305話 帝都剣闘士大会、決勝その2
前回のあらすじ
・帝都剣闘士大会の決勝戦が始まった。予選免除のウィルやフランチェスカが出場し、ベスト8までなんなく勝ち上がるものの、光輪流の継承者ソロモン・ライトマンという強敵が2人の前に立ちふさがるのだった
本決勝の第一試合のソロモンとエルゴーの対戦を、武舞台すぐ下に勝手に椅子を出して待つ。神官服を着てるしちゃんと治療の補助もする予定だ。
ソロモンの件、フランチェスカへはウィルが知らせに行った。二人は少し離れた場所で難しい顔をしてなにやら話している。
俺は気楽なものだ。戦うのはウィルだし、ウィルが負けた時の条件も帝王陛下にかけあって保険をかけた。ソロモンの目的は師匠だろうし、師匠と光輪流の因縁には俺が立ち入る余地はない。さすがに今日は俺は完全な傍観者だろう。
そうでもなくとも心配事は多いのだ。科学の基礎を記した教本が完成すれば次は実際の作業と研究に入ることになる。
何から手をつけるか? 重要性と実現にかかる時間をしっかりと秤にかける必要がある。そうそう、それで会議をするんだったな。今日戻ったら話して日程を決めよう。でも教本がある程度行き渡ってからのほうがいいか? 写しは何部くらい必要だろうか? それから教本から漏れた知識もまとめる必要がある。実に膨大な分野にわたり、なおかつ切れ切れの知識をだ。今から頭が痛い。
石油の件もある。リリアが午前中に転移ポイントを確保してくれたから後で見に行って、可能ならすぐにでも採掘基地を建設する。またエルフの人員を派遣してもらう必要があるな。
闘技場で歓声が上がる。エルゴーの登場だ。間近で見ると雰囲気があるな。二メートルを超える巨漢だが武舞台を登る身のこなしは猫のように滑らかで、高い身体能力を伺わせる。剣は我流ということだが、剣術に頼るまでもなく並み居る敵をその肉体的な素質だけで叩き伏せてきたのだろう。
続いてソロモンが控室のほうから出てきた。その表情には覇気が感じられないし装備は使い込まれていて、ベテランではあるがしょぼくれた中年冒険者といった印象だ。一見するとさほど強そうにも見えないし、これでウィルの相手になるかというと、ギュンターさんの言う通りに気にするような選手ではなさそうな気がする。
しかし強いという情報を得てから見ると違って感じる。エルゴーと並ぶと小さく見えてしまうが、一八〇センチは軽く超えていそうだ。それでさほど大きく見えないのは鍛え上げられたよく締まったバランスのいい体つきをしているから、むしろ細くすら思える。
違和感があるのは武舞台に上がってエルゴーを前にしてもまるで緊張した様子もないことだ。まるで普通の風景でも楽しむかのように、観客がぎっしりの闘技場をぐるりと見回している。試合を前に戦意を滾らせているエルゴーとは対照的だ。
強さゆえの自信だろうか。やはり戦っているところを見ないと強さの判断は難しいな。
そのソロモンが俺のほうへと視線を向けて表情を一変させた。
「バルナバーシュ・ヘイダ……」
そうつぶやき、一瞬だけの獰猛な笑みを見せた。やはりお目当ては師匠か。
「どこを見ている」
エルゴーが自分を前に注意をまったく払う様子がないソロモンに、そう言って睨みつける。その声に、探す手間が省けたとソロモンはまた呟き、エルゴーに向かい合った。
「探す手間が省けたとか言ってますよ?」
「ふん。今更わしを討ち取ったところで何が変わるわけでもあるまいに」
「そうなんですか?」
そう純粋に疑問に思って尋ねた。もし剣聖に勝ったとなれば当代一の剣士となるのだ。それは大きな変化だろう。
