよねと呟いた
茨木のり子様のパロディーです




