120話 冬来たりなば春遠からじ 【地図】
俺、山野マサル(23)の朝は早い。
夜明け過ぎにはサティに起こされる。大抵は一家の中で一番遅く起きるのは気にしないで頂きたい。早起きなのは確かなのだ。
サティとティリカ、アンは俺が起きる頃にはすでに家事や朝食作りなどに取りかかっている。エリーやリリアのときは一緒に遅くまで寝ていることもある。
サティが来た時、俺一人なら布団に引っ張りこんで朝のスキンシップを取ったりもする。あくまでちょっとしたお触り程度。朝からあまり時間をかけたり盛り上がっても処理に困る。アンに怒られる。
アンもたまに起こしに来て相手をしてくれることもある。二人っきりなら結構大胆だ。
休みにした日はそのまま布団で遅くまでまったりすることもある。もちろん誰かと一緒にだ。それは一日の中で二番目くらいに幸せなひと時だ。
屋敷には大食堂と小食堂があって、小さいほうは3階の家族の生活スペースに調理場とセットで設置されており、普段はそこで料理が作られる。というか大食堂の出番はまだない。
家事の大部分はルフトナちゃんが引き受けてくれたのだが、料理は自分たちでやっている。
俺が身支度を整えて食堂に行くとすっかり準備が整っており、朝食を摂る。
本日のメニューは穀物や野菜、肉が豊富に入ったごった煮スープにサラダ、パン、果物。朝食のメニューは凝ったものは出ないが量は豊富である。
食べながらその日の予定の確認をする。
「村の方は予定通り進んでるわね」
エリーはオルバさんたちと村作りプロジェクトを担当している。建設作業は俺とエルフさんとでやっているのだが、移住希望者の面談や受け入れ作業がなかなか厄介な仕事のようだ。
普通に家や農地を購入できるだけの資金を持っている人は大丈夫だ。希望を聞いて、あいてる場所を宛てがえばいい。自力で生活できるだろう。しかし移住希望者にはお金を持ってない人間も多い。返済計画を立てさせたり、中には農業が初めてなんて人間もいる。村を軌道に乗せるためには適切に面倒を見るか、あるいはこの段階でお断りしなければならない。
商業施設も最低限必要だ。宿、食堂、雑貨屋。住人数から適切な規模と数を配置する必要がある。
住民の予測数が変動すれば、それに基づいて建設計画の微調整もしなければならない。
本来なら準備だけでも数年かかるようなプロジェクトを、春までになんとか形にしてしまおうとエリーは毎日忙しい。
俺も村作りを前倒しで進めるよう要請されている。
もっともこれに関してはエリーに責はない。本来なら小規模な村の予定で余裕をもって春には間に合うはずだったのが、俺がちょっと張り切りすぎたのと、エルフの支援が噂になって移住希望者が急増したのだ。
上質な農地。立派な壁のある村。建設にはエルフも関わっているという。そして精霊の泉。
村作りの当初、水が問題となった。今農地を作ってる辺りは大丈夫なのだが、村予定地の俺の家周辺は土地が少し高い位置にある。水を引くにしても土地を低く削るか、水車などで無理矢理揚水するか。それとも井戸だけにするか。いっそ村の予定地を移動してしまうか。
なければないなりに井戸だけでも暮らせるのだが、どうせなら快適な方がいい。
助け舟はリリアから出された。
「里にいる水精霊にお願いすればよかろう。マサルの願いなら叶えてくれるはずじゃ」
エルフの里の水源はすべて水精霊だそうである。精霊はたくさんいるから、お願いすれば一体くらいは来てくれるだろうと。
で、さっそくエルフの里へ行き王様の許可をもらい、水精霊の集まっている泉で呼びかけてみたところ、ワラワラと精霊が寄ってきた。周囲が急に湿っぽくなる。
