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みにくい勇者の子  作者: バナナ男さん


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9/18

8 えっ?なんだって??

いや、なんで??!

なんで俺、雲の上の人に乳首突かれてんの!?


やられる方も周りで見せつけられる方も地獄だというのに、スカイ様だけは上機嫌で突付き続けたが……とうとう飽きたのか、鞭の動きを止めた。


「ハァ!駄目だ駄目だ!こんな危ないモノを堂々と立てて、ハートの形は完全に崩れているではないか!もういい!!後ろを向け!!」


「は……はいぃぃぃ……!」


やっと開放された!と思って、喜びに震えながら後ろを向く。

乳首はヒリヒリしていて限界だったから助かった!と思ったのも束の間、今度はお尻をツンッ!と突かれる。


「ひょひょっ!!?」


「おしりが剥き出しじゃないか!……ふむ……ほほぅ……?これは……うむむ……っ。……紐だな。」


ジッと強い視線を感じて後ろを振り返ると、なんとスカイ様がしゃがみ込んでいて、俺のお尻を真正面から睨みつけていた。


「────えっ!!」


もの凄く驚いて、お尻を隠したが、その手を鞭が突く。


「むっ!!そんなに隠すとは、まずいものでも隠しているのか!!」


「かっ、隠すなんて無理です!!お尻なんで!!」


流石にそう叫んで無実を訴えたが、スカイ様は鞭でピチッと俺のお尻を軽く叩くと、今度はその鞭の先でお尻全体を撫でる様に動かし始めた。


サスサス……。


サスサスサスサス~!!


「あ……あの……?」


「…………。」


擽ったくて声を掛けたが、スカイ様は完全無視。

そのためなんとか擽ったさに耐えていたが、改めて今の状況を考えると、とにかく恥ずかしい!


「ス、スカイ様っ!!あのっ!!や……止めて下さい!!」


死刑は怖いがなんとか拒否を口に出すと、スカイ様はムッ!とした顔で怒鳴り返してくる。


「何を止めろというんだ?!ちゃんと説明しろ!!」


怒りのためか更にお尻を擦る動きは強くなってきたため、恐怖を抑え込んで必死に声を張り上げた。


「だっ、だからそのっ……!!そ……その……いっ、痛くて!」


「痛い?なぜ?どこがだ?」


コスコスコスコス~…………っ!

お尻を摺る動きは強くて早く、それにおしりの割れ目あたりも擦ってくるため、俺は反射的に大号泣しながら叫ぶ。


「おっ、お尻を沢山触られて、肌が痛いんです!」


────シ~ン…………。


いい年したただの農夫のおっさんが、すっごいイケメン公爵様にお尻を擦られている姿は、さぞや滑稽だろう。

ホントに情けなくてずっと泣くしかない俺の、グスンッグスンっという鼻を啜る音だけが響く中、スカイ様がゆっくり鞭を引いてくれた。

その顔は、心底軽蔑したものだ。


「ハァ……。こんな程度で肌が痛むとは……尻の皮膚が貧弱過ぎる。

これではモンスターとの戦いの際は役に立たん。そんなゆるい意識で生き残れると思っているのか?」


「すっ……すみません……。でも……俺は農夫だし……この村はモンスターの被害が少なくて……。」


泣きながら言い訳する俺を睨みつけながらスカイ様は「言い訳するなっ!!」と大激怒。

それにビクつく俺の横に、村長とジロとニコが土下座したまま滑り込んできた。


「もっ申し訳ありませんっ!!!確かに平和に胡座をかき、我が身を鍛える事を怠りました!!

コイツにもどうにか言い聞かせますから、どうかこれくらいに……っ!!」


「あのっ!!俺達も全員同じです!!騎士様が脅威と戦ってくださっているというのに、怠けていてすみませんでした!だからムギだけ責めないで下さい!」


「これから村民全員、一生懸命お尻(?)を鍛えますので!ムギにこれ以上罰を与えないで下さい!」


三人が必死になって俺を庇ってくれたので、俺大号泣!

すぐに土下座をして一緒に謝ったが……ドンッ!!と凄まじい殺気のせいで全員の体は硬直した。


「……なるほど。俺は全てを理解したぞ。だからそんなに尻が敏感なわけだ。

感度が異常に高い理由はそれか……。

俺がいなくなったからといって、沢山の男を誑しこんだのか。この、尻軽農夫がっ!」


「はっ??……えっ??び、敏感???た、誑し込む……??」


全く聞き慣れない言葉に、キョトンとしたが、スカイ様の怒りは更に加速する。


「ほらっ!!その男に媚びる目!最低だな!!この淫乱男!!浮気者!!

一体今まで何人の男にこの体を使わせたんだ?この男娼めっ!!」


「い、インラン……?……ダンショウ……???」


もうこの辺りから半分以上意識が飛んでいたと思う。


だって、どう考えても俺に当てはまる様な言葉じゃないから!


スカイ様は土下座スタイルのまま腰を抜かしている俺の腕を掴むと、用意されていたクッションの所まで俺を引きづって行き、乱暴に放り投げる。

大きな羽毛クッションは、家畜用に飼っているコッコ鳥の羽毛で、ふかふかと俺のお尻を優しく支えてくれた。


<コッコ鳥>

体長2~3mの鳥型モンスター

羽毛はふわふわしていて至るものへ加工ができるため家畜として人気が高く、更に性格は非常の穏やかであるため、共存できるモンスターとしても有名


クッションの上でビクビクしていると、スカイ様がドカッ!と俺の隣に座り込み、近くで固まっている騎士に命令する。


「おい、飲み物を持って来い。それに宴をしてくれるのだろう?早く始めろ。」


「は、はいっ!!」


騎士達が慌てて動きだすと、他の村民達も動きだして、宴の準備をし始めた。


「…………。」


そんな皆を見つめた後、チラッとスカイ様へ視線を移すと……すっごい睨んでくる!


「ヒッ!!」


思わず悲鳴をあげて体を丸めると、すぐに騎士の一人が金色のコップを持ってきた。


「どうぞ!スカイ様!コップをお持ちしました!」


「ご苦労。」


スカイ様が差し出されるコップを手に取ると、今度はすかさずちょっと露出の高い服を着た若い村娘達がお酒を手に近づいてくる。

どうにかスカイ様とお近づきに……!という野心を抱いてお酒を注ぎに来た様だ。


「あ、あの~スカイ様♡」


「お酒をお注ぎしますね~♡」


ニッコリ♡

俺みたいなアウト男には決して見せてくれない笑顔で迫ってきた娘達をスカイ様は────完全無視した。


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