「復讐であれば相手をするのも良かろうが、光輪流の復興を考えているようならもはや手遅れというものだ」
光輪流の閉鎖性を嫌ったのが、師匠をして後継者候補にまでなってからの出奔の理由だった。危険な薬物による奥義の強制開眼などを考えれば無理からぬ話ではあるのだろうが、それでも有用な剣術を、一部の選ばれた者にしか教示しないのは大きな損失だと師匠は考えたのだ。
今更師匠を倒して名を上げたところで、その閉鎖性が変わらねば源流と同系統の剣術である光輪流では源流の亜流以下。その術理をすべて開放したところで、やっと源流の亜流と呼べる程度。源流に成り代わるのは今更不可能だ。そう師匠は言う。
「もしこの数十年で光輪流が新たな剣術を組み上げたというのなら喜んで相手をしてやるが……」
光輪流出身のレーダとトニエラの剣術を見るにそれも望み薄か。
では力試し、最強の剣士たる証明とかならどうだろうか。師匠に勝てればうちで勝てる者は居ないだろうな。万が一そうなれば……
剣士のナンバーワンが入れ替わったからって、だからどうしたって話だな。人間同士で最強を競って何になるというのか。破壊だけなら俺が魔法をぶっ放せば、一人の剣士の力など誤差レベル。俺の置かれた状況に変化はない。
どうせ返り討ちになるだけだろうが、しかしまかり間違って師匠が負けでもしたらなかなかの騒動になるだろうから、ちょっと今の時期は止めていただきたいところだ。
師匠と話しているうちにエルゴーとソロモンの試合が始まるようだ。
エルゴーは開始とともに咆哮を上げてソロモンに詰め寄る。どうやらソロモンの態度がエルゴーを怒らせたようだ。エルゴーは手にした体に見合った巨大な剣を、大きく振りかぶって力任せにソロモンに叩きつけた。
剣と剣がぶつかった金属音が会場中に響き渡る。二人の動きは止まっていた。全力の剣を小揺るぎもせず受け止められたエルゴーが驚きの表情を浮かべている。そしてハッとすると、飛び下がってソロモンから距離を取った。
ソロモンは受ける直前少し前に出て打点をずらしたな。それでエルゴーの剣はパワーを出し切れなかったのだろうが、それでも今みたいなエルゴーの剣を正面からまともに受けたのは大したものだ。
「あれは受ける時にな、ほんの少し全身の力を緩め、相手の勢いを逃がしておるのだ」
ギュンターさんがやっていたのもそれか。打った時の手応えの違和感。
「そんなの教えてもらってませんよ?」
「流水系の技だからの。お前は苦手であろう?」
本来は盾で受ける技の派生だそうだ。剣でやるのは難易度が高い。そして難しい技術のわりに衝撃を逃がすことができるだけで、防御が多少楽になる程度だという。そもそもが防御系の技術の練習する暇があるなら攻撃力を伸ばすほうが俺たちは先だ。
「それに強い剣戟は膝で逃がす。基本は教えたはずだ」
なるほど。その発展形か。膝だけじゃなく、腕から始めて全身で剣戟の衝撃を逃がす。師匠やギュンターさんは普通に使っていたようだし、後でサティと試してみるか。
話しているうちに試合が動いた。今度はソロモンが攻撃にかかる。しかしソロモンの攻撃も簡単に受けられて反撃されて、どうもソロモンのほうが押され気味だ。
その動きには精彩がない。力を抑えているのか? それでもエルゴーの反撃も悉くいなされてはいる。エルゴーは軽く振るっただけで人が吹き飛ぶような威力の剣、その全力をぶつけるが、何度やってもがっちり受けられてしまう。
ソロモンは弱くはない。しかしいまひとつ強さが見えてこない。
