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ニートだけどハロワにいったら異世界につれてかれた【書籍12巻、コミック12巻まで発売中】  作者: 桂かすが
第六章

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118話 リリア

 いつものごとくサティとお風呂に入り、その後は一人自室に戻る。寝る前に日誌を書かなければならない。昨日できなかったので書くことが多い。

 みんなは順番にお風呂に入って居間でまったりしている。あっちに混じっていちゃつくのも楽しいのだが、今日はダメだ。

 しばらくして部屋の扉がノックされた。

 

「リリアじゃ。入っても良いか?」


「どうぞ……っ!?」


 振り返り、入ってきたリリアを見て固まる。

 薄い、肌が半分透けて見える白いネグリジェである。部屋は火魔法で適度に暖めてあるので薄着でも大丈夫だ。

 すぐにでもベッドに連れ込みたいところだが、ぐっと我慢だ。常々エリーからムードが足りないと注意されている。


「何をしておるのじゃ?」


 リリアが俺の横にやってきて手元を覗きこむ。


「……読めぬ」


「俺の生まれたところの言葉なんだ。これは神様に報告するための日誌」


「ほほう」


 近寄るとふわっと石鹸の香りがする。おんなじ石鹸を使ってるはずなのに、なんでこんなにいい匂いなんだろうね……


「も、もうちょっとで書き終わるから少し待っててね」


 むしろ俺が待ちきれない。でも日誌は大事な仕事だし、あんまりさぼるわけにもいかない。


「見ていても良いか?」


「うん、いいけど」


 リリアが椅子に座る。机は大きめで椅子も三脚揃えてある。


「変わった文字だのう。なんと書いてあるのじゃ?」


「昨日と今日の出来事だよ」


「妾のことも?」


「もちろん」


 ほぼ日記みたいになっちゃってるし。

 

「それが神に伝わっておるのか?」


「たぶんちゃんと見てるんじゃないかなあ。たまーにだけど返事が来るし。えーと、ほらこれ」


 日誌を書き終えたのでノートのページをめくり、シオリイの町を出発する前に来た返事を見せてやる。


「おお、なんと美しく神々しい……」


 神々しい。そう思えばそう見えないこともない。

 丁寧に書いてはいるものの、俺の字はあまり綺麗じゃない。道具もインクに羽ペンでいまいち慣れてないし。

 それと比べると神様からの返事は、美しくて完璧だ。まるで印刷したみたいに。どう見ても手書きじゃない。たぶん明朝体とかだな。

 じっくりと神様からの返事を見ているリリアを間近で観察する。

 リリアのネグリジェ、大事なところが見えそうで見えない。それでいて体のラインはうっすら見せるようになっていて、とてもいい仕事をしている。

 リリアが顔を上げ、目が合った。


「夜伽に来たのじゃったな。旦那を放っておいてはいかんかった」


 お陰で素敵な衣装をじっくり鑑賞できました。


「ええっと、 いきなり夜伽ってことになったけど、それで大丈夫なのかな……?」


 ここまで嫁にもらう的な話よりもパーティに入るような話ばっかりだったし、忠誠は高いし好意は示してもらったものの、やることをやるとなると、今一度意思の確認はしておいたほうがいいと思うのだ。


人間(ヒューマン)はどうかしらんが、エルフにとっては結婚した以上、子作りは義務じゃからの。母上からもきつく言われておる」


 子供か。去就がはっきりするまではって思ってたけど、さすがにこの期に及んで日本に帰るって選択肢もないな。未練がないわけじゃないけど。


「冒険者を続けるのに、みんなには避妊してもらってるんだけど……」


「避妊は絶対にせんぞ? エルフにとっては生命に対する冒涜じゃ」


 避妊はエルフ的にはNGか。妊娠しちゃったら冒険者の続行は難しいけど、今のところリリアは戦力には数えてないし、問題ないと言えば問題ないのかね。

 エルフはただでさえ出来づらい上に混血だと滅多に出来ないらしいから、出来た時は出来た時でいいか。その辺りはまたみんなで相談しよう。


「では姫君、あちらへ」


「う、うむ」


 リリアが設置したばかりのキングサイズベッドに潜り込む。


「明かり消すね」


 ムードを少しでも出すために、天井付近に設置した【ライト】を消して、間接照明に切り替える。こっちもライトの魔法なのだが、紙で囲って蓋をして、明かりがぼんやりと漏れる程度に調節してある。

 布団に顔だけ出しているリリアの横にお邪魔する。

 緊張する。よく考えれば出会った時と昨日と今日で、一緒に過ごすのは3日目である。これでいいのだろうか? 