「もてもてじゃのう」
「これどうすんの?」
「どれか一体選べば良い」
選べと言われても、魔力の大きさくらいしか違いがわからないが……
それならと、集まった中で一際強い魔力を感じた精霊を指差してみた。
間違いだった。それとも大正解だったと言おうか。きっと何も考えずに選ぶ前に、少しでも相談すればよかったんだな。
俺の選択に反応し、即座に泉の水がこんもりと数メートルほど盛り上がり、選んだ水精霊がその巨大な全貌を現した。
リリアや王様の精霊なんて比較にならないほどの巨大さと魔力。
「え、なに? でかくないか?」
「お、おお……なんと。これはもしや泉でも最古参の精霊ではないか?」
何事かと付いて来たエルフたちも騒然としている。力のある精霊は普段は泉の奥に潜んでいて、滅多に姿を見せないらしい。
「そんなの連れて行っちゃって大丈夫なの……?」
「う、うむ。水精霊はたくさんいるから里の水に関しては大丈夫じゃが、これ一体で里の水全部を供給できるほどの精霊じゃぞ」
「交換は……」
「選んで承認された以上ダメじゃ。精霊を怒らすわけにもいかん」
巨大な水精霊はふわふわと漂ってきて俺に纏わりついた。水分で体がびっしょりだ。だが寒くはない。 直接精霊に包まれ、その嬉しそうな感情が伝わってくる。
いきなり大物が出てきてちょっとビビったが、別に悪いことでもないのか。
さっきみたいに普段は大人しくしてて目立ちもしないし、外敵に対する防御も担ってくれるという。将来、もし村が巨大な都市になっても水には困らない。
精霊の作り出す清浄な水は、錬金術師がお金を出して買い求めるような高品質な水である。それが村や農地へと流されることとなった。
エルフのことも泉のこともいずれバレるだろうと思って口止めもしなかったのだが、考えていたより情報の拡散が早かったらしい。
まあ移住はただの引っ越しではない。終の棲家を選ぶのだ。情報収集は熱心にもなるだろう。
こうして屋敷の横には精霊の泉が湧くようになり、その結果として大幅に仕事が増えた。
「私は午後からお仕事」
「私とサティでティリカに付いて行くから、またマツカゼをお願いね」
ティリカは真偽官の仕事をパートタイムで始めた。周辺の村々への出張真偽院である。
ミヤガの町の真偽官の依頼で、仕事の詳細は極秘。サティは護衛。アンは護衛と神官のお仕事もついでにやるようだ。
ただの定期的な調査で危険はないとのことだが、もし後ろ暗いのが紛れ込んでいればティリカが危険に晒される。それは職業上常にある危険で、護衛兼案内を真偽院でも用意してくれているのだが、それだけだともちろん不安なのでこちらでも護衛を付けることになった。
俺は午後から村作りがある。だがマツカゼを付けておけば離れていても状況はわかる。移動も便利だし、本気で走ればそこら辺の魔物からなら簡単に逃げられるだろう。
召喚獣は魔力供給の関係で、主からあまり距離が離れると長時間の維持は無理なのだが、高レベル召喚師のティリカは人の召喚獣でも維持くらいなら問題ないようだ。俺はまだ出来ない。
ティリカは真偽院の協力を公式に取り付けた。もっとも真偽院には実働部隊はないから形式だけのことではあるが、それでも並の勢力では名前を出すだけで脅しにはなる。
神殿も協力的だ。小なりとはいえ神官が領主の妻となるのだ。今のところ神殿側にはメリットはないが、長期的視野に立てば積極的に支援をする見返りは大きい。
まあどちらの勢力にしても今のところ具体的な協力は必要がない。もし何かあった時のためのちょっとした保険だ。