エルゴーの動きが変わった。ソロモンの攻撃力が弱く、動きもさほど良くないのに気がついたのだろう。大振りを止め、ヒットアンドアウェイで早い隙のない攻撃に切り替えた。
巨体に似合わぬ素早い動きにソロモンは対応しきれない様子で守りに回っている。そのエルゴーの派手な動きに会場が沸き立った。
「エルゴー、思ったよりいいんじゃないですか?」
後ろの師匠にそう声をかける。剣術は荒削りもいいところだが、身体能力が恐ろしく高い。パワーはブルーブルーほどでもないように見えるが、スピードは明らかに上だな。
「我流でやってきたああいうタイプは修正するのが難しいぞ。ただ正統派の剣術を教えても長所を潰しかねん」
俺やサティはスキルで剣術を得て、冒険者ギルドで源流を学んだヴォークト軍曹殿に最初から指導され、完全に正統派の剣術を学んだ。ウィルも指導は剣術指南役からでミリアムは最初から師匠の直接指導でこれも正統派だ。
シラーちゃんが我流なんだが、獣人はだいたい自分の村で、身内か知り合いに剣の扱いを仕込まれるらしい。スキルで正統派な剣術は会得したが、やはりちゃんとした剣術を学ばなかったせいか、多少伸び悩んでいる部分もあった。
しかし結局のところ素直に学んで、地道な修行をする気があるかどうかって話になるのだろうか。
エルゴーの強さはもうすでに一般レベルから逸脱している。それこそ俺やソロモンにでも勝とうと思わなければ、厳しい修行をせずとも何の不都合もないだろう。
今度はソロモンが足を使いだした。エルゴーが何をしようとソロモンの防御は抜けなかった。その上、足でも互角に追いすがられる。どちらにも有効打はないがエルゴーに焦りの色が濃い。恐らく自分と同等のパワーを持つものと戦った経験がないのだろう。
「でかい者同士のぶつかり合いは迫力が違いますね」
巨漢同士の鍔迫り合いを観戦しながらのんびりとそう言う。結局のところソロモンがいくら強く、師匠と敵対しようとも俺の敵ではないのだ。光輪流は衰退したとはいえ今でも神国の御用剣術の地位にはある。神託の巫女様と神国皇帝は俺の味方だ。
いっそソロモンもスカウトしてみるか。多分ダメだろうが話すくらいなら損はないし、もしかすると勇者になら協力していいとかになるかもしれない。名前からして光の者っぽいから味方になる可能性は十分ある。強者、人類を守る剣は一人でも多いほうがいい。
それで流派ごと協力してくれればいい戦力になるだろう。師匠が嫌ならイオンに付いてもらえばいい。
巨漢同士の激しい戦いは長くは続かなかった。ソロモンの剣がエルゴーの隙をつき、手痛い一撃を与える。
しかしまともに食らったエルゴーがふらつきながらも踏ん張った。追撃はない。ソロモンはゆったりとした構えでエルゴーが戦いを再開するのを待つようだ。
舐められたと思ったのか、エルゴーが剣を大きく振り上げ吠えた。そうして形も技も関係なしに乱暴に剣を振り下ろす。
ソロモンがその剣を初めて受けきれず横にそらした。二撃三撃との追撃にソロモンが押されて後退する。
避けて反撃すればそれで終わりなのに、まともに相手をするとは物好きな。しかしわからないでもない。卓越した技術で圧倒するのは大人気ないし、相手の得意な力でねじ伏せたかったのだろう。まあ失敗してるわけだが……いやソロモンも大きく構えを取った。そして正面から剣を振り下ろした。
エルゴーはその剣を受け止めきれずに体を崩した。ソロモンはどうだと言わんばかりにエルゴーを睥睨する。今のは奥義を使ったかな?
