閑話 小さな大戦争
朝。
いつもように、カルセドニアは微睡みの海から浮上した。
ふと目を開ければ、間近に彼女の愛する夫の寝顔。
あどけないその寝顔を、カルセドニアは思わず見入ってしまう。
彼女の夫は、歴史上二人目の〈天〉の魔法使いにして、単独で飛竜を倒すという偉業を成し遂げた。
今や彼のことを知らない人間は、このレバンティスの街にはいないと言っても過言ではないだろう。
そんな彼も、寝顔はこんなにあどけない。
考えてみれば、ラルゴフィーリ王国ではともかく、彼は本来の世界ならばまだまだ未成年なのだ。この寝顔こそが、彼の本来の姿なのかもしれない。
自分の夫が成し遂げたことが誇らしくて。
同時に、そんな夫が自分にだけはこんな無防備な姿を見せてくれることが可愛くて。
カルセドニアは、その桜色の唇を夫のそれに軽く触れさせた。
と。
不意に、彼女の腰の辺り──はっきり言えばお尻──に何かが触れる感触。
え、と思ったカルセドニアだが、すぐにその正体に思い至った。
「ご、ご主人様っ!? い、いつから起きていらしたのですかっ!?」
「うん。チーコがもぞもぞし始めた時ぐらい……かな?」
悪戯を成功させた悪ガキのような顔で、辰巳はくすくすと笑う。そして、同時に両手で腕の中の妻の柔らかな身体を存分に堪能する。
いつものように、寝台の中の二人は何も身に着けていない。そのため、辰巳の手にはカルセドニアの肌の感触が直接伝わってくる。
「ちょ、ご主人様……っ!? どこを触っているんですかぁっ!?」
「ん? もちろん、チーコのお尻」
「そ、そんなにはっきり言わないでくださいっ!!」
顔を真っ赤にしたカルセドニアが抗議するが、当の辰巳はどこ吹く風。それどころか、より一層さわさわと妻のお尻を撫でさすった。
「いやぁん。もう止めてくださいぃ」
「あれー? 旦那が奥さんのお尻を触るのって、サヴァイヴ神の教義的に問題があったっけ?」
「きょ、教義的には何の問題もありません! あ、ありませんけど……もうっ!! ご主人様の意地悪っ!!」
口では嫌がっている風だが、寝台から逃げ出そうとしない辺り、カルセドニアも満更ではないようだ。
それでも擽ったいのか、それとも別の何かを感じているのか、カルセドニアは必死に身体をくねらせる。
何となく、彼女の表情がとろんとしてきたような気がしなくもない。
辰巳はそんなカルセドニアの耳元に口を寄せ、そっと耳の中に言葉を流し込む。
彼が口にしたのは、日本語ならば五文字しかない短い言葉。だが、そのたった五文字の言葉を囁かれた途端、カルセドニアは急に大人しくなった。
果たして辰巳は何と言ったのか。それを知るのはカルセドニアのみ。だが、彼女の浮かべる表情は決して不快なものではなく、それどころか幸せ一杯といったもので。
結局、辰巳が満足するまで、身体中のあんなとこやこんなとこを触られ続けたカルセドニアであった。
朝からたっぷりと仲の良さを再確認した二人は、朝食や身支度やらの準備を整えて神殿に出かける。
今日は二人とも神殿での務めがある日なのだ。
「さあ、急がないと時間に遅れるぞ!」
「もしも遅れたら、それは旦那様のせいですからね!」
きつ目の口調でそう言いながらも、カルセドニアは自分の腕を辰巳の腕に絡ませる。もちろん、その顔に浮かぶのは誰が見ても分かるような幸せそうな表情。
いつものように仲睦まじく歩く二人の姿を、近所の住人たちが微笑ましく見守る。
だが。
二人を見る視線の中に邪なものも含まれていたことに、この時の二人は気づかないでいた。
「……出かけたようですぜ」
「……二人ともか?」
「へぇ。二人揃って仲良く出かけました」
遠ざかる二人の背中を見つめる、二対四つの目。その目の持ち主たちは、辰巳たちの姿が完全に見えなくなると、隠れていた物陰からこっそりと姿を現した。
そして、人目を憚るようにしてゆっくりと移動を開始する。彼らはそのまま目の前の家の敷地内へと足音も立てずに忍び込む。
敷地を囲む塀の影。そこに改めて身を隠した二人は、近くに人の気配がないことを確かめると、そのまま物陰から物陰を伝うように静かに移動し、徐々に家屋へと近づいていく。