「午前中は予定通り訓練だな」
午後は各自の用事をこなすのだが、午前中はだいたいみんなで行動する。訓練、狩り、お休みの3日でローテーションを組んでいる。
加護持ちが簡単には増やせないとわかった以上、現メンバーの戦力強化は喫緊の課題だ。
「うむ。今日こそ盾スキルを取得するのじゃ!」
訓練場はお屋敷の四階天守閣下層の、通称道場だ。槍をぶん回すのでもなければ十分な高さと広さがある。
道場は板の間で剣術道場風に武器置き場などを配置。俺が神棚を作って伊藤神の小さい像も手に入れて祭った。雰囲気作りのためだが、日本人なりに神さまへの敬意も多少はある。
「わはははは! 見よこのパワー! この技のキレ!」
「はい。素晴らしいです、リリア様」
ティトスが相手をしながらリリアを褒め称える。
実際のところは盾も剣も、まだレベル1にも達していない。
あんまり甘やかすのもどうなの?と聞いてみたところ、当分は褒めて伸ばす方針とのことである。リリアは魔法以外の訓練はあまりやってこなかったようで、まずは体を動かすことに慣れさせようということらしい。
体力的に貧弱で当初は物理盾に批判的だったのが、レベルアップと肉体強化スキル取得により得たパワーに気をよくしたのか、リリアはずいぶん熱心に体力強化や近接戦闘の訓練に取り組んでいる。
剣と盾を持ちフルプレートアーマーを身に纏う姿は、ちょっとちんまいが完全に盾役のスタイルだ。
リリアには特に仕事もないのでフルタイムで訓練をやっている。前衛の訓練だけじゃなく魔法と精霊、そして家事。覚えるべきことは多い。
オルバさんやナーニアさんも訓練日にはやってくるようになった。騎士エルフの二人もかなり強い。
特にティトスだ。道場ではサティと俺の次に腕がよく、とてもいい練習相手になった。それどころかパトスと組んで二対一でやるとまったく勝てない。サティは何度か勝った。おかしい。俺も軍曹殿との訓練でかなり強くなってるはずなのに……
だが俺もサティに勝つ方法を考え出した。魔法ありでだが。
それを暇な時間を見つけて試すことにした。道場に二人だけで行く。
「サティ、一本魔法ありで勝負しよう。もし俺に勝てたら何でも言うことを聞くぞ」
俺が勝ったら何でも……はいいか。サティは普段から何でも言うことを聞いてくれる。
「やります!」
木剣に防具あり。軽くでも有効打が出れば勝ち。
「でも道場でですか?」
「うん。道場が壊れるような魔法は使わないから」
相対する。開始の合図を出しても、サティは警戒したのかすぐには近づいてはこない。
魔力を発動させる。それにサティが反応して動いた。
剣でのフェイント。サティがわずかに躊躇する。その一瞬の隙――
【隠密】&【短距離転移】発動!
瞬時にサティの後ろに出現し、振り返りざま肩口に一本いれることに成功した。
「あ……転移」
「そう。転移剣とでも名付けようかな。すごいだろ?」
「はい、すごいです! あ、でもなんでもが……」
負けてしょんぼりしている。もしや勝って何かお願いするつもりじゃったか。まあ普段ガチでやると俺は全然勝ててないしな。
「何をお願いするつもりだったの?」
「あの、二人でお買い物とか……」
二人っきりでデートっぽいことがしたかったのか。最近いつもみんなでだもんな。
「じゃあ俺が勝ったし、今度の休みはサティにお弁当作ってもらって二人で出かけて、買い物の荷物持ちでもやってもらおうかな」
「は、はい、やります!」
だがこの転移剣。初見殺しなだけだったようだ。それともすぐに対応するサティがすごいのだろうか?
