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かみ
『かみ』
草の陰で 含み笑いする太陽に
月はゆっくり 雲をかざして近づいた
露がしたたる 風の端っこから
ぼくは見つけた かみのことば
意味わからなかった かみのことばに
かみつくみたいに 赤い舌を伸ばしたら
溢れる水に 巻き込まれ
あまいような愛を 味わうことができた
そんなぼくを見て 太陽はアハッと笑ってくれた
その背後で月が 意味ありげにウィンクしてる
風はしたたる水を止めて ほっとしたように
優しくぼくを見た 壊れてしまわないように
意味がわかったら かみのことばが
コミックみたいに かんたんになってしまうから
溢れる水を せきとめて
にんげんの範囲で ぼくはかみになる
逃げる必要はないんだ
狂う必要もない
ただ海まで走っていって
かみとひとつになればいいんだ
そうだそうだ
ぼくは海なんだ
そしてかみなんだ
かなしみなんかなくなれ