「……どうやら、近くに人の気配はないようだな?」
「へぇ、兄貴。幸い通行人もいないようですぜ。中に忍び込むのなら今でさぁ」
それでも用心深いのか、二人は物陰から出ることはせず、そのまましばらく周囲の様子を窺う。
「でも兄貴。どうしてこんな真っ昼間っから忍び込むんです? 普通、盗みに入るのは夜でしょ?」
「だからおまえは馬鹿なんだよ。この家が誰の家だか知っているだろ? ここは《聖女》とその旦那が住んでいる家だぞ? しかも《聖女》の旦那と言えば、先日の飛竜襲来騒ぎで、飛竜をたった一人で倒したって有名じゃねえか。夜になったら、この家にそんなすげえ二人が帰ってきちまうんだぜ? だが、今なら二人とも留守だ。盗みに入るなら今の方が都合がいいってもんだ」
「なるほど、さすが兄貴だ」
「それに噂によると、《聖女》の旦那は飛竜を倒した褒美として、王様からたんまりと金をもらったらしい。それこそ、何年も遊んで暮らせるような額を、な」
二人は顔を見合わせてほくそ笑む。
飛竜を倒したことで、辰巳が国王からどれぐらいの額の褒美をもらったのか、そんなものは当事者である辰巳とその妻であるカルセドニア以外には、国王と国の財政を司る役人ぐらいしか知らないだろう。
だが、辰巳が国王より褒美をもらったのは事実であり、その事実を知る者はかなりいる。そしてそれは噂話となって──しっかりと尾ひれがくっついて──、レバンティスの街中に広まっている。
そんな噂話に引かれて、この二人はここに来たのだ。
辰巳が国王よりもらったという褒美を、こっそりと盗み出すために。この二人は、いわゆる泥棒なのである。
「よし、おまえは家の鍵を開けろ。その間、俺は周囲を見張っているからな」
「わかりやしたぜ、兄貴」
二人はそれなりの手練らしく、物音を立てることもなくそれぞれの役目に取りかかった。
「……あ、兄貴……」
「どうした? 鍵は開いたのか?」
「そ、それが……」
物陰から姿を現すこともなく、兄貴と呼ばれた男は注意深く辺りの様子を窺っている。
その背中に、弟分の困惑したような声がかかったのは、弟分が鍵開けにとりかかってすぐのことだった。
「…………この家、最初から鍵がかかっていやせんでしたぜ?」
「んだとぉ?」
兄貴分が振り返れば、そこには確かに僅かに開かれた玄関の扉があった。
彼の弟分は手先がとても器用で、このような鍵開けの腕前は相当なものだ。だが、それでも鍵をこじ開けるのだから、それなりの時間は必要となる。
しかし、彼が玄関の扉に取り付いてから、数回呼吸した程度の時間しか経っていない。それを考えると、家の鍵が最初から開いていたと考える方が自然だろう。
「…………まあ、どんな英雄様も所詮は人間だ。こんなヘマをすることもあらぁな」
それよりも、ここは幸先がいいと考えるべきだろう。
兄貴と呼ばれた男は、前向きにそう考えながら弟分を従えて家の中へと足を踏み入れた。
何者かが家に侵入した。
そのことを、それは敏感に感じ取った。
それはこの家の中でのできごとを、全て感じ取ることができる。いわば、この家はそれにとっては自分の身体も同然なのだ。
気配と姿を消してちらりと家の中の様子を窺えば、見覚えのない人間が二人、玄関先できょろきょろと家の中を見回している。
──うん、ボク、知ってるぞ。こいつら、確かドロボウっていう悪い奴らだ。ドロボウは家の中にあるものを、勝手に持って行っちゃうんだ。
もしもそんなことになれば、この家の住人であるあの二人が悲しむに違いない。
それは、この家に住むあの二人が大好きだった。
それが住むことに決めた家。そこに住んでいた二人は、気持ちよくそれを受け入れてくれた。毎日ちょっとしたごはんやおかしを、欠かすことなく台所の片隅に用意してくれる。
この家がとても住み心地がいいのも、あの二人の優しい心が家のあちこちに染み付いているからだろう。
そんな二人を悲しませるようなことは、それにとっては決して許せるものではないのだ。
──よし、ボクがこの家を守ってみせるからね!
