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ニートだけどハロワにいったら異世界につれてかれた【書籍12巻、コミック12巻まで発売中】  作者: 桂かすが
第十五章

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302話 剣術修行、ゾーンの習得

前回までのあらすじ

・帝都秋祭り初日、レセプションパーティでゴールドハウブズ伯爵とのトラブル、2日目は帝都大劇場の舞台でサティとデランダルさんが歌を披露

・3日目、エルド将軍邸のパーティはパーティと名ばかりの剣術修行の場だった

・先輩ソードマスターのギュンター氏やエルド将軍に稽古をつけてもらう



 エルド将軍邸でのパーティの翌日。家族会議は昼食時にしてもらった。場所はビースト領の俺のお城である。昨日は文字通り足腰が立たなくなるまで戦ったから午前中はゆっくりと休ませてもらったのだ。


「ふうむ。ダークエルフの剣士か」


 集まったところで昨日考えた懸念を話すとリリアは思案顔である。


「心配は無いのではないか? あやつらはプライドが高いからのう。少なくとも源流は学ばんじゃろう」


 敵、それも格下で滅ぼそうとしている相手に教えを請うかという話だ。


「ビエルスでそれらしいエルフが修行をしていたという話も聞いたことはないな」


 師匠もそう断言した。俺たちが修行に行った時、ついでにお向かいの道場で配下のエルフにも剣術を学ばせてみたのだが、美形のエルフの修行風景はかなりの評判になったものだ。むさ苦しい剣士が多い中でのエルフが、目立たないわけがない。

 ビエルス以外となると師匠も目は届かないが、弟子を通じて探ってみると約束してくれた。


「じゃあ魔境で独自に剣術を作り上げている可能性は?」


 もしくは師匠がビエルスに落ち着く以前、数十年とか一〇〇年前に剣術を試していた可能性だ。エルフは帝国とは折り合いが悪く、ダークエルフは帝国内で好き放題活動していたくらいだ。


「コツコツやるなどダークエルフの性に合わん気がするし、それほどの剣士がおるなら誰かが知っておるはずじゃな」


 むろんまったく表に出てきてないだけの可能性はあるだろうが、独自の高度な剣術が存在するなら、他のダークエルフにもなにかの痕跡があるはずだ。剣術の修行は一人では難しいし、源流に迫るほどの剣術体系を作るとなれば尚更だ。


「そもそもこちらの領域に来るダークエルフは隠密行動じゃからの。武器は目立たぬ短剣が多いようじゃぞ?」


 魔法使いたるエルフが剣を持っていれば、それは必要以上に目立つはずだ。短剣以外で武器を持つなら弓が多い。護衛騎士などが本格的に剣を使うこともあるが、あくまでそれは例外だ。

 だが心配はもっともということで、エルフの里でダークエルフ関連の情報を確認してもらうこととなった。もしダークエルフに熟練の剣術使いが存在していれば、何かしら使い手の情報はあるだろう。


 続いて話は昨日のエルド将軍のパーティでの成果に移った。

 軍関係者との顔繋ぎはスムーズに進んだ。帝王陛下とも仲の良い、軍総司令やエルド将軍とも親しく交流する勇者とその仲間たちだ。向こうから誼を通じたいと声を掛けてくる者は多い。


 しかしウィルフレッド王子や剣聖の後ろ盾、勇者の名声でもって帝王に、帝国中枢部に取り入ったのではないかと危険視されているという噂もあったそうだ。

 エルフがバックにいるのも不安感を助長している。実際に帝城でエルフが軍を展開し衝突間近までいったのだ。その帝城内部で何があったかに関しては箝口令が敷かれて情報がない。帝都に在住していたり情報源があるならともかく、地方在住では情報は断片的にしか入らない。


 それで祭りのついでに地方から帝都に来てみれば、エルフとは和解しており、短期間で帝国で権勢を振るいだした勇者一党が居て、詳しい事情を知らなければかなり不気味な存在だろう。

 そのあたりを実際に会って話して誤解を解いておく。俺たちが何者で何を目的としているのか? ヒラギスや帝都で何をしてきたか。

 エルフの里を救う神託でエルフの信頼を得て、そしてヒラギスでも神託によって戦った。そんな話を俺たちの修行風景を肴にかなり長々と語ったそうである。リリアは俺の武勇伝ならいくらでも話せるからな。