再度のエルゴーの反撃の剣をソロモンはがっちりと受け止め跳ね上げる。
そうして後退したエルゴーにゆっくりと歩を近づけ、そして防御態勢を取ったエルゴーに剣を打ち込んだ。
その横薙ぎの剣に、エルゴーが受けた剣も耐えきれずに剣ごと体に叩きつけられ、巨体がふわりと浮いて吹き飛ばされた。これまでとは桁違いのパワーは不動剣か。奥義の使用もスムーズで後遺症もなさそうだ。やはり相当に優秀だな。
倒れたエルゴーがそれでも立ち上がろうとするが、そこにソロモンの剣が突きつけられる。
「まいった……」
技でも力でも完敗したエルゴーはがくりとうなだれると負けを認めた。決着が付いたと観客から大きな歓声を拍手が起こる。
ソロモンはこちらをちらりと見ると俺たちの反対側に向かい、エルゴーには一顧だにせず武舞台を降りた。必然的にエルゴーは立ち上がるとこちらへとやってきて武舞台を降りる。剣で防いだ状態で食らったとはいえ、その足取りはしっかりしている。なかなかタフだな。
「治療をしよう」
そう声を掛けた俺にエルゴーは素直に立ち止まったので回復魔法をかけてやる。
「全然ダメでしたね」
治療が終わったところでサティがエルゴーを見上げ、突然そう声をかけた。スカウトするのになんて声をかけようかと考えていたところだ。
「なんだぁ、このガキ」
意気消沈していたエルゴーがサティに向けて怒りの声を上げる。
「技でも力でも何もかも敵わなかった。それでこのまま負けを認めて逃げ帰るんですか?」
その容赦のない言葉で更に怒るかと思ったが、エルゴーは怒りを収めて言った。だいたいの野郎の獣人はサティを見ると優しくなる。俺がこんなことを言ったら殴りかかられてたな、絶対。
「もちろんこのままじゃ済まさねーが……」
だがどうしたら勝てるようになるか、考えが浮かばないのだろう。何もかもソロモンには及ばない状態だ。単純に鍛えてどうなるものでもない。
「良ければわたしが鍛えてあげましょう」
ニッコリと微笑んでサティが言う。
「お前が? 俺を? 鍛えるだと? はっ! 面白くもない冗談だ」
エルゴーがそう言って首を振る。
「わたしのほうがあなたより強いんですよ? 信じられませんか? それなら教えてあげます」
そう言って両手を差し上げる。
「手を出してください。力比べをしましょう」
さすがにエルゴーも困惑している。体格差を考えれば人差し指一本でも勝てそうな相手だ。
「一度相手をしてやれば満足するんじゃないか?」
他人事のように俺が言うとエルゴーはその巨体を屈め、恐る恐るといった風にサティの手に手を合わせた。
「じゃあ行きますよ?」
サティの合図に途端に覆いかぶさるように立っていたエルゴーの肩と肘ががくんと下がる。
「なっ、うぉ!?」
「ほらほら、もっと力を込めないとこのままわたしが勝ちますよ?」
エルゴーの両肩の筋肉がぐぐっと盛り上がる。が、サティの手をまったく押し返せない。
「な、なんだお前は!?」
「言いましたよね。わたしのほうが強いと」
サティが話しながらもじりじりとエルゴーの体が沈んでいく。
「世の中にはあなたの思いもよらない強い人がたくさんいるんです」
「こ、こんな馬鹿なことが……」
最後にフッとサティが気合を入れるとエルゴーががくんと膝をついた。呆然とサティを見上げたエルゴーにサティが優しく言う。
「わたしに従えばもっと強くしてあげます」
「……それであいつに勝てるか?」
もはや馬鹿にした様子もない、真剣な問いかけだ。
「それはあなたの修行次第でしょう」
「なら、あんたなら奴に勝てるのか?」
「やってみないとわかりません。あの人はまだ本気を見せてませんから」
「本気じゃない……そうか。俺は相手をしてもらっていただけか……」
ソロモンが本気なら最初の一撃後の追撃で勝負は決まっていただろう。もしくは勝負にもならずに瞬殺されてもおかしくなかった。
「修行ってサティが見るのか?」
「んー、わたしも多少は見ますが、ビエルスに連れて行くか、それかシラーちゃんに預けようかと」
ちゃんと考えてスカウトしてくれたらしい。偉いぞー。
