(プロローグ)
「びえぇぇぇ────ン!!!」
目の前には泥だらけで半べそを掻いている、かなりポッチャリ体型をしている八歳くらいの男の子がいる。
男の子の目と鼻からは沢山の汁が流れ落ち、泥と合わさって凄い事になっていた。
「ほら~泣くなって、いい子いい子~。」
泣いてしまった原因だと思われるビック・ダンゴムーシを抱っこしながら慰めれば、更に泣かれてしまった。
<ビック・ダンゴムーシ>
体長50cmくらいの巨大なダンゴムシ型モンスター
おとなしい性格で、驚くと丸くなって転がりながら逃走する
「わーん!わーん!!怖いよー!怖いよー!!もう全部が嫌だぁぁぁ!!!」
ダンゴムーシをソッと近くの木の幹に置いてやると、子供はわけのわからない事を大声で叫ぶ。
「ぼ、僕がデブで汚い病気の子だから、こんな地獄に捨てられたんだぁぁぁ!!
わーんわーん!!誰も僕の事なんてぇぇぇ!!!」
ギャンギャンと泣きわめくその子供の顔を、仕方ないから拭いてやると、泥汚れの中から見えてきたのは、ヒキガエルの様にぼつぼつしている大量の出来物だった。
それが顔中にできていて、恐ろしい病気に罹っている様にも見えるが、伝染らないらしいので『へぇ~そうなんだ。』くらいだ。
「いや、お前ぇ~……地獄って……。俺、ずっとこの村に住んでるんだけど……。」
汗を掻きながらため息をつくと……俺は泣き止まないその子の頭を優しく撫でてやった。




