第01話 非業の死
新作です。
不定期苦心となりますがよろしくお願いします
「「うわぁぁぁぁぁぁぁ」」
ぐしゃっ
学校中に響く2つの叫び声と何かがつぶれるような音。
それと、ともに俺に12年という短い生涯が終わった。
俺としては、やっと、という思いと、母さんを残したことを申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
こうして、考えると、俺の人生は本当にろくなものじゃなかった。
3つの時までは普通の家だった。いや、普通よりは裕福な家庭だったと思う。覚えていないけど……。
何せ、父親は若手ではあったが政治家だった。
しかし、俺が3つになった時、父親の不正献金やわいろなどといった疑惑が浮上。
それにより父親は逮捕され、獄中で自殺したらしい。
それだけならまだよかった。俺と母さん2人で細々と生きられたから、でも、世間がそれを許してくれなかった。ほかに話題がないのかというほど連日による報道とバッシング。父親の財産はすべて没収されていたために母さんがパートに出ることになったわけだけど、報道がパート先にまでやってくるようになりクビ。それからも幾度となく職を変えるがことごとく父親のせいで不当にクビにされ続けた。おかげで生活はかなり苦しいものとなった。
それでも、母さんは俺を愛してくれ、俺を守ってくれた。
でも、そんな母さんとは別に、俺も地獄だった。
まず、保育園で知り合い友人となった栗山颯太、父親が逮捕されるまでは仲が良かった。
しかし、逮捕されてからは無視されるようになった。
その頃は意味が分からず、何度も話しかけた。それでも、まるで俺がいないかのようにふるまわれた。そして、それはほかの者たちにも映っていき、ついにはみんなからも無視されるようなった。それを見ていた保育士はというと、颯太たちを注意しるのではなく、無視されている俺に注意してきた。『話しかけないと、お友達出来ないよ』と、俺としては何度も話しかけてきた。それでも無視されている。それなのになんで俺がそんなことを言われないといけないのか、本当にわからなかった。
まぁ、でも、あの頃はまだ俺自身も、颯太自身もよくわかっていなかったからましだったのかもしれない。
それから、小学校に上がって、颯太も同じ小学校に上がったわけだけど、やっぱり無視された。
それどころか、それまで別の保育園や幼稚園に通っていた連中も巻き込んでの無視。
といってもその期間はそれほど長くはなかったが、何せすぐに嫌がらせとなったからだ。
まぁ、嫌がらせといっても、俺の物を盗むとか教科書やノートに落書きをされる程度だった。
そんな中、3年の冬休み明けある事件が起きた。
それは、クラスメイトの1人がなぜか学校に財布を持ってきていた。
俺の小学校は当然ながら財布の持ち込みは禁止、にもかかわらず持ってきておいて、盗まれたと騒ぎ始めた。
そのおかげでクラスは大騒ぎだ。みんなが、誰が盗んだのかと言い合いが始まった。
その時、また同じクラスだった颯太が、俺が盗んだのではないかといい始めたのだ。
当時、うちの家計は火の車、颯太は長い付き合いだけあって当然それを知っていた。
だからこそ、そういったわけだが、みんながそれを信じた。
もちろん、いくら俺でもそんなことをしないし、そもそも、そいつが財布を持っていたことなんて知らない、俺がそういっても誰も信じてもらえなかった。希望にすがるように担任を見ても、担任までも盗んだ財布を出すように迫ってきた。
その後、それを証明するためと持ち物検査を受けた、その際、俺の荷物はすべてひっくり返された。でも、当然ながら財布なんて出てこない。普通ならそこで俺ではないとなるはずだ。だが、俺がどこかに隠したんではないかといい始めたのだ。
そして、ついに母さんを呼び出した。
盗まれたやつの親も呼び出され親同士の話し合いとなった。その結果盗まれた金額を返せばこれ以上問題にはしないということになった。
母さんは最後まで俺ではないと信じてくれた、でもその場を収めるため支払わざるを得ない状況だった。
そうして母さんは盗まれたという金額を支払ったわけだけど、その金額は1万円、俺は驚愕した。なんで小学3年でそんな大金を持っているのかと、聞いてみればお年玉というらしい、俺は一度ももらったことがないし、これまでそんな話をしたこともないので知らなかった。そんな表情をしたら母さんが少し申し訳ないという顔をしたのが印象的だった。
まぁ、とにかくこの問題はこれで解決したわけだけど、うちとしては最悪だ。何せ1万円といえば当時の、いや、今でもそうだけど、約1か月の生活費に相当する。そんな金を持っていかれれば、当然うちは余計に苦しくなった。
しかも、俺に対する嫌がらせも終わらない。というかこの時から嫌がらせがいじめになったと思う。いや、最初からそうだったが俺が認識を始めたのがこの時だった。
何せ、ノートや教科書がボロボロにされるわ、机も泥棒と書かれる。はじめのころは鉛筆で書かれてたために消すことができたが、だんだんと油性のマジックやペンで書かれるようになった。
そうして、それを見つけた教師は学校の備品をダメにしたといって怒ってくる。理不尽とはまさにこのことだろう。
極めつけは、給食だ。家は先にも言った通り母さんが職を転々とする羽目となったために、給食費を払えなかった。低学年の時はそれでも何とか食べることができていた。だが、高学年になると、払わないやつは食うなと給食を取り上げられた。その一方で払えるのに払っていないやつもいたのにそいつは普通に食っていた。
どういうことだよ。
と、そんなわけで、俺は1日朝と晩のみ、しかも量は少ない。そのため俺はどんどんとやせて行った。そんな俺を見て母さんは自分の分まで俺に食わせてくれたから、俺は何とか生き抜くことができていた。
そして、中学に入ったわけだけど、いじめ自体は変わらない。いや、むしろ増えた分激化した。どういうことかというと、俺の中学は地区の関係上、俺が通った小学校は私立に行かない限りこの中学に上がる。そして、他にも2つの小学校から半分の生徒がやってくるという場所だった。だから、単純に数は倍となった。
そうして、今日、運命の日。
俺は、昼休み、相変わらず何も食べられないので水を飲んで過ごしていた。そんな中、クラスメイト数人に突然拉致された。
連れていかれたのは屋上、いつもは鍵がかかっている扉がその時は風通しのために開けてあった。
そこにはさらに数人のクラスメイトと颯太がいた。
そして、颯太は『お前、もう、死ねよ』そういったのだ。
俺はいつもの冗談だと、いじめの一環だと、思った。しかし、それは、冗談でもなかった。何せ、颯太をはじめとした数人が俺を抱え上げて、上履きを奪うと柵の向こう側へと運んだからだ。
この時、俺の体は、栄養不足と元から小柄だったこともあって、身長12cmぐらい、やせ細っていたために体重も軽い、俺を持ち上げるなんて普通の中学生ならだれでもできただろう。
だからこそ、俺がどんなに抵抗しても無駄となった。
俺も必死だった。でも、颯太は、俺の胸倉をつかむと『ほんと、死ねよ』、そういってなんと俺を突き落としたのだ。
俺も必死だった。必死だったから、とっさに突き落とした颯太の手をつかんだ。
こうして、冒頭に戻るというわけだ。
俺は学校の屋上から突き落とされ落下、その際に颯太で、俺より後に落ちた。
つまりどういうことかというと、最初の悲鳴は俺と颯太の重なった悲鳴。続いたぐしゃというつぶれた音は、先に落ちた俺の頭に颯太の全体重が落下した音、つまり俺の頭がつぶれた音だった。
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