それは留守にしている二人に向けて、高らかに宣言した。
こうして。
二人の泥棒とそれ──この家に住み着くブラウニーとの、小さな大戦争が開始されたのだった。
「…………よし、誰もいないな」
「そのようです」
二人はまず、居間へと侵入した。
居間の中はしっかりと片付けられており、朝食の残り香らしいいい匂いが漂っている。
「は、腹減りませんか、兄貴?」
「馬鹿野郎! 今は食い物よりも金目の物だろが!」
弟分の脳天に拳を一つ落とすと、兄貴は居間の中をゆっくりと移動する。
その際、油断なくあちこちに視線を向けながら、金になりそうなものを物色していく。
「……どうやら、ここに金目の物はなさそうだな」
居間にあるのは、普段の生活に使用している日用品ばかり。机の上に乗っている燭台も、一般の庶民が使うような安物だ。
もちろん、銀貨の類も見当たらない。
「……となると、銀貨や金目の物は寝室か……それとも、地下室とかにでも隠してあるのか?」
居間から続く台所の奥には、風呂場らしき場所と厠があるだけ。
となると、他にある二つの扉の向こうに、金目の物は置いてあるのだろう。
兄貴はその二つの扉の内の一つを開く。その向こうには、巨大な寝台。どうやら、ここは《聖女》とその旦那の寝室のようだ。
「こ、ここで《聖女》様が毎晩旦那と……な、何か興奮しませんか、兄貴?」
「お、おう……興奮するな……じゃねえよ! 金目の物を探せって言ってるだろ!」
「で、でもですぜ、兄貴? 《聖女》様の普段着ている衣服とか小物とか……売れると思いやせん?」
「いや、無理だろう。そもそも、それが《聖女》の持ち物だったことを証明する手段がねえ。まさか、俺たちが《聖女》の家から盗んできました、とは言えないしな」
「そ、それもそうですね。さすが兄貴だ」
「変な気は起こさず、金目の物だけを探せ」
二人が寝台の下を覗き込んだり、衣装入れの中をあれこれと物色していると、突然小さな物音が聞こえた。
初めは空耳だと思っていた兄貴と弟分だが、確かに小さくかたかたと何かが鳴る音がする。
不審に思った二人が見回せば、寝台横の小さな机の上に置かれた櫛──《聖女》の愛用品だろう──が、かたかたと小さく震動しているではないか。
「な、何だ……?」
「さ、さあ……?」
二人が不安そうに言葉を交わしている間も、櫛はかたかたと誰も触れていないのに震動し続けている。
「こ、ここは早く移動した方がいいかもな……」
「そ、そうでやすね、兄貴」
何か不気味なものを感じた二人は、引き攣った笑みを浮かべると足早に寝室を後にした。
居間に戻ってきた二人は、続けてもう一つの扉を開ける。
だが、そこは使われていない部屋のようで、見慣れない様式の寝台が一つ、置かれているだけだった。
「……ここも外れかよ。ちっ、一体どこに金とか隠していやがるんだ?」
「で、でも兄貴、この珍しい寝台……高値で売れませんかね?」
「馬鹿野郎。こんなでかい寝台をどうやって運び出すんだよ? 仮に二人で運び出したとしても、容易に周囲の目につくじゃねえか」
「あ、それもそうか」
でへへへと笑って誤魔化す弟分に苦笑を浮かべながら、兄貴は再び居間へと戻る。
改めて彼が居間の中で視線を巡らせると、片隅に上へと続く階段があることに気づいた。
