コラム ゲームに出るものと出ないもの
Twitterのつぶやきの加筆
『信長の野望』をやってて思うのは、地域における武将出現数と武将能力値優遇による一門譜代層の強さが見えてこない事だったりする。
別に上杉謙信に勝てるオリ主武将よこせとは言わんから、能力30程度でいいので弱小大名に武将を継続的に配置できないものかと考える事がある。
これは大名家というか武家の戦力における外様と譜代の関係と言ってもいいだろう。
本来、人が足りないからと外様に重要な仕事を任せるには怖いのだ。特に同族で争っているから比較的裏切りのリスクが低いこの国においては。
結果、『能力が低いけど裏切られない古参』が上に来る事になる。
かつてはこれを『日本式経営の弊害』と叩いていた事もあったのだが、歴史的背景を見るとあながち否定できないなと今では思っている。
信長の野望は特に序盤の選択肢が武将数によって決められるから、数の少ない大名家はそれであっさりと詰む。
んで、そういう家が他所から来た史実有名武将を得るとあっという間に一軍抜擢な訳で、その家の譜代連中面白くないだろうなと思ったり。
昔はそれでも楽しんでいたんだよなぁ。
伊東家あたりでスタートして運良く島津家四兄弟あたりをゲットしたらそく一軍で暴れまくって……で、いつ頃か首を傾げたのだ。
「あれ、私伊東家のはずなのになんで当主が島津義弘になってんの?実質島津家では?」
と。
それはなろうで歴史ものを書いていた時により強く思うようになった。
もちろん、コレクターとしての側面を否定するつもりはないが、一番苦しい時である序盤にわざわざ主人公に賭けた連中を見捨てて能力で優れている連中を優遇するという事だけは止めようと。
なろうで書いていた『修羅の国九州のブラック戦国大名一門にチート転生したけど、周りが詰み過ぎてて史実どおりに討ち死にすらできないかもしれない』 https://book1.adouzi.eu.org/n2509cr/ で最初から最後まで間違いなくマイナー武将である大鶴宗秋を宿老からついに外さなかったのはそんな理由である。
また、こちらのR-18に置いた『大友の姫巫女』も珠姫が爺としてなついている佐田隆居も宿老格として扱っているのも同じ理由だったりする。
今だから言えるが、彼の能力値設定、史実の資料から見ても政治60台後半、戦闘50台前半で設定している。
ちなみに、佐田隆居については書いていた時に『信長の野望』にデータがあったから、そこを参考にしていた。
佐田隆居 『信長の野望 烈風伝』采配45 戦闘40 智謀51 政治64
大鶴宗秋もこれをベースにしていた。
二人とも宿老の能力値はこんな感じだったのである。
それでも、主人公の八郎は彼を自軍の陣代(自分の代わりの総大将)から外さなかった。
だからこそ、物語でも彼の軍勢は負けたのだ。
その代わり、八郎の家である宇和島大友家の家中軋轢は新興大名家とは思えないぐらいに摩擦が少なくなっているのは、彼が宿老として座って八郎が全幅の信頼を置いているからである。
この『重さ』をゲームでは本当に表現しにくい。
なお、これに近い事を言っている武将が居て思わず笑った記憶がある。
黒田官兵衛で、こんなことを言っている。
黒田如水の大名論
http://iiwarui.blog90.fc2.com/blog-entry-10753.html
これ、たしかちょっといい話・悪い話に上げたの私だからよく覚えている。
とはいえ、ゲーム的には高性能である史実武将に対して合戦で勝てるのならば、それ相応の能力は必要な訳で、RPGよろしく武将が合戦ごとに成長するとかあればなぁとか考えた事もある。
昔は容量とかでこのあたりの処理ができないのだろうと思っていたが、今ならばできるのかもしれないが、それを導入して売れるかは別問題だろう。
あ。そういえば、天下人である豊臣秀吉の場合、このあたりの古参宿老たちを切り捨てている。
あれも豊臣滅亡の一因だろうし、黒田官兵衛はそのあたりを見てあんな事を言ったのかもしれん……
おまけ
「プレイヤーがコントロールして合戦で常勝し続けた一条兼定の能力値は本当にゴミでいいのか?」とTwitterに上げたのだが持っていた『信長の野望 烈風伝PK』には武将エディタがあるから勝つたびにサイコロ振って能力上げさせればよいのではと考えた事がある。
で、そうなると凄いゲーム的というか、ある意味なろう的な思考をしてしまう自分が居てびっくりだった。
ためしに八郎こと大友親貞のデータを信長の野望から持ってこようと思ったらないので、能力値的に低評価される大友義統のデータを流用する事にする。
あれ?これもないな?
仕方ないので、名前を出した一条兼貞のデータを使う事にする。
基本烈風伝データで行く予定だが、家宝や官位は他のものを合わせる予定。
一条兼定
烈風伝 采配20 戦闘11 智謀5 政治30
足軽 E 騎馬 E 鉄砲 E 水軍 E
で、これだけでは味気ないので、能力値についてはサイコロを振って足すことにする。
他のパラメーターは物語に合わせてアレンジ。
で、物語のスタート時の八郎はこうなった。
菊池鎮成
采配28 戦闘18 智謀15 政治33
足軽 E 騎馬 E 鉄砲 E 水軍 E
陣形 鶴翼
特技 商業 外交 登用
キリスト教 中立
上洛思考 地方統一
口調 饒舌
思考 強い革新
威信 重視
職業 茶人 剣豪
物語を進めて、上がりそうだなという所で適当にサイコロを振ってみる。
するとこうなった。
大友鎮成 従五位上主計頭 (采配と政治に+6)
采配 72+15 戦闘 58+5 智謀76+10 政治 84+16
足軽 C 騎馬 E 鉄砲 E 水軍 E
陣形 鶴翼
特技 商業 外交 登用
キリスト教 中立
上洛思考 地方統一
口調 饒舌
思考 強い革新
威信 重視
職業 茶人 剣豪
所持家宝
菊池槍 (戦闘+5)
三國志演義 (智謀+10)
珠光茶碗 (『三日月』で代用 政治+10)
南蛮胴具足 (采配+9)
データの可視化ってのは面白いもので、こういう感じに能力が分ると、その能力に合わせた形で選択ができる訳で。
物語の決戦である彦山川合戦はもっと積極的に動いても良かったのではと考えてしまう私が居た。
ちなみに、この時のラスボスたる毛利元就のデータがこれ。
毛利元就
烈風伝 采配93 戦闘65 智謀100 政治96
足軽 A 騎馬 A 鉄砲 C 水軍 D
勝てるは言えないが、負けないとは言える能力差である。
多分、ステータスではないが能力を可視化していたらどこかで、少なくとも彦山川合戦はもっと違った戦いをしていただろう。
あの時、互いの能力が見えず、とはいえ優劣は分かっていたという戦場の霧の中で、その能力が見えた事による選択肢の広がりをはっきりと理解したのである。
そりゃ、なろうの多くの作品は『ステータス!』と叫ぶわ。
自分は何ができるか分かるというのが、どれだけ強い事か……
今回のデータ作成については、
火間虫入道 -信長の野望 蒐集者の庭-
http://hima.que.ne.jp/
を利用させていただきました。




