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第05話 新しい家族

 母さんが先に転生して、アエラ様が俺の時間を止めるということで手をかざした次の瞬間。俺の前には先ほどと微妙に違う位置にいるアエラ様がにっこりと微笑んでいた。

「お待たせしました」

「どのくらい、経ったんですか」

 2度目となると慣れたもので、まずどのくらい時間を止められていたのかを聞いた。

「約20年です」

 20年それは早いのか遅いのか、地球の考えで行くと、少し早いと思えた。

「そうですか、それで、母さんは?」

「そうですね。詳しくは咲奈さんに聞いてみるのが一番だと思いますし、咲奈さんもご自身でお話したいと思いますから、わたくしからは、申し上げるのを控えさせていただきます」

 アエラ様はそういった。確かにそれがいいかもしれないな。

「わかりました、そうします。それじゃ、俺はこれで転生するんですね」

「はい、もう一度の人生、頑張ってください」

「はい」

 それから、俺は光の粒となりアエラ様の目の前から消え転生した。


 そして、次の瞬間、俺の目の前には見知らぬ女性、20歳くらいだろうか、そうか、この人が、母さんなんだな。

「お待たせ、啓太郎」

 女性が、小さい声で、日本語でそういった。その声は違ったが、その中にある温かみは間違いなく母さんだった。

「あー、あうー」

 俺はこれしか言えないが、心の中で母さんと言った。

「おっ、笑ってるな」

 不意に男の声がした。

 その瞬間俺は驚いた。なぜなら、そこにいたのは筋肉の塊のような大男、ていうかでかい、しかも、顔が少し強面だった。でも、その顔に張り付いている笑顔はやさしさにあふれていた。

「ええ、20年待ったからね。ほら、あなたのお父さんよ」

 母さんがそういったということは、この男が俺の新しい父さんのようだ。

「ああ、あうー、あー」

 俺は心の中でよろしくといった。

「ふふっ、よろしくって、言ってるわ」

「おう、よろしくな、ていうか、サレミナ、わかるのか」

「そりゃぁ、わたし、この子のお母さんだもの、ねぇ」

「あうー」

「くそっ、疎外感を感じるぜ」

 それから、母さんと、新しい父さんは笑っている。よかった母さん幸せそうだ。ていうか母さん今の会話を聞く限りもしかして、この父さんに俺たちのことを話しているのか。

 と思うと同時に、ここで不思議に思った、そういえばなんでこの2人の会話が理解できるんだ。日本語じゃないのに。

『それは、転生の際にわたくしの加護を与えたからですよ。それがあれば、大体の言語が理解できます。といっても、読み書きは頑張ってください』

 俺が不思議に思っていると、アエラ様の声が聞こえた。

 こうして、俺の波乱万丈となる第2の人生、やり直しの人生が始まった。


 5歳となった。

「ここが、こうなって、こうなるの。わかった」

「えっと、ああ、そういうことか」

 俺は今、母さんから勉強を教わっている。

 内容は算数、その理由はこの世界では学校はない、そして俺は前世でいじめを受けておりまともに勉強ができなかった。そのために生まれ変わって母さんから改めて教わっているというわけだ。

 ちなみに、算数のほかにも理科なども教わっている。

 どうして理科かというと、魔法のためだった。この世界の魔法はイメージすることで発動するらしい。例えば炎の魔法を使おうと思うと、この世界の住人は漠然と燃えている炎をイメージすることで使用するようだ。でも、ここに理科の知識、つまりものが燃えるには酸素が必要であること、炎の温度を上げるには酸素をより多く送ってやればいいなどを知っていればその威力が増すというのだ。実際母さんはその知識を使った魔法で、かなりの魔法使いといわれているらしい。

 それで、今習っている算数は単純に計算ができるようにだ。

「おーい、ダレウス、手伝ってくれ」

 家の外から父さんの声がした。

 ダレウスというのは、俺の新しい名前だ。

「うん、わかったー、ちょっと行ってくる」

 勉強を教えてくれている母さんに一言いった。

「行ってらっしゃい」

 よくあることなので、母さんも仕方ないなぁ、といった感じに送り出してくれた。


「これ、運べばいいの」

「おう、気を付けてな」

「わかってる」

 俺が運んでいるのは薪、この世界にはまだエアコンは当然ない、というか電気やガスなんてものはないから、燃料はすべて薪となる。毎日、父さんがそれを割り、それを俺と父さんで所定の位置まで運ぶという作業をしている。

「しかし、ダレウスもずいぶんと力尽いてきたなぁ」

「そうかな」

「そうよね。5歳とは思えない体格だしね」

 父さんも母さんもそういって何やら嬉しそうにそういった。

 確かに、自分でも5歳にしてはでかい体を持ったと思う。

 多分だけど、普通の5歳児に比べて倍近くありそうだ。

 というかこの時点で前世の12歳当時俺を越えていると思う。

 どうしてこうなったのかと考えていると、不意に頭の中にアエラ様の声が聞こえてきた。

『ふふっ、どうやら、わたくしとサレミナさんの願いが重なったようですね』

 アエラ様によると、どうもアエラ様は転生の際、俺の体が大きく丈夫で健康な体となるようにと特別に作ったようだ。そして、母さんもまた俺がそうなるようにと願い、でかい父さんと結婚した。その思いが重なった結果、今の俺の5歳児とは思えない大きさとなったらしい。


 それから、さらに5年が経ち、10歳となった。

 今では、体格ももっとでかくなり、すでに170は越えていると思う、10歳で170ってどんだけだよ。そう思いながら、日々母さんから数学と理科、後は世界史や日本史などの歴史を学んでいる。どうして異世界に来て歴史って思うけど、母さんによると傭兵として生きていたころ、歴史の知識が役に立つことが多数あったということだった。

 ちなみに傭兵といっても世間で知られているような金をもらって戦争をする。そういう職業ではない、もちろんそういったことをしている人も多いけど、母さんがやっていたのは、戦争ではなく魔物の討伐や街の人たちの雑用などだそうだ。

 それから、父さんから剣を学んでいる。

 俺としては15歳で成人した暁には父さんと母さんがそうだったように傭兵になろうと思っている。

 また、この時俺には前世ではいなかった弟と妹がいる。

 弟が現在2歳、妹がまだ生まれたばかり、2人ともに小さくとても可愛いし、俺が手を差し出すと一生懸命俺の指を握ってきたときは歓喜したものだ。

 というわけで、俺はこの10年、振り返ってみても本当にやり直してよかったと思っている。アエラ様には感謝だな。

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