「……屋根裏にも部屋か物置があるのか……となると、金目の物はそこに置いてあるのかもな」
兄貴は弟分と視線を交わすと、物音を立てることなくその階段へと向かう。
その時だった。
不意に、彼らの耳にびろんびろんと不気味な音が響いてきたのは。
「な、何だ……この音は……?」
「う、上から聞こえてくるようですぜ、兄貴……」
二人が聞いたこともない不気味な音。何かを弾くような低音は、二人の恐怖心を盛大に煽る。
びろん。びろん。びろろろろろん。
二人は不安そうに互いに見つめ合う。
「よ、よし。おまえ、ちょっと上に行って様子を見てこい」
「えええぇ、オイラが行くんですかいっ!?」
「いいから行ってこい!」
兄貴は弟分の尻を蹴り上げながら、彼に階段を昇らせた。
弟分は蹴られた尻をさすりながらも、おっかなびっくり階段を昇っていく。
そして、屋根裏へと続く押し上げ式の扉をそーっと開け、頭を半分だけ出して天井裏の様子を窺う。
どうやら屋根裏部屋は物置として使用されているようで、様々なものが置かれていた。
屋根裏と言ってもしっかりと掃除と換気がされており、屋根裏特有の埃臭さや湿っぽさは微塵もない。
そして、ここにはこの家の住人のものらしき鎧や武器などが置かれており、片隅には銀貨が入っていると思われる布袋も見受けられる。
鎧や武器はそれだけで高価なものであり、売り飛ばせそれなりの値段になる。
しかも、この家は世間にも名高い《聖女》と、飛竜をも倒したその亭主が暮らす家なのだ。そんな二人が使う装備ともなれば、その辺で売っているものよりも高価に違いない。
おまけに、見える範囲には銀貨が入っていると覚しき袋も幾つかある。
「おっとぉ。ようやくお宝を見つけたぜぃ」
目的の物を見つけた弟分が、喜び勇んで屋根裏部屋に入ろうと身体を半分ほど入り口から中へと押し上げた時。再びあの不気味な音が響いてきた。
びろぉぉん。びろろろぉぉぉん。
先程もよりも更に不気味な音。旋律もなにもなく、ただでたらめなだけの音。それだけに、その音は余計に不気味に聞こえる。
知らずがたがたと震え出した弟分がゆっくりと頭を巡らせれば、屋根裏の片隅に見たこともない楽器が置かれていた。
どうやら、あの不気味な音の正体はあの楽器らしい。
それを理解した弟分。だが、その顔色が見る見るうちに悪くなっていく。
「が、楽器が……だ、誰も触れていないのに勝手に音を……」
楽器が奏でる出鱈目な音。だが、それを奏でている演奏者の姿は見えない。弟分が言ったように、楽器が勝手に音を出しているのだ。
びろぉぉん。びろろろぉぉぉん。びろぉぉぉぉぉぉん。
「ど、どうして楽器が…………う……うぅ……うわわわっ!?」
楽器が勝手に演奏するという理解不能な現象を目の当たりにして、弟分は思わず階段を踏み外し、そのまま居間へと転げ落ちて行った。
突然、階段の上から転がり落ちてきた弟分。兄貴は慌てて踞っている弟分を抱き起こした。
「ど、どうした? 一体上で何があったんだ?」
「が、楽器が……楽器が勝手に音を……あ、兄貴っ!! この家には何かよくないものが住み着いているんじゃねえですかっ!?」
兄貴にしがみつくようにして、弟分は一気に捲し立てる。
その間も、不気味な音は続いている。何となく、二人にはその音が「この家から出ていけ」と告げているように思えてならない。