「リリアは……子供が欲しいんだ?」


 トークしよう、トーク。場合によってはすぐに手を出すこともないし。

 

「そうじゃな。これまでは相手もおらんかったし、あまり考えたこともなかったが、欲しい」


「あー、そういう婚約者? みたいな相手はいなかったんだ?」

 

 王族なんだし、居てもおかしくないと思うんだが。


「手近に釣り合う相手がおらんかったのじゃ。まあ100歳くらいまでにどうにかすればいいと思っておったしの」


 エルフは気が長いな。ゆっくりすぎるわ。

 釣り合うとは家柄だけじゃなく、能力的なモノが大きかったらしい。この世界全体に言えることだが、エルフにもかなり能力主義的な風潮があるようだ。

 だからこそ俺みたいな氏素性の定かではない人間でも、リリアだけでなくみんなからも恋愛対象、結婚対象として考慮に入れてもらえたのだ。

 そのまま息がかかるくらいの距離に顔を寄せあって色々と話した。リリアの生まれた時の話やエルフの里での戦いの前の話、俺もこっちにきてからの話、特にみんなとの出会いあたりに絞って話した。


 結構な時間話し込み、一定の相互理解が得られたように思える。

 俺はリリアのような美しいエルフさんを新たな伴侶に迎えられ、大変に嬉しく思っているし、リリアのほうも突然に降って湧いた話であるが、いまのこの状況にとても満足しているようだ。


「わかっておるのか? マサルはエルフが100年200年かけねば辿りつけぬ境地に、それどころかエルフがその長い生涯かけて修行してもなお、わずかな者しかたどり着けぬ高みに妾を導いてくれたのじゃ。しかもまだ序の口なのだろう? 素晴らしい恩恵じゃ」

 

 そっち方面の感謝が大きいのは仕方がない。だが俺自身に関しても、子供が欲しいと思う程度には好いてはくれているようだ。

 それで話が途切れたタイミングを見計らい、そろそろ子作りをと提案してみたのだが。

 

「実際のところ、子供はどうやって作るのじゃ?」


 そんなことも知らずに子作りだ避妊だ言ってたのかよ!


「精霊が運んでくると聞いておるが、さすがに違うじゃろう?」


 コウノトリとかキャベツ畑レベルの話がこっちでもあるんだなあ。


「昔ティトスたちに聞いたことがあるが、まだ早いと言われたし、母上からは人間(ヒューマン)だとやり方が違うかもしれんからマサルに聞けと言われておる」


 学校みたいなのは当然あって通っていたそうなのだが、保健体育はなかったし、常時護衛付きの姫様相手にそんな話をしようという勇者はいなかったようだ。

 子供が出来るからには基本は同じだと 思うんだが。

 リリアも一応同じ布団で同衾して何かしらやる、その程度の知識はあるようだ。


「とりあえずいつもやってる感じでやってみようか?」


 そういうことになった。

 キスは軽め。いきなりの舌入れはNG。服の上から軽いボディタッチをしつつ、反応を探る。

 くすぐったがりなのか敏感なのか。触る度に小さく声を上げている。興奮してきた。


 ――中略――


「そんなものを!? 冗談じゃろう……?」


 双方生まれたままの姿を晒したところで、そんなものと言われてしまった。ちょっと傷つく。王族ともなるとパパとお風呂もないようだ。


「エミリオのはもっと……」


 ああ、弟君ね。


「成長するとこんな感じに」

 

