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コラム 大友家から見た肥後国の価値

 久しぶりに進めるかと思って資料をあさっていたら面白い記述を見つける。

 で、これを元にコラムを書くことにした。

 大友家から見た肥後国の価値である。


高瀬津

https://www.city.tamana.lg.jp/q/aview/344/526.html


 熊本県玉名市。

 そこにあった港の事で、唐船もやってきたという港である。

 つまり、あの時代においての海外交易港である。

 菊池家の経済的源泉であり、大友家の肥後国政策を決定した港ともいえよう。

 当時の海外交易ルートはまだ南蛮人が来航していない事もあって、大陸と朝鮮半島がメインとなる。

 そして、中継地としての博多とメインルートである瀬戸内海のポテンシャルはとても大きく、大内家はこの二つを押さえた事であそこまで大きくなったと言っても過言ではない。

 なお、大友家も博多に権益を持ち、立花家という大友家一族を置いていたが周りが全て大内家の勢力圏というか、少弐家と大内家のバトルに巻き込まれる位置にある訳で。

 本拠地豊後国にその富を運ぶのに苦労したというのは想像に難くない。

 で、そんな大友家が目を付けたのが守護国筑後国の真下にある肥後国玉名にあった高瀬津である。

 経済的観点から見ても、大友家の肥後重視はある意味正しかったのだろう。


 これに変化が出て来るのが天文12年8月25日の鉄砲とキリスト教伝来であり、南蛮人の大型船による太平洋航路の利用である。


 豊後国府内はこの波に乗って一躍発展する事になるのだが、それは肥後国重視の政策の転換と時期が被るのは偶然ではないのだろう。



簡単な年表


永正8年(1511年)

 菊池武経出奔。分家の詫摩武包が重臣に推されて菊池家当主につく。

 この擁立に手を貸したのが大友家。


永正12年(1515年)

 大友家家督が大友義鑑に移るが、先代(大友親治・大友義長)の院政のような状態は継続。


永正15年(1518年)

 大友義長が死去。


永正17年(1520年)

 菊池武包追放。大友重治が菊池義武として菊池家当主になる。


大永4年(1524年)

 大友親治が死去。大友義鑑が独り立ち。


天文3年(1534年)

 菊池義武が大内義隆や相良氏と同盟を結んで兄大友義鑑に反抗し独立する。

 大友軍の攻撃によって菊池義武は敗北し、逃亡。


天文12年(1543年)

 大友義鑑は幕府に働きかけて肥後守護職を獲得。

 鉄砲及びキリスト教伝来。


天文19年(1550年)

 大友二階崩れ。大友義鑑死亡。大友義鎮大友家当主に。

 菊池義武肥後国帰還。大友義鎮領内混乱を鎮静化。肥後国出兵。菊池義武逃亡。


天文20年(1551年)

 大寧寺の変。大内家滅亡。

 博多のある筑前国と豊前国は大友家の勢力圏に。



 仲屋乾通という商人がいる。

https://proto.harisen.jp/hito1/nakaya-kentsuu.html


 『修羅の国九州のブラック戦国大名一門にチート転生したけど、周りが詰み過ぎてて史実どおりに討ち死にすらできないかもしれない』を書く際に初めて知った人物だが、享禄・天文年間頃に豊後府内でにおいて対外貿易で巨利を築いたといわれる豪商で、乾通の晩年には、その富栄は関西一となり、「蛮夷ノ商舶」が日本に来航しても乾通が手付けをするまで値が決まらなかったとされる。

 彼が南蛮交易で富を築いているのに注目してほしい。

 更に大友義鎮時代は、大寧寺の変による大内家滅亡によって博多を完全に支配するという環境の激変が起こっていた。

 つまり、大友家にとって肥後国の価値の低下である。

 大友義鎮時代、肥後国の統治は穏やかというか放置で進むのはこんな所もあるのかもしれない。


 大内家に対抗する経済力を得るために肥後国を狙い、南蛮交易と大内家が滅んだ結果として博多が転がり込んだので肥後国の重要度は低下して放置に近い形になった。

 その大大名の動きに翻弄され続けたのが菊池家であるという見方をすると、大内家に翻弄され続けた大友家という側面まで見えてしまい、この時代の諸行無常に思いをはせるのである。

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