 もしまた大きな魔物の動きがあれば、勇者を頼るといい。そのための勇者なのだし、神殿も公認の本物の勇者だからこそ、帝王陛下も全面的にその動きに協力しているのだと。


 俺から話したのは、何か事が起これば協力してほしい。これだけだ。ヒラギスではどいつもこいつも言うことを聞かなくて大変だったからな。

 その代わり大きな戦いがあれば必ず救援に行くことを約束した。


「でも一番の成果はバルバロッサ伯爵の協力が取り付けられたことね」


 バルバロッサ領はいくつかの領地を挟んでいるが、旧ブランザ領、ゴールドハウブズ領とそこそこ近い位置にあるそうだ。どこも帝都の東側の領域で、東方国家群に近い地域だ。

 そして伝統のある家門なので周辺への影響力も大きい。つまりブランザ領に近い領地の貴族たちへも渡りが付けられる。

 ブランザ領の返還が近々あることは内密の話として教えたそうである。いいのかと思ったが、仲良くするなら極秘の情報提供などは有効な手段となるし、その信頼を裏切る代償は重い。約束の反故や情報漏洩なんか、真偽官が探ればさくっとバレちゃうからな。

 ちなみに話したのはブランザ領の返還までだ。その理由、鉱山の話などはさすがに漏らすとまずい。


「バルバロッサはエルド将軍と和解したようじゃぞ。妾にも改めて頭を下げおったわ」


 反省したのか、それとも出世したエルド将軍に媚を売ったのか。まああのおっさんが謙虚になったのはいいことなのだろう。


「それでもっと親しく、できれば縁戚となれればって話がね?」


 つまり俺と婚姻関係を結びたいと。バルバロッサ家の祖は先代の勇者だ。あからさまには言わなかったようだが、新しい勇者の血がほしいのだろう。


「俺は嫌だぞ」


 帝王陛下の申し出すら断ったのだ。


「まあその話は急ぐ話でもないから追々ね」


 エリーも一応俺に伝えただけで受ける気はさほどなさそうだ。それでも後回しにして明確に反対しないのは親戚になりたいだけならブランザ家、お義兄さんのところの子供でもいいからだ。

 相手は伯爵家だ。ブランザ家は今は男爵だし、お相手としては破格だ。それとも我が家に子供が何人も生まれればみたいな、将来的な話でもいい。

 いっそ俺が受け入れちゃうのも手だな。もう帝国にはがっつり絡んでいるのだ。帝王家もバルバロッサ伯爵家のも両方受け入れて一人や二人、嫁が増えても……って今は無理か。忙しすぎる。


「そっちは当面は保留で。それで今後だけど、ダークエルフのこともあるからしばらくは修行と千年計画に集中させてほしい」


 帝都の祭り見物なんかもする予定だったのだが、今の帝都はダークエルフが潜伏している可能性があるから特に危険だ。それ以外は人混みにでも行かなければ護衛も十分警戒しているし、そうそう危険もあるまい。


「いま千年計画に使う追加の資料を作ってるから、それが全部終わるまで、たぶん二、三カ月くらいでどうにかなると思う」


 ここまでは必要な知識、すぐに使えそうな情報のみに絞って伝えていたのだが、将来的に必要な知識も記録に残しておく。たとえばコンピューターや情報ネットワーク、テレビやラジオ、政治や経済の話なんかもだし、それに加えてどう役に立つかどうかわからない知識も大量にある。料理とか音楽、ゲーム知識とか文化方面の知識も余裕があれば書き残しておきたい。


 問題となるのが言語の壁だ。こちらの言語に該当する言葉がない。概念もない。電気や原子や分子の概念すらなかったのだ。ちょっとした知識にも注釈や図を多用して長々とした説明になってしまう上に、前提となる俺の知識もあやふやな部分が多い。

 それでも俺が万一死んでも大丈夫なように、少しでも役に立ちそうな知識はすべて書き出すつもりだ。それが終わってしまえば、俺に何かあっても千年計画は遅れこそすれ、頓挫することはないだろう。