 とりあえずここからの手順も解説すると、子作りに必要とあらば当然やるというので、先に進むことにしたのだが。


「い、痛い」


 精霊の盾が発動して吹き飛ばされ、ベッドから転げ落ちた。風に軽く押されたくらいだったので、驚いただけでダメージはない。


「す、すまぬ。精霊が勝手に反応して」


「うん、平気。大丈夫」


「しかし……こんなの無理じゃろう?」


 かなり念入りに、丁寧にやったし、準備が足りなかったということもないだろう。


「どうしたって最初はちょっと痛いんだよ。でもすぐにヒールで治療するから痛みは大したことがないって話なんだけど……」


「すごく痛かったのじゃ」


 さてどうしたものか。このままでは生殺しである。

 もう一度たっぷり準備しなおして再挑戦か? だがまた同じことになりそうな気もする。

 こちらとしても、さあやるぞって時に吹き飛ばされるのは精神的なダメージがでかい。

 急ぐこともないし、後日にするかなあ。

 サティ起きてるかな。ティリカと一緒みたいだが。いや、いくら俺が中途半端だからってここでリリアを置いてあっちに行くのはヒドイな。汗もかいたし、お風呂にでも一緒に入るか。初お風呂だ。


 やらかしてちょっと凹んでいるリリアの頭を撫でて慰めつつ、この後どうしようかと考えているうちに思いついた。

 

「じゃあ一度やってるところを実演して見せればいい?」 


 ハーレム計画推進のチャンスである。


「ふむう……」


「みんな普通にやってるんだし、大丈夫大丈夫」


 知識がないのが幸いしたのか、それでなんとなく同意してくれ、さっそくサティを呼ぶことにした。パンパンと軽く手を叩く。サティ召喚の合図である。家の中ならこれでサティが飛んでくる。すでに寝ているなら、ぐっすりなので安眠を邪魔することもない。

 まだ起きていたようでティリカと一緒にすぐに部屋にやってきた。

 キングサイズのベッドに招待して状況を説明すると、サティの逡巡をついて、ティリカがわたしがやると志願してくれた。


「じゃあ俺とティリカがやってみせるから、サティはリリアのお相手を。色々教えてあげてくれ」


「はい、マサル様」


 サティは嬉しそうにおずおずとリリアの横に移動する。だがちょっと遠慮がちだな。お相手といってもどうしていいのかわからなくて、なかなか手をだしかねているようだ。


「いつも三人でやってるみたいな感じでいいぞ。あ、リリアは初めてだから優しくな」


「は、はい」


 女の子同士の絡みも乙なものである。

 さて、あっちはいいとしてこっちだ。 


「悪いね、こんなことお願いして」


 いくら普段からサティと三人でやってるからって、他の子にもやってるとこ見せてなんて、嫌われても仕方がない。


「いい。子作りは大事」


 ティリカも子作りは真偽院からのお達しがあるからな。


「半年は待ってくれって言ったけど、もし欲しいなら……」


 リリアだけ特別って訳にもいかないだろう。

 

「気にしないで、マサルの思う通りにすればいい」


 ティリカは俺なんかにはもったいないくらいのいい娘だ。まあそれを言えば全員が全員、高嶺の花なんだけど。

 サティか? サティは俺が育てた。そして育て中。うちでは最年少だし、あと2,3年もすれば戦闘力を置いといても立派な高嶺の花に成長するだろう。


「ティリカみたいな可愛くていい娘たちと出会えて、俺は運がいい」


「わたしは……わたしたちのほうがマサルと出会えて運が良かったと思っている」


 ……二人で見つめ合ってほっこりしてる場合じゃないな。


「ええっと、じゃあ始めるか」


「今日はどんな風にする?」


「普通でいいな」


「わかった」


 結局のところサティとティリカを召喚したのは正解だったようだ。初めてを三人で攻めて耐え切れるはずもなし。

 たっぷり時間をかけて一人ずつお相手をして、最後はみんなでお風呂に入って、とても楽しかったです。

 なおリリアのほうの感触も悪くなかった模様。忠誠値がまた少し上昇していた。

 


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