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アルステナの箱庭~仮想世界で自由に~  作者: 神楽 弓楽
一章 始まりの4日間
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42話 「不安が解消?ユリも解放」


――【始まりの街】


 タクの介入により場が治まった後、ユリは一人で街に戻ってきていた。


「はぁ……今日は散々だったな」


 疲れた足取りで街を歩くユリはため息をつく。


「あの子、殺人じゃなくてクエストの関係で追いかけられていたなんて……拍子抜けだったな」



 そう呟いたユリは、その時のことを思い返した。





◆◇◆◇◆◇◆




――【豊かな森】


「え!? 無音さんPKしたわけじゃないんですか!? 」


 ルルルの声が森の中の広場に響き渡る。

 ルルルの言葉は、他の者の驚きも代弁していた。


 しかし、その皆の反応に忍び姿の少女は


「してない」


 と、もう一度応えただけだった。


「ん? それじゃあ、何で衛兵に追いかけられていたんだ? 」


 タクは、ふと気づいたように疑問を口にした。

 そもそも、少女をPKと誤解したのは、衛兵に追いかけられていたのが原因である。


「クエストのせい」


 少女はタクの疑問に簡潔に答える。


「へー」


「あ、そっか! 」


「あー分かりました」


「え? 」「は? 」「え? 」「む? 」


 少女のその答えにユリ、ラン、ルルルの3人は納得し、ルカ、タク、チェルシ、ダイゴの4人は揃って首を傾げた。


「衛兵に追いかけられるって……そ、それは、どんなクエストなんですか? 」


 チェルシが、思わずと言った感じで少女に尋ねた


 本来なら人のクエストの内容を聞くのはあまりよろしくない行為なのだが、チェルシは好奇心を抑えれずに思わず聞いてしまった。


「あ……! す、すみません! 」


 言ってしまったあとにチェルシはそのことを思い出したのか慌てて謝った。


「別にいい。クエストは館から盗ってきた(・・・・・)物を依頼主に渡すクエスト」


 少女は気にすることもなく、内容を皆に話した。


「……その依頼主とやらは、誰なのだ? 」


「組合」


 ダイゴの質問に少女は即答だった。


「「「!? 」」」


 これには、ユリと少女を除く全員が驚いた。


「あ、それ聞いたことある」


 ユリは聞いたことのある単語、という意味で反応していた。1人だけ取り残されていた。



◆◇◆◇◆◇◆



 そこまで思い返したところでユリは止めた。


「はぁ……やっぱタク達と根本的に情報量の差がありすぎる。……とは言っても、インターネットとか苦手なんだよなー、ここは爺さんに聞いた方が早いかもな」


 因みにその後はタク達がいくらか少女に質問した後、解散した。


 そもそも、ユリやルカ、ルルルが追いかけた理由は原因を聞くためであり、ランは気まぐれ、タク達に至っては偶然なのだ。

 全員の目的が果たされたので少女に対して改めてルルル、ラン、ルカ、ユリが謝罪した後は、解散となった。


 ランに追われて捕まったことに対して少女は自分が追われる身であったから、と言ってあまり気にした様子はなく、運営からの警告も出した過剰なスキンシップを行ったルルル達に対しては「いつものことだから」と投げやりな感じに許していた。


 少女とタク達は、そのまま森の中へ入っていき、ユリを除くラン達は森の素材を少し集めた後、戻るのだそうだ。


 ユリは、ルカ達に振り回されただけなのでそこらに散らばっている木の実などを適当に集めた後、さっさと街に帰ってきていた。



「爺さんなら、色んなこと教えてくれるだろうしな」


 今回の件で改めて自分の情報量の少なさを痛感したユリは、湖にいる老人に教えてもらうことにし、足早に街を出て行った。





クエストの内容に関して反応が様々なのは、盗む等の犯罪に近い行為を頼むクエストが存在しているのを知っている人と知らない人で分かれました。


結構珍しいクエストなので、知らないプレイヤーは多いです。


クエスト内での必要な犯罪行為は、クエストをクリアすると無くなります。

リスクが高い分、報酬はいいです。



14/8/15 17/10/20

改稿しました。

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