習熟のため色々試すうちに勝率は徐々に下がり、最終的には三本に一本勝てる程度に落ち着いた。
「来るとわかっていれば対応もできます」
とのことである。逆に言えば、この技を知っていても意表をつけばそれなりに効果があるということだ。たとえば土とか水で煙幕を張ってからとか、乱戦で使うとか。もちろん初見なら間違いなく必殺だろう。
サティとも話して色々と使えそうな戦法を考案した。魔物相手にならこんな技はそうそう必要ないだろうが、手札は多いほうがいい。
「やっぱりマサル様はすごいです」
そうだろうそうだろ。
「結構汗かいたな。一緒にお風呂に入ろうか」
「はい!」
俺の訓練と強化も順調だ。終わったあとはちょっとしたお楽しみもあるから訓練にも張り合いが出る。
アンは地道に訓練に励んでいる。アンに一番必要なのは実戦である。だが普段の狩りは魔法ばかりで出番がない。
それではと魔物役にたいがを抜擢した。味方だと頼もしく可愛いやつなんだが、敵に回ると恐ろしい。巨体から繰り出されるパワーにネコ科の素早さ。戦力的にはオークキングに匹敵するんじゃないだろうか?
実剣ならどうにかなるんだろうが、木剣ごときでは手がつけられない。
俺たちもお相手をしてもらった。魔物を想定しての盾のいい修練になった。
いい修練とはすなわち痛みを伴う訓練である。ぶちのめされる、吹き飛ばされる。たいがはとても強い……
エリーとティリカは戦闘訓練をすることもあれば、俺たちの訓練の傍らで魔法の練習をしていることもある。
エリーは短剣。ティリカはムチをどこかから調達してきて練習している。ビーストテイマーがよく使う武器だそうだ。たいがならごまかす効果はあるだろうか?
奴隷も増えた。
ルフトナちゃんだけじゃもちろん奴隷化の効果がはっきりしない。サティに加護がついたのは果たして奇跡だったのか?
再び同じ奴隷商にやってきた。
「これはこれは。ルフトナは上手くやっておりましょうか?」
「うむ。妻にまかせているのだが、よく働いてくれると言っている」
「それは良うございました」
「今日は追加がほしい。条件は――」
かわいくて夜の仕事も積極的なこと。もちろん家事スキルは必須だ。
今回は五人、まとめて連れてきてくれた。どの娘も見た目は極上だ。
それぞれと話をしてみて、一番積極的な娘を選んでみた。
「夜の仕事もがんばります! わたしは尽くすタイプですよ!」
笑顔でそんなことを力説してくれる。
名前はタマラちゃん。イケそうだ。値段もかなりなものだった。
さすがにその場では加護は付かない。家に帰ってからゆっくり……そう思っていたのだが。
「ごめんなさい。演技でした! ほんとはすっごいイヤ。故郷の村に恋人がいたんです」
真偽官を前にしてあっさりゲロった。確かに他に好きな人がいるかどうかは聞かなかったけどさあ……
恋人くんは貧乏農家の三男坊でタマラちゃんの1つ年下。甲斐性なし、発言力なし。恋人が売られるのも指を咥えてみてるしかなかった。死ぬ覚悟でもなければ、駆け落ちができるような甘い世界じゃないのだ。
故郷の村はそう遠くなかったので、出向いてこの恋人くんにも話を聞いてみることにした。タマラには未練がある。タマラと同じところで仕事を紹介するというとホイホイ村を出てきたので、家で庭師として働かすことにした。タマラはもちろん家の中でメイドだ。
後日、アン主催で屋敷にて結婚の儀を行い、タマラとそいつは夫婦になった。
給金はちゃんと出すし、お金が貯まったらタマラを買い戻させることを決めた。二人は幸せそうである。感謝もされた。よく働いてくれている。だが加護は付かない。
「これはこれは。タマラの具合はいかがでしょうか?」
「うむ。なかなかの働き者だ。よくやってくれている」
「それは良うございました」
「今日も追加がほしい。条件は――」
三度目の正直である。これでダメなら一旦諦めよう。今日はティリカも連れてきている。
だが実際問題そんなにチョロいのなんてそうはいない。何人か候補を連れてきてもらって個別に本音を聞いてみると、奴隷になったのは悲しいし、初めて会うような人に抱かれるなんてまっぴらゴメン。生きるために仕方なし。サティみたいに都合よく俺の治せる障害持ちもいない。
お金持ちで領主だと言うと食いついた娘もいたが、それで果たして加護が付くのだろうか?