「な、何かって……ななななな何だよ……?」
「た、例えば……………………………………〈魔〉……とか……?」
「ま、〈魔〉だと……?」
〈魔〉と聞いて、兄貴も顔色を悪くする。
人々にとって、〈魔〉は身近に迫りうる脅威である。直接〈魔〉と接した人間はほとんどいないが、それでも〈魔〉の恐ろしさは誰もが知っているほどに伝わっている。
当然、この二人にとっても〈魔〉は恐るべき存在であった。
「ば、ばばばばば馬鹿言うな! こ、こここは《聖女》の家だぜ……っ!? ま、〈魔〉がいるわけねえ……っ!!」
仮に〈魔〉がいたとしたら、住人である《聖女》に祓われていないはずがないのだ。
口ではそう言いながらも、兄貴は落ち着かない様子で辺りをきょろきょろと見回す。
と、兄貴の身体が突然強張った。そして、そのまま家の中のある一点をじっと凝視する。
弟分が不審に思ってそちらへと目を向ければ、彼もまたぴきりと身体を硬直させた。
なぜならば、彼らの視線のその先では、食事に使われるナイフが一本、宙に浮いてその切っ先を彼らへと向けていたのだ。
ブラウニーには、限定的ながらも念動力がある。
限定的というのは、ブラウニーが動かせるものは住み着いた家にあるものに限られ、大きさも精々が椅子ぐらいまで。大きめの家具などは動かせない。
寝室でカルセドニアの櫛が音を立てたのも、屋根裏で辰巳のギターが勝手に音を奏でたのも、全てはブラウニーのこの念動力のなせる技だ。
大きな物は動かせない力だが、食事用のナイフぐらいならば、数本纏めて動かすこともできる。
最初は一本だけ宙に浮いていたナイフ。だが、次第にその数は増していく。
二本、三本、四本……そして、宙に浮くナイフは十本を超えた。十本以上のナイフはその切っ先をぴたりと二人の侵入者へと向ける。
「ひ、ヒィ……っ!!」
小さな悲鳴を零したのは、果たしてどちらだったか。
そして、その悲鳴を合図にしたかのように、十本以上のナイフが二人に一斉に襲いかかった。
「……誰だ、この二人……?」
「さあ……誰でしょう?」
家に帰ってきた辰巳とカルセドニアは、居間の床の上で意識を失っている二人の男を見て首を傾げた。
二人の衣服の端には、数本の食事用のナイフが突き刺さっている。それが衣服と床を縫いつけており、男たちを身動きできないようにしていた。
辰巳とカルセドニアが見たところ外傷はないようで、単に気を失っているだけらしい。
「…………やっぱり、泥棒の類かな? 念のため、衛兵を呼びに行ってくるか」
「申し訳ありません、旦那様。今朝は急いでいたため、うっかりと鍵をかけるのを忘れてしまって……」
「あ……ま、まあ、それに関しては……俺にも責任の一端があったわけで……」
今朝二人でいちゃいちゃしたことを思い出し、辰巳とカルセドニアの顔が赤くなる。
「……で、でも、誰がこいつらを……?」
「おそらく、我が家に住み着いているブラウニーではないでしょうか? きっと私たちの留守に入り込んだ泥棒を捕まえてくれたんですよ」
「そっか。ありがとうな、ブラウニー」
「お礼に、今夜はちょっとごちそうを置いておきますね」
二人の言葉に応えるように、家のどこかでちりんと心地よい音がした。
もしかすると、それはブラウニーなりの勝利宣言だったのかもしれない。




