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自虐の海
『自虐の海』
さらさらと
さらさらららと
遠くまで
流してしまおう
この自虐の心を
目の前に広がる自虐の海へ
小石のように投げ飛ばそう
そうしたら
いつか自分を好きになれる日が来るかな
痛めつけられた
眉を吊り上げた自分に
踏みつけられた
泣き声を高くあげる自分に
虫が床や壁を這い回る部屋で
膝を抱いてうずくまる自分がいた
天井は雷の音を鳴らして
いつまでもその空耳に自分を怯えさせていた
さらさらと
さららららら〜と
静かに流す
この心は今
おクスリに支配されて凪いでいるだけ