「いっそエルフの里で千年計画に集中しておれば良いのではないか? それで修行もできないこともないであろう?」


 リリアの提案も悪くないが、最初の神託がある。引き籠もりはおすすめしないと。


「それじゃダメだ。無用な危険は避けるべきだが、怯えて逃げ隠れるなんて勇者じゃない。修行もするし、他の仕事もできる範囲で全部やるんだ」


 俺にしかできない仕事がいくつかある。農地作成や大量の物資の輸送なんかは手間もそれほどかからない。事業や運営なんかは始めたのはだいたい俺でも元々軽く口を出す程度だったので、丸投げで報告を聞く程度で問題ない。

 あとは千年計画が進めば、実地での作業、農業や工業分野で実際に現場に行って監督することが必要になるだろうか。


「まあ基本的には俺の休暇が減るだけでやることは変更はないから」


 休暇。儚い夢だったな。


「わたしたちもできるだけ協力するからあまり無茶はしないようにね?」


 アンの言葉に頷いておく。多少の無理はもう仕方がない。後は突発的なイベントが起こるかどうかに尽きる。何もなければ予定を組んで、多少の休みくらいは取れるだろう。



 


 昼食と家族会議を終え、午後からはビースト城裏手の修練場で修行を少しやる予定だ。本日のテーマはゾーンである。前衛組に加えてギュンターさんに、師匠がいる。デランダルさんにも相手をしてほしかったのだが、今日もエルフの里らしい。


「――とまあ相に入る方法と、その時の状況はこんな感じだ」


 身体と精神を追い込む。探知スキルを全開にして感覚に負荷をかける。それで簡単にできるかというとそんなことはないだろうが、一番確かなルートに思える。


「その探知スキルとかいうのはなんだ?」


 一緒に話を聞いていたギュンターさんがもっともな疑問を述べる。


「神から俺に与えられた加護の一つですよ。目や耳以外の相手の動きを知るためのスキルです。あ、これは内緒ですよ?」


 そう言って探知や加護に関して口止めをしてからもう少し詳しい説明をしていく。


「つまり俺たちなら普通の人より相を会得しやすいはずだ」


 それを聞いてウィルが目を輝かせる。可能性は低くとも勝つためにできることはやっておきたいのであろう。さすがにすぐには無理だろうが。


 そこでもう少し詳しく説明しようとして考え込む。条件を整えてスイッチを入れるようにゾーンに入る。そして感覚や身体能力をブーストする。自転車のギアが一段上がるような感じに近いだろうか。

 うん、この言葉じゃ通じない。スイッチもブーストもギアも自転車もないものな。元から感覚的な話なのに、例えるための言葉もないでは伝えようもない。


「山を走る修行で疲労困憊になっている時に突然足が軽くなったことがないか? あるいは奥義も近いかもしれないな。アドレナリンって物質が頭を興奮状態にしたり、心拍数を上げたりする効果があって、確か内臓のどれかが作ってるんだけどそれが一時的に大量に出るから起こるらしい」


 だから誰にでもある身体の機能なはずだ。火事場のクソ力とかも言うから、それなりによくある現象なのだろう。


「それと俺たちには加護があるだろう? その加護もまだ十分に使いこなせていなくて、相に入ることで一時的に能力が開放されるんだと思う。だから力や速度も上がる」


 その分スタミナも使うし奥義のように体への負担も大きい。だが俺には光魔法があるから減ったスタミナも多少は回復できるし、ダメージ回復効果もあるから相性はいい。


「恐らく奥義との親和性もあるし、使いこなせれば便利だからお前らも覚えるんだ」


 たぶん奥義を覚えてからのほうが習得できる可能性は上がりそうだが、先にゾーンを覚えてもそれはそれで悪くあるまい。

 

「大事なのは危機感。精神的に追い込まれた感じ。それと必ずできるという確信だ」


 だからあえて習得の難しさに関しては言及を避けた。精神状態に左右されそうな技術だし、それなりに簡単だと思い込めば、案外さくっとできたりするかもしれないと思ったのだ。

