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さすらいの高野豆腐
『さすらいの高野豆腐』
水につけられ
戻されているうちは束縛されているのだ
さすらえ
高野豆腐
さすらえ!
高野を!
でも
どうすれば?
『荒野の高野豆腐』
さすらう
高野豆腐は
ひからびた荒野で
迷っている
自分もひからびたほうがいいのだろうか?
空気を
読んで
『しっとりとした荒野』
荒野は
意外と
しっとりしていた
ざらついた
荒れ果てた大地のように見えて
おばちゃんの肌を思い出させる
白い荒野は
近くで見ると
キメが細く
もち肌だ
そこにいんげんを置いてみる
いんげんはとても嬉しそうに
緑色の若芽を覗かせた
血を吸って
膨らむ
雌蚊のように
若々しい




