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鼻歌
『鼻歌』
鼻歌
唄えば
とりこになって
遠い
お寺の
鐘が鳴る
空気
響かせ
鐘成法師
唄い
祈るは
金成法師
ねこが
続いていく
どこまでも
ムカデのように
かわいく足並み揃えて
いぬは
どうしてる
今頃どこで
どうしてるのか
姿をみせない
きっとどこかで
まるいおおきな
岩になってる
ひとは
鼻歌を唄い
ただ歩いていく
なにもないところへ向かって
さまざまに
列はつくらず
歩き続ける
赤い火が見えてきたら
唄うのをやめて
少しだけの笑顔を浮かべる
さかなのように
翼あるさかなのように
歌を閉じて
ただその場所へ
黙って歩いていく