「待て。修行はしたいが、部下を放り出しては行けない」
「傭兵団でしたか?」
「そうだ。俺はその頭なんだ」
「今仕事を受けてますか? 受けてないならヒラギスに来ませんか? 仕事ならいくらでもありますから、傭兵団ごと雇います」
そう言って俺のほうを見るので頷く。聞いてみると傭兵団は二〇名弱で全員獣人だという。
「しかしヒラギスか……」
帝国の中心地、帝都からだとヒラギスは辺境のさらに先だ。かなり遠方となるのを気にしているのだろう。
「移動は転移魔法で送っていってやる。もし行ってみて仕事が気に入らなければ、すぐに戻れるぞ」
「ヒラギスに今、獣人の町を作っているんです。農地も広々としてとてもいいところですよ」
「獣人の町?」
エルゴーは少し興味を惹かれたようだ。
「ヒラギス奪還の功績で領地をもらったんです。伯爵領ですから、かなり大きいですよ」
「獣人の領地なのか!?」
「そうです。わたしたちが治める、わたしたちのための領地です。雇われるのではなくて、自分たちのために戦うんです」
エルゴーの相手をしているうちにフランチェスカの出番が終わってしまった。まあ瞬殺だったのだが。
そして次はウィルだ。相手はそこそこやりそうだったが、そこそこレベルだと相手にもならない。数合打ち合った後、あっさり勝負を決めていた。そうして少し迷ったようだがこちらへと降りてきた。フランチェスカのほうへ行くより、俺たちが試合そっちのけで何をしているのか気になったのだろう。
「どうしたんすか?」
「ああ、剣の修行をしないかって勧誘してるんだ」
「王子様……知り合いなのか?」
「同じパーティの仲間だよ」
「仲間というか部下になるな。エルゴーと言ったか。マサル殿に稽古を付けて貰えばすぐに強くなれるぞ」
「マサル殿? こっちのサティが稽古をつけてくれるんじゃないのか?」
「ああ、まあ俺とサティは一緒に行動してるし、修行も一緒だから俺も暇な時は見てやるよ」
「お前も強いのか?」
うむ。神官服だし俺も強そうには見えないんだな。わかるよ。
「お前じゃありません。マサル様です。マサル様はわたしよりずっとずっと強いですよ」
「あいつよりも?」
「もちろんです」
そうサティが断言する。どうかな。やってみないとわからんが、魔法込みの本気なら後れを取ることもあるまい。しかしそれだけではエルゴーも納得しかねるようだ。
「俺とも力比べをしてみるか?」
本当は剣の腕を見せればいいのだが、さすがに試合をしている横で剣を振り回すのは試合を妨害しかねない。
エルゴーはサティの時と違ってえらく気合を入れて俺の前に立った。さすがに連敗はしたくないのだろう。手を合わせた時点でかなりな力を込めてきて、どちらともなく力比べが始まった。
おお? さすがに力がある。俺も目一杯の力を込めたにも関わらず序盤の形勢は互角。そこから更にエルゴーが顔を真赤にして力を入れてきたところで俺のほうが押され気味になってしまう。
勝てそうだとエルゴーが勝ち誇ったような表情を浮かべる。だが残念。
「はあっ!」
気合一発。奥義を発動する要領で一気に力を注ぎ、エルゴーをねじ伏せた。
「剣の強さは大会が終わってから見せてやろう」
膝を付いたエルゴーはその場にどっかりと腰を下ろし、観念した様子で俺の言葉に頷いた。きっと生涯で負けたことなど数えるほどしかあるまい。それがこの短時間に三回も、それも自慢の力で負けて完全に心が折れたようだ。
ちょっと可哀想だが傭兵団ごとヒラギスに誘致できそうなのは良かった。移住してくれなくとも、ヒラギスが落ち着くまででも戦力になってくれれば助かるというものだ。
余裕があれば全員に剣を仕込んでやればいいかもな。どうせ皆我流だろうし、いっそビエルスから道場を誘致してみるか? そんなことを考えながら一回戦の最終戦が終わるのを観戦し、なかなかの激闘で双方に治療が必要だったので俺も武舞台に登った。
次は準決勝、ソロモンとフランチェスカの試合だ。できればここでソロモンは倒してくれ。そう祈りながら二人の登場を定位置に戻って待った。




