バジリスク
『バジリスク』
私はバジリスクの目を見たことがある。
石のように固まるしかできなかった。
青い瞳が何も映さなかったのは覚えている。
私を捕らえた虚空の純粋に、私の宝石は、白骨の表面のようにパラパラと、崩れていった。
バジリスクは夜空に浮かんでいる。
おおきなその羽根を見るものは少ない。
いつもは優しくありふれたもののふりをしているのだ。
正体に気づいた者の頭上へ髑髏色の翼を広げて急に襲いかかってくるのだ。
既に何を書いているのかわからない。
石にされた私の脳髄からは学校教育が抜け落ちた。
私は石像ですらなくただの石ころにされて転がった。
そして知ったのだ、メデューサなどどこにもいないことを!
この世にはただバジリスクだけが存在している!
この世にはただバジリスクだけが存在している!
この世にはただバジリスクだけが存在している!
この世にはただバジリスクだけが存在している!
他には何もないのだ。
しかし私は何も覚えていない。
私の記憶は植えつけられたものにすぎない。
この詩もバジリスクの意思によって書かされているものだ!




