幸せ
「わ、わしは何もしておらん!」
「じゃあ、なんでこんな所に! ……って王女様?」
衛兵に剣を突き付けられた信介がオロオロしながら質問に答えていた時、衛兵と助産師達は気付いた。
王女の意識が無くなっていることに――
「王女様!?!?気を確かにっ!」
「……………………」
「王女様!! 誰か! 回復師を!!」
一気に緊張感を高めた室内に、え、と振り返った信介の目には写ってしまった。
「どうして……どうして…………」
それはあの森で何度も顔を合わせた可憐な女の子。今も尚健在する三つ編みに思わず涙をうかべてしまう。
「あの子は、あの子は元気になるのか! なぁ衛兵さん! あの子は、あの子はっ!!」
「鬱陶しいぞ! 黙れ!!」
「ぐはっ!!」
縋るように衛兵の服を掴む信介に振るわれた剣の柄は首元にヒットし、一気に視界が揺らぐ。
「お前はひとまず牢屋に送る! 話は後だ! まずは王女様の――」
「ま、って、くれ……あの子は……あの子の……笑顔が……………………わしは………………」
霞む視界が捉え続ける。
あの子の顔を、あの子のつむらさっている目を、あの子の血色の悪くなった唇を、あの子の真っ白なその頬を――
思い出す。
~~~~~~~~~~~~~~~~~
「ねぇ、あなたにとって幸せってなぁに?」
「幸せ……? そんなもの、人によるだろ」
「もう! 君の答えはいっつもつまんないなぁ! 違うでしょ? 幸せは――」
「――は? 何言ってんのお前」
「えええ!!」
~~~~~~~~~~~~~~~~~
「わしが……わしが間違えてた――」
懐かしいあの子の驚いた顔と共に、八十年分の涙が押し寄せる。
「幸せは……好きな人の、大切な人の……………!」
「!?」
弱った脚に力を入れ直した信介は、衛兵の胸ぐらを全力で掴む。
何だその力!?と老人を甘く見ていた衛兵の目が見開かれる中、信介は声を振り絞る。
「笑顔にする、笑顔を見る、笑い合う……それが、それが幸せ――だから」
どんどんと遠くなっていく自分の意識にムチを打ちながら、信介はあの子の耳へ、あの子が幸せになるようにと、ただ一言。
「早く目覚めて、わしの事をまたバカにして、その笑顔を見せてくれ――」
シワが増えようが、耳が遠くなろうが、目が見えなくなろうが――
幸せは変わらない。
好きな人の笑顔が見たい。
そう願った信介は、笑いながら腕をだらんと下げ、そのまま意識を手放した――
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「サムス様! 王女様のご様態が!」
「何! 何があった!」
豪華なシャンデリアに照らされるのは、派手な装飾品が施された重鎧を着る王女の父サムス。
あっちこっち歩いてそわそわしていたサムスに一石を投じるように扉を開けた補佐は、血の気の引いた表情を浮かべている。
そんなテンパった補佐に追い打ちをかけるように、眉間にしわを寄せたサムスは、早く言えぇぇえええっ!! と胸ぐらを掴む。
「そ、それが、出産後直ぐに意識を失ってしまったらしく……」
「なんだと!?回復師は何をしておる! 早く手当てせんか! だから嫌だったのだ! 娘は体が弱いのに……くそ! それで、子供は大丈夫だったのか!!!」
「そ、それが――」
「は?」
王室にどんどんと広まる謎のジジィの存在信介。
片方では、あのクソジジィが王女様の子供を消したんだ! もう片方では、クソジジィが王女様に寄生してたんだ! などととんでもない噂がたっていく。
そんなことも露知らず牢屋に放り込まれた信介は、三日目覚めることは無かった――
実はこっそり投稿初日で100ポイント達成しようと思い書いてきたのですが、ポンポン投稿しすぎてストックがつきました。泣きそうです笑
そして評価やブクマありがとうございます!(ブクマはされていませんでした)
感想も待ってるんだからね!|´-`)チラッ




