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49・そして、技術は進歩する

 1941年、とうとう戦艦が相次いで就役した。


 1番艦は大和。2番艦は武蔵と史実通り。


 寸法は史実通りだが、装甲厚が防盾で100mm、舷側で50mmほど薄くなり、主砲は42cmの予定が46cmへと変更され、数の不利を威力で補う事になった。日本が史実ノースカロライナな事やってるよ・・・


 そして、副砲は左右舷各1基の15.5cm3連装砲。背負い式に搭載するのは東ロシアと共同開発した12.7cm高角砲だ。


 副砲はいわゆる最上砲そのままらしい。この砲はこれから建造する巡洋艦の主砲となるもので、射程が8インチ級と同等であることから、重巡洋艦の建造をやめて、この最上砲で統一するらしい。


 高角砲はフランス系の自己緊縮式製法を採用している。でっかく長いのが大好きな東ロシアの趣味によって55口径12.7cm砲となったが、砲身重量は既存の鋼線式であれば45口径程度に相当するほど軽い仕上がりだとご満悦だ。


 史実では秘匿された主砲口径。この世界では大々的に報道され、横須賀では甲板上を一般公開してたくさんの来訪者でにぎわった。当然、各国駐在武官も訪れて主砲を熱心に観察していたほどだ。


「米国はどうやら戦艦建造計画を大幅修正するようですね。ノースカロライナ級4隻の後に予定していた建造計画をいったんキャンセルして、16インチ標準戦艦を18インチ連装4基へと変更するようです」


 日本が16インチ超の主砲を搭載する戦艦を建造することは建造中から公表していた。


 これは英国との話し合いで決まったもので、英国も日本の公表に従って建造に入っていたキングジョージ五世級を計画発表時の15インチ3連装から16.5インチ3連装へと変更している。もともと16.5インチで設計していたんだろうけどね。


 こうして、日米戦争頃には米国の戦艦計画も修正に入り、昨年から新型戦艦の建造がスタートしている。


 そして、東北沖海戦の結果、空母が案外役に立たなかった事から、空母計画は縮小され、10隻を建造するとしていたものが4隻まで減るらしい。その分、6隻を予定していた新標準戦艦計画は10隻に増えている。


 対して、日本は空母を最優先で建造中だ。


 海戦の結果がどうあれ、日本は空母でもってハワイを攻撃する計画を策定しているので、その計画に必要な空母数を確保する事が先決だった。


 米国の場合、日本攻撃には満州や南京政府領から爆撃機を飛ばす算段であり、わざわざ損失覚悟で日本近海まで空母を押し出してくる必要性があるとは考えていないんだろう。


 この辺り、空母に対する日米の違いが出た。


 実際、泥沼化している南京政府との交戦には次々米国の新型機が現れて来ており、戦闘機も旧態依然のモノから九六式戦闘機や九六艦戦と渡り合える機体へと変わってきているらしい。


 ちなみに北伐だが、南京軍の米人義勇兵よろしく、北京政府軍の機甲部隊は九五式軽戦車を装備する戦車師団を中心に、日本人義勇軍が参戦しており、地上での戦闘は完全に北京政府優勢だが、南京軍は士気は低いんだが、とにかく数が多いので南京攻略まではたどり着けていない。連中、黄河の堤防切って洪水引き起こしたしな。


 その北京政府軍には英国製戦車も配備されて試験評価中だが、まともに動けているのがバレンタインとかいう戦車くらいなんだが、英国、大丈夫なんだろうか?


 最近は九八式中戦車に触発されたらしく、バレンタインと同じ6ポンド砲を装備した巡航戦車を開発しているらしい。ちなみに英国の6ポンド砲と日露の57mm砲は同じ弾を使う事が出来る。


 そんな支那戦線では、九八式双軽が猛威を振るう以外、いつもの日常が繰り返されているだけというのが現状だ。南京政府は積極的に戦争する気があるんだろうか?


