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しいな ここみ 詩集 『ラヴの大爆発』  作者: しいな ここみ


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ダサいTシャツが着られない

 『ダサいTシャツが着られない』



ダサいTシャツが欲しい

ダサいTシャツを

ダサいTシャツと認識しながら

ダサいTシャツを着たい


ダサいTシャツが着られない

ダサいTシャツを

ダサいTシャツと知りながら

ダサいTシャツを着る勇気がない


それでいて私

ダサいTシャツを着ているのよ

ダサいTシャツを

ダサいTシャツと気づかずに

カッコいいTシャツを着ているつもりで

ダサいTシャツを着ているの


笑えるほどダサいの

ダサいのはTシャツ以上にこの私

ダサいTシャツは

ダサいTシャツだなーと

ダサいTシャツを笑ってほしいから

ダサいTシャツを着るものなのに


私は笑ってももらえないの

ダサいTシャツは笑ってもらえていいな

ダサいTシャツいいな

ダサいTシャツいいな

ダサいTシャツを私も着てみたいけど

ダサいTシャツを着られるほど私はお洒落じゃないの


明朝体で『ヘミストリン』とか

筆記体で『私の心はもう店じまいよ』とか

そんな文字の描かれたダサいTシャツは着られなくて

ただ慎ましく

地味なだけの

真にダサいTシャツ

私に似合ってる




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― 新着の感想 ―
[一言]  世の中には、ダサかっこいいというものがあるのです。  ラインが難しいですし、線引きもひとそれぞれ(汗)
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