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こんなのが書きたいからって
『こんなのが書きたいからって』
こんなのが書きたいからって
書かなくても死なない
あんなのが読みたいからって
読まなくても生きていける
でも書きたいんだ
読みたいものを、この手で
まだ今はここにないものを夢というなら
夢じゃないものをここに置きたいんだ
街へ出れば人の海
くらげも泳ぐ人の海
こんなに水がたくさんあるなら
あたしひと泡消えたって、なんてことない
食って、眠って、やるだけの毎日
そこに意味を加えたいわけじゃない
ただ笑う自分が見たいんだ
こんなのを書いたからって
永遠には残らない
あんなものを読めたからって
読んだらおしまい
でも書きたいんだ
読みたいものを、この手で
人の一生が夢だというのなら
覚めない夢をここに置きたいんだ
エアーズロックに陽が当たる
オレンジ色の笑顔を浮かべて
立ち上がれ