 少なくとも俺という成功例が居るのだ。可能性は高いはずだ。


 で、そっちは各人努力してもらうとして、今日は自分のための確認作業をする。ゾーンはもう再現できるのは間違いないが、あとは使い勝手だ。ちゃんと入りたい時に入れるか。それと光魔法の強化状態での動きがどうか。


 まずはサティと立ち会う。サティを相手にゾーンを発動させることができれば、いつでも試せる。

 手始めに数合、軽く打ち合って体の感触、調子を確かめる。昨日の疲労は残っているが問題はないレベル。むしろ調子はいい気がする。

 すぐにギアをトップスピードに持っていく。全力で打ち合い、受け、躱す。毎日やっている相手だ。探り合いなど必要ない。


 しかしサティの当たりがなんだか弱い。いつもより勢いがなく俺に押されている。調子が悪い、そんな感じでもないし、これは罠か?

 実力はほぼ互角だが、ここのところ俺が少し勝ち越している。それで手を変え品を変え色々と試しているのだろう。

 油断も隙も見せず、追い込んでいく。崩れた。そして止めの一撃。まともに当たり、サティが膝をついてしまう。あれ?


「大丈夫か?」


 はい、と頷いてサティはすぐに立ち上がり、自分で回復魔法をかけた。本気で立ち会うと剣が当たるなどよくあることだし、回復魔法の練習にもなる。


「今日は調子が悪かったのか?」


「いえ。マサル様がまた強くなってます」


 追加の回復魔法を掛けながらサティがそう言う。


「確かに動きが良くなった感触はあるな」


 探知系スキルの扱いが自然にできるようになったのは感覚としてあった。

 人は目や耳を使うのに普通意識はしない。探知系スキルはその延長上にはなく、意識して視る必要があったのだ。車の運転中にスピードメーターやミラーを確認する感じに近いだろうか。

 それが目や耳に近い感覚で、ある程度並行して使えるようになったのだ。もちろん昨日だけの話ではなくて、最近警戒のために常時展開していた成果も出たのだろう。

 だがそれだけでもなかったらしい。


「剣の速さと重さが増しています。動きに付いていけませんでした」  

 

 そっちはそう言われても実感がない。たった一日でサティが弱く感じるほど成長するものか? ゾーンで身体的な限界が拡張されたのだと思えばわからなくもない話だが……

 師匠に聞いてもさほど意味はないか。もう一度自分で確認してみよう。


「ギュンターさん、お相手をお願いします」


 ギュンターさんとの力関係は素で普通に負ける。魔法を使い倒して勝てるかどうか。

 ゾーン状態なら勝てる。光魔法も有りなら圧倒できる。

 つまりゾーンも光魔法もなしで、互角か勝ち負けできるくらいにまでに持っていければ……


「ぐぅ」


 ギュンターさんが俺の剣を受けてうめき声を上げる。ギュンターさんの動きがよく分かる。何度も対戦した慣れもあるが、やはり感覚が鋭くなってそれが動きの読みの鋭さになっている。そして元から俺のほうが力と速さは上で有利な状態だったのだ。

 それがちょっとした強化で力関係が逆転した。


 今までよほど力を使いこなせていなかったのか。そんなことを考えてしまうが、今は目の前の相手だ。

 やっぱり硬い。押せはしても防御が良くて攻めきれない。力関係が逆転したと考えたのは早計だったかもしれない。

 このままどちらが上か、雌雄を決したい気持ちはあるが、それは今日のテーマじゃない。

 

 ゾーンを発動させるべく探知を全開にする。劣勢でピンチの時だけしか使えないのでは不便だ。好きなタイミングで使いたい。使う。発動させる。

 相手は強敵。油断一つでひっくり返される可能性がある。昨日ゾーンを発動させたギリギリでの奥義の回避。

 そこでぶわっとギアが入った感覚があった。剣が軽く感じる。ギュンターさんが遅く見える。ゾーンに入った。

 

 ギアの入った俺の攻撃にギュンターさんの防御が形振り構わずになってきた。表情を取り繕う余裕すらなく、必死の防御だ。

 それでも俺の攻撃は簡単には通らない。ほんとに硬いな。 

 

