52・そして、海戦が始まる
【短編】高度に発達した魔法は科学と見分けがつかなかった
というファンタジー作品も書いたんだ。
時間がある人はちょっと寄り道して見てください。
第二次日米戦争は日本側も突然の開戦であったが、そうは言っても南京政府と戦争状態にある交戦国。
戦争準備は一応整っており、一から準備したり、議会がどうのと騒ぐことなく軍を動かせる。
だが、米国ではそうもいかない。
大統領はさっさと軍を動かしたがったが、いくら報道を規制してもすべての情報を止める術はない。
何なら、すぐ隣から簡単に入って来る。それも、電波も紙も不要だ。隣の家に聞けば良いのだから。
そう、ルーズベルトは英連邦であるカナダを過度に警戒しだしていた。
カナダにはフランス系と英国系のグループが居るのだから仲違いさせれば良い。
のだが、今の米国にはそれは不可能な事だった。
英国と米国は一触即発の状態だし、独仏は戦争状態であり、米国はドイツ側。
つまるところ、カナダ内で争っている場合ではない。何なら、自国の脅威となるその工業都市が目の前にあるのだから、軍事力でつぶせないにしても、ストライキなどで妨害できないかと考えるのは当然である。
カナダには英仏軍は入ってきてはいないし、カナダ軍自体も米国に比して規模は小さい。
そんなカナダ西海岸に日本の方から不思議な筒が届いた。
「形状がフィットするからと言って脚において撃つな」
そんな警告書きがある変な筒が。
大半は鉄道で東部へと運ばれていったが、一部はバンクーバーに輸送された。
とはいっても、いつ何に使う物かは未だ誰も知らない。まだまだカナダは平和だった。
そんな1942年5月。
何とか米海軍は真珠湾へと艦隊を進めることが出来た。
今の米国では海軍は非常に不人気である。なにせ、日本軍に撃破された艦隊はそろって日本の軍門に下り、旅順にあるのだから。
しかも、戦争が終結したのちにも帰って来ていない。
乗り組んだ海兵の一部は帰ってきたが、まるで別世界の話を始める始末で、周りの人は理解が出来なかった。精々、ルーズベルトがウソツキという洗脳をされたのだろうと想像できるくらいだった。
そう思われるように、連日新聞やラジオは上海派側の支那情報を流すのだから仕方がない。
しばらくは兵士たちの帰国も続いたが、いつのまにやら逆に満州へ逆戻りしていく者が増える。
ついていく者が少なかったから良かったが、ここで家族が揃ってついていくようだと大問題だっただろう。
そんな社会情勢なモノだから、海軍自体に問題があるという疑惑がもたれるようになる。出来れば海軍には入りたくないと。
ルーズベルトは必至で擁護するが、さすがにこれだけは彼の言う事を聞く国民は少なかった。
「ニミッツって誰?そんな軍人知らんし、ソイツが海軍でおかしな東洋思想をひろめているならそれこそ入りたくない」
そんな逆効果すら招いていた。
そんな不人気な海軍である。
今回、空母部隊の指揮を任されたハルゼーもいわば「おかしな東洋思想をひろめる危険人物」なのだが、あまり知られてはいない。
史実とは違い、日本訪問で大変感動する出来事ばかりだったらしい。その為、国の為だから戦うが、果たして大統領の言う事が正しいのか自分の目で見てみたい。
それが彼の偽らざる本音だった。
そして、大統領や海軍首脳部の唱える空母無用論にも批判的だった。
彼らに言わせれば空母というのは着弾観測機を敵の妨害から守る補助も補助。出来ればそんな無駄なモノは陸から飛ばした飛行機や飛行艇で賄いたいなどという寝言を言っている事が大変不満だった。
その為、新鋭戦艦4隻という前進艦隊は空母を付けず、旧式戦艦6隻で構成された主力艦隊のみ空母が1隻配されただけである。
首脳部曰く、27ノットも出る艦隊が走り回れば航空魚雷や爆弾など東洋人が当てられる訳がない。ボーイズの命中率はいかほどだ?
そう言っているが、直近の演習で先の日本沖海戦で戦艦の測的能力を破壊した戦法を再現して見事、新鋭戦艦1隻をガラクタ判定に出来たハルゼーには、自分達に出来ることが日本に出来ることも分からない無能には何を言っても無駄だと、諦めるしかなかった。
そして、日本軍はハワイ攻撃計画のために多数の空母を量産しており、大編隊で殺到されれば、撃沈は無理でも砲戦を不能にすることはまず間違いなく可能だと判断しており、とにかく敵の警戒網を掻い潜って日本戦艦の目を潰す事を最優先に考えた。
その作戦案自体は艦隊でも反対意見は無かった。
この艦隊に空母を理解するものが他に居たら、違う意見が出たであろうが、補助の補助でわざわざ敵主力を減らしてくれるなら大歓迎。それが、米艦隊の首脳陣が思った事だった。
そんな事とは知らない俺たちは、真っ先に障害となる空母を潰す事を考えて行動する作戦を実行していた。
空母が双方に居るんだから、まず潰すのは艦隊の目であり、傘である空母。そんなの万国共通だから。
厳重な警戒網を敷いて待ち構えたのだが、敵は予想通りにマリアナへと現れた。今回はグアムを奪取してフィリピン奪還を目指すという、史実に近い戦略であるはずという乃木さんの予想が当たった。
俺は、ドーリットル隊が来ないか東北や帝都への警戒を発令させたんだが、空振りに終わってしまった。
米艦隊もさるもの、しっかり空母艦載機で索敵を行い、こちらの警戒網つぶしをやって来た。
そのため、会敵後真っ先に空母を攻撃するために攻撃隊を差し向けた。
新型戦艦らしき大型艦を含む艦隊がより近くに居たが無視した。
対して、米側は戦艦部隊へ攻撃を仕掛けて来た。
戦艦部隊の上空警戒に当たっていたゼロ戦隊が迎撃に当たったため、被害は大きくなく、急降下爆撃や雷撃自体も無かったらしい。
小型爆弾をばらまいて来たので避けきれずに武蔵、陸奥、土佐の3隻が被弾し、レーダーや測距儀、高角砲などに被害を出してしまう。予備測距儀や複数ある中で生き残ったレーダーを使って何とか以後も活動は可能と判断されたが、戦力低下は起きている。
日本側は真っ先に空母を狙い。数で圧倒したため、瞬く間に飛行甲板に穴が開いて戦力ではなくなった米空母。
攻撃に加われなかった後発隊は近くに居た戦艦部隊に襲い掛かって破壊の限りを尽くして引き上げた。
辛くも生き残ったハルゼーは思った。
「何が戦艦だ。時代は空母なんだよ!ステーツも終わりだな」
何とか動く空母で漂流しだした戦艦の乗組員を救助すると東ヘは戻らず西へ進路を取る。
予想通りやって来た攻撃部隊に白旗を振ってさっさと降伏する道を選んだ。
俺はハルゼーの調書を読んで驚いたな。この海戦、ハルゼーがもっと権限もって作戦立案と指揮を任されていたら手ごわかっただろう。
まあ、さらに驚いたのは、レキシントン型2隻に九六艦戦積んでサッサとハワイを落そうぜと騒いでいる事だ。
大連でマッカーサーやニミッツと意気投合してしまった。口数は少ないが、帰国の機会を失い、フィリピンに留まっていたアイゼンハワーも居る。
このメンバーで満州国軍作ったら最強じゃね?