しかし一人だけ、可能性のありそうな獣人の娘がいた。恋人などもいない。俺に対して特に悪感情もない。戦士志望でもし納得できるくらい俺が強いなら喜んで嫁ぐと。
シラーちゃん18歳。長身でスレンダーな体型の、眼光鋭いケモミミの美人さんである。
「俺はいまBランク。ランクアップの審査中でもうすぐAになる予定だ」
シラーちゃんは買われることに同意した。夜のほうは俺の強さを見てからということになった。
今度こそイケそうだ。値段もかなりな――
――中略――
――シラーはサティにすっかり心を奪われてしまった。小さくて可愛いのにあの強さだ。俺より強いし、俺も大好きである。
俺に関しては確かに強かったから嫁になってもいいとのことである。魔法の強さにはあまり興味がないようだ。本気を出して見せることも教えることも支障がある。
嫁になってもいいというのは大変に嬉しい申し出だが、どの程度好きか確認してみると、サティへの好意が10としたら俺は3、いや2くらいかなとの正直な返答である。
こんな状態で嫁に迎えて加護は付くだろうか?
シラーは約束だからと体を差し出そうとしたが、奴隷化で加護が付いてない、付く可能性も微妙な状態では躊躇われる。加護の可能性があればこそ、奴隷購入も手を出すこともみんな受け入れてくれたのだ。
たっぷり可愛がればもしかすれば懐いてくれるかもしれないが、今のところは拒否もない代わりにやる気もないのが困るところだ。
とりあえずシラーの夜のお仕事は保留にした。奴隷相手にそんな遠慮はおかしいと本人にも言われたが、仕事が出来る奴隷が欲しかったのであって、夜のほうはおまけにすぎないと言うとそれで納得したようだった。まあ嫁が五人もいるしね?
シラーの扱いは時間をかけて仲良くなってから考えればいいだろう。もしかして俺に惚れてくれるかもしれないし。
シラーの剣の腕はレベル2か3くらいだろうか。そこそこ使えそうなので鍛えながら警備主任をやってもらうことにした。要は門番である。
戦えるならなんで奴隷にと思ったが、決闘に負けたからという。詳しくは教えてもらえなかった。弱い獣人などに価値はない。強くなりたいとだけシラーは語った。
それには全く同意で出来れば加護を与えてやりたいところだが、ならばこそ加護のことは隠しておいたほうが良さそうだ。ただ力のためだけに加護を求めれば、余計に加護から遠のくだろう。
使徒であることは信仰心があればプラスに働きそうだが、シラーはそんなタイプじゃなさそうだ。
難しい。
「運命力が足りぬのじゃ。加護がついたのは出会うべくして出会ったものばかり。適当に買って加護をつけようなどと、ちゃんちゃらおかしいということじゃな」
その通りかもしれない。何かフラグを建てるイベントが必要なんだな。
「ティトスもどうじゃ。加護が付けば素晴らしく強くなれるぞ?」
「リリア様にお子ができれば考えてもいいです。私の子供と乳兄弟にしたいですね」
「ふうむ。パトスはダメじゃが、ティトスはそこそこマサルのことが好きじゃと思ったがの」
「そこそこですね。ですが話を聞く限り、加護はたぶん無理でしょう」
ティトスは姫様大好きだからなあ。でも子供ができれば考えてもいいのか。いい話を聞けた。
「ま、奴隷の線はこれで当分なしだな」
諦めたわけじゃないが三連敗となると戦略を変えざるを得ない。まもなく村への移住第一陣がやってきてさらに忙しくなるということもある。
暖かくなればまずは王都へと向かい、帝国、そしてエリーの実家へ行き、ご家族に挨拶する予定である。村作りはまだまだ終わりそうもないが、それはあくまでも二の次だ。
その春は、もう間もなくやってくる。