 そんな1941年の大事件は英国のイラン侵攻だろう。


 支那で実戦テストをして信頼性の高いバレンタイン戦車をドッサリ投入して行われている。


 というのも、イラン北部にソ連軍が入り込んできているらしく、ソ連の南下を防ぐために保護占領との名目で侵攻に至ったらしい。


 この英国の行動がソ連を刺激し、戦争状態ではないが、いつ開戦するか分からない状態を作り出してしまう。

 その英国に接近しようと試みたのがドイツだが、にべもなく拒否される結果となった。


 1941年の欧州情勢はフランスとドイツは国境全域で交戦が続き、マジノ線の突破が出来ないドイツ軍。


 上空ではフランス空軍も奮戦しており、ドイツも簡単に制空権を奪える状態にはない。


 というか、大量に物資を注ぎ込まれたハンガリーはモノは溢れているが特に航空戦力が整っておらず、ドイツは空軍の多くを東部戦線に振り向けざるを得ない事も大きな要因だろう。


 しかも、オーストリアの一部を狙うイタリアにも警戒しなければいけない。


 その結果、フランスは何とか現状維持を勝ち取っている状態だ。


 そのフランスもさすが、ルノーFTを生み出した国だけあって、わずかな期間で旧態依然とした短砲身戦車からⅢ号戦車ばりの対戦車戦闘可能な戦車へと転換している。


 そしてとうとう出現したKV1とT34。


 ドイツ軍の戦車が軒並み歯が立たずに敗退しているはずだが、主力戦車を米国からの供給に転換してドイツは既に次世代戦車の開発に傾注していたらしい。


 ヒトラーの大好きな重戦車開発が次々と行われている様で、第一弾のティーガーが即座に東部戦線に登場、KV1を撃破して回った。


 その小型版も開発されており、Ⅴ号戦車を名乗る史実にはない戦車。48口径7.5cm砲を装備してティーガーの露払いを行う車両らしいソレも投入され、T34を蹴散らしているらしい。


 どうも、Ⅲ号戦車の次世代として開発が行われた30tクラスの戦車で、Ⅲ号やⅣ号と形はほぼ似通っている。


 まあ、米国が喜々として5cm砲戦車を採用した頃には、ドイツでは7.5cm砲を搭載する戦車が開発されていた訳だ。ご愁傷様。


 だが、米国も指をくわえてみていた訳ではなく、独自にⅣ号戦車を自国製主砲に転換して40口径75mm砲を備えた戦車を開発している。


 この情報は伊藤さんが張り巡らした諜報網や満州派から入って来ており、東ロシアが激オコだ。


「なぜあの時75mmにしなかった?」


 と盛んに言って来るらしい。


 だが、20t級で400馬力のエンジンなのだから、そこは仕方がなかった。


 そして今度は、液冷化して過給により600馬力にまで引き上げられたエンジンを用いて、快速戦車にしようと言い出した。


 砲は高射砲や野砲を転用すればどうにかなるので開発は簡単だ。だが、陸軍は75mm野砲から10cm榴弾砲へと主力を転換しようとしていた。


 戦車専用砲として今後開発、製造が必要になる。


 そこに、野砲や榴弾砲は製造していないのだから関係がないはずの南部さんが一つの提案をする。


「駆逐艦や警備艦に採用する10cm砲なら余剰生産能力あるんじゃね?」


 と言ったのだ。


 ロンドン条約を逃れる1000t以下クラスの小型駆逐艦や警備艦の火力増強用に76mm砲より威力を増した10cm砲が開発されていた。


 九八式54口径10cm高角砲というソレ。


 だが、条約自体が無効化されたので搭載するのは警備艦だけ。


 当然の様に飛びつく東ロシア関係者。


「T55が10年早く登場しちゃうのか」


 そんな事を言う南部さんだが、アンタが挑発したんやんか。


 

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