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第11話 歓迎会

 入学式が終わり、教室に入った俺たちだったが、まずは自己紹介をした。その際、俺にも普通に接してもらいたいと言ったけど、どれだけの人がそうしてくれるのかが、少し心配になっている。

 とまぁ、そんな中自己紹介が終わり、今日は解散となった。

「おーい、テイル、さっさと行こうぜー」

 ヘーゲル先生が解散を告げた後すぐに教室に闖入者が現れた。

 しかもその闖入者は、こともなげに俺を呼び捨てにしてきたのだ。

 おかげで教室中はかなりざわついた。

 それはそうだろう、侯爵相手に呼び捨て、しかも、その闖入者はどう見てもガラの悪い平民と来た。普通なら不敬罪に問われかねない事態だ。

「おう、ダレスか、ちょっと待ってろ、今行く」

 そんな闖入者、いやダレスに俺はいつものようにそう答えた。

「? お嬢様、御迎えに上がりま……した」

 クラス中が戸惑っている中、ダレスの後ろから1人の美少女がひょっこりと顔を出してエレンにそういった。

「え、ええ、少し待って……」

「?」

 エレンも戸惑っている中そう答えている。

 ここは、一応説明をした方がいいだろう。

「ああ、えっと、ダレスは、幼馴染で、これは先代の祖父も、陛下も認めていることだから、問題ないんだ」

 そう、これは実際に陛下からも認められている態度だった。

「そ、そうなのですか?」

「まぁね。ああ、そうだ。エレン」

 ここで思ったことをエレンに伝えてみる。

「なんでしょうか、侯爵様」

 硬いなぁ。まぁ、いいや。

「えっと、実は俺たちはこれから食堂で、3年の知り合いから歓迎会みたいなことをしつつ、この学園を案内してもらうつもりなんだけど、一緒に来ないか。ほら、入学前のことがあるし……」

 俺がここで誘ったのには理由がある。ここでエレンと仲良くしておけば、カペリオン侯爵家とバラエルド伯爵家が特に争っているわけではないというアピールになるからだ。

「えっと、よろしいのですか?」

「ああ、問題ない。多分向こうもすぐに了承するだろうし」

「えっと、そういうことでしたら、その、お願いします」

 というわけで、俺とダレス、エレンとスズの4人で連れ立って食堂に向かうことにした。


 それから、やって来た食堂。中に入ると途端に声が聞こえてきた。

「ああ、いたいた、こっちよ。テイル、ダレス」

 再びざわついた。

 それはそうだろう、今俺とダレスの名を呼んだのは誰あろう、ウレサ、つまりこの学園の生徒会長だ。

 その生徒会長が、侯爵たる俺を呼び捨てにし、ダレスという誰かわからない男の名を呼んだのだから、それは騒ぐだろう。

「ちょっと、ウレサ、どういうことですの」

 そんなウレサの隣では知らない3年生の女子が慌てている。様相からしてたぶんどこかの貴族令嬢だろう。

「悪い、ウレサ、遅れたか」

 ダレスがそういった。その瞬間食堂にいる人たちの視線が一気にダレスに向かった。

「ちょっとね。それより、テイル、それにダレス、その子たちは?」

 ウレサが少し怒ったような表情でエレンたちのことを聞いてきた。

「ああ、彼女は、バラエルド伯爵殿のご息女で……」

「エレン・スタレシュ・ドゥ・バラエルドと申します。生徒会長のウレサ・リップ先輩ですね」

「ええ、そうよ、よろしく」

「よろしくお願いいたします。それから、この子は、スズ・ヘイムと言いまして、私の親友です」

 エレンが少し恥ずかし気にそういった。そうなのだ、エレンとスズは身分ちがいの親友らしい、何でも2人の出会いは幼いころ、スズの父親がエレンの実家で庭師をしており、そんな父親に連れられてエレンの実家に行ったことがきっかけだったそうだ。それからもちょくちょく遊んでおり、親友となったようだ。といっても、平民嫌いであるエレンの父親たるバラエルド伯爵には内緒の関係だということだった。

「そう、よろしくね。エレンちゃん、スズちゃん」

 さすがはウレサ、いきなり貴族令嬢たるエレンに対してちゃん付である。

「ちょ、ウレサ、はぁ、まぁ、いいですわ」

 ウレサの隣にいる貴族令嬢は何かをあきらめたようだ。

「申し遅れましたわ。わたくし、ソウエルン伯爵家が次女、カテリーナ・シュリップ・ドゥ・ソウエルンと申します」

 最後に貴族令嬢、つまりカテリーナさんが自己紹介をした。

 あれ、もしかしてカテリーナさんって、去年最後までウレサと生徒会選挙を戦った相手じゃなかったっけ。

「そうよ、カテリーナはあれ以来、親友なのよ」

 俺がそう考えているとウレサが素早く察してそう答えた。

 やはり、そうだったらしい。

「それより、ウレサ、どうして、侯爵様のこと言わなかったの、あなた、弟の歓迎っていっていたじゃない」

 ここでカテリーナさんが小声でウレサにそう詰め寄っていた。

「あら、弟よ。ダレスもテイルも私にとってはやんちゃな弟だもの」

「確かに、俺たちにとっても怖い姉さんだからな」

 ウレサの言葉に俺が重ねた。

「ちょっと、怖いじゃなくて、やさしいでしょ」

 俺が怖いといったことでウレサが優しいに治させようとしてきた。

「いや、間違いなく、怖いだろう、というか、ウレサは俺のことを怒ってばかりじゃないか」

「それは、あんたがバカなことばかりするからでしょ」

「ふふふっ」

 そんな俺たちのやり取りを見ていたスズが思わずといった感じに笑い出した。

「こら、スズ、だめよ。そんな」

 そういって、スズをたしなめているエレンも少し笑っていた。

「まぁ、こんな感じなので、エレンもカテリーナさんも俺が侯爵だということは気にしなくていいですよ」

 俺は一応カテリーナさんが先輩ということで敬語を使った。

「はぁ、そうね。テイルはどちらかというと、かしこまられるより、この方が好きだしね」

 ウレサが言ったことは事実であった。

「そういうこと、だから、俺のことはテイルでいいよ」

「わかりましたわ。テイルさん」

「ええ、わかりました。テイル様」

 それでも、エレンだけは俺のことを様付で呼んできた。まぁ、いいか、これはおいおいだな。

 と、そんな風に話していると、不意に声をかけてきた者がいた。

「やぁ、君がテイル君かい」

 そういって声をかけてきたのは、背の高い少し気障ったらしいイケメンで美少女を2人連れ立って現れた。

「えっと、そうだけど」

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