 だが俺相手に守りは悪手だ。引いたタイミングでエアハンマーを打ち込み、一気に守りを切り崩し仕留めた。寸止めする余裕もあったくらいだ。


「参った。もう俺では相手にならんな」


 おお、なんかすごいな。ゾーンを覚えただけでこれほど違うのか。そう考えながら加護と鼓舞を使用する。


「まだです。行きますよ」


「嘘だろ?」


「今度は攻撃魔法はなしにしますから、もう少しだけ」


 そう言って構えて迫るとちゃんと受けてくれる。やはり斬りかかられると体が動いてしまうのだろう。なし崩しにそのまま戦闘に持ち込む。

 攻撃を好き放題打ち込みながら、体の動き、感覚の確認をする。パワーが上がった分、剣の制御が難しく感じる。ともすれば勢い余って体が流れそうになる。


 常に全力は無駄が多いし負荷も大きいな。重要なのは緩急だ。

 力を抑え気味にする。必要なだけの動き、通常攻撃で相手を追い込み――そして烈火雷光。

 寸前で止まった剣にギュンターさんが目を見張り、そして力なく剣を下げた。

 

「ありがとうございます。ウィル、来い」


 俺の指名にウィルが飛び上がる。


「本戦前の餞別だ。俺の本気、しっかりと味わうといい」


 ゆっくりとウィルに近づく。構えを取るウィルに軽く剣を合わせてやる。意を決したウィルが打ちかかってくるのを丁寧に受けていく。動きを予測し、最低限の動きで防御や回避をする。受けながらカウンター攻撃のパターンもいくつか想定していく。

 そうして数合目、ウィルの剣の動きに合わせてカウンター攻撃を当てた。ウィルの剣を最小の動きで躱して、こちらの剣は寸止めするだけの余裕があった。

 俺がよくやる相打ち覚悟になる動きに近いが、速度や先読み能力があがったお陰で綺麗なカウンター攻撃に進化した。


「も、もう一度!」


「大会や実戦に二度目はないぞ。それに大会は明日だ。もう休んでおけ」


 次はサティがもう一度か。やる気で構えるサティのほうに向き直り、間合いを詰める。

 一合二合三合。たったそれだけでサティの態勢が崩れた。

 奥義、不動剣。それでもサティは剣を合わせてのけたが、剣の力が違う。そのまま剣ごと弾き飛ばされた。ヒヤリとしたが完全に剣で受けたようだ。しっかりとした足取りで立ち上がった。しかし手にした剣がぽっきりと折れてしまっている。

 練習用の剣でも整備は欠かしてはいないはずだが、頑丈に作られているとはいえ、あまり高品質とは言い難い剣では俺とサティの力に耐えきれなかったのだろう。

 奥義は上手く出た。体へのダメージも本気の奥義にしては小さい気がする。


 光魔法で強化したとはいえ、サティを一蹴。これならもしかすると師匠にも届くか? いや今日は疲労があって万全ではないし、新しい力もまだ十分に使いこなしてもいない。だが練習として一度くらい……

 迷ったのがいけなかったのか。ゾーンが途切れたのがわかった。疲労もどっと襲いかかってくる。


 次は相手なしでのゾーンの発動を試すか。光魔法とゾーン状態での動きも確かめておきたいし、もう少し体を休めて万全の状態でどれくらいゾーンを維持できるかも確認する必要があるな。


「主殿、わたしも頼む!」


 次はシラーちゃんか。


「じゃあミリアムも来い。二対一にしよう」


 ゾーンは切れたが探知能力、相手の動きを探る力が消えたわけじゃない。以前より相手の動きが詳細に把握できる。先読みの精度も上がっている。二人相手ならどこまで対処できるか? 今日は軽くの予定だったが試したいことは山ほどあるな。


書籍、11巻まで発売中です!

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― 新着の感想 ―
[気になる点] バルバロッサは侯爵家だと以前の話でありましたが…
[気になる点] >うん、この言葉じゃ通じない。スイッチもブーストもギアも自転車もないものな。 今更?過去にこのような表現使ってないですか? 作者転生しました?
[一言] >休暇。儚い夢だったな。 良いやつだったよ休暇… 休暇はもう居ない、何故だ!(坊やだからさ)
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