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『完璧超人の欠点朝が弱い』

 




 翌日、目が覚めるとスマホに1件の通知が来ていた。


『綾くん...体育祭が終わりましたが、いつから会えそうですか?』


 そうだった、千里との話し合いの場を設ける約束をしていたんだった。


 忘れてはいなかったが、そういえばそうだと今思い出した。

 気づかなかったのは熱のせい...だと言い訳をしておこう。


『今週の日曜日の10時に駅前で...どうです?』


 前みたいな気軽い話し方はやめ、少し敬語で硬い感じにした。


 この1年と数ヶ月で俺と千里の間には大きな溝ができている。

 なので、これくらいの話し方が丁度いいだろうと思っての行動だ。


 すぐに返事が返ってくるわけではないみたいだった。


 まだ、有栖も志乃亜も起きていないようなのでなにかしておこうと思い、簡単な朝食を作っていた。


「お兄ちゃんおはよぉ〜ふぁぁ」


「おはよう」


 欠伸をしながらこっちに、有栖が寄ってきていた。

 まだ眠たそうなのでソファに座ってていいよと声をかけたが「手伝う!」と言い張ってきてたので手伝ってもらった。


「お兄ちゃん、後は私がやっておくから志乃亜ちゃん起こしに行ってきて!」


「志乃亜ちゃん...?」


 有栖が志乃亜のことを神城さんと呼んでいた気がするのだが、志乃亜ちゃんになっている...昨日の夜にでも仲良くなれる機会があったのだろうか?


 兄として嬉しいが、少し気になったりもする。


「うん!志乃亜ちゃんと昨日仲良くなったと思う!志乃亜ちゃんも私のこと有栖ちゃんって言ってくれたんだから!」


 有栖はそう言うと嬉しそうな顔をしていた、それくらい仲良くなったのなら有栖が起こしに行った方が良くないだろうか?


「有栖が起こしてきていいよ、俺はこっちやっておくから」


「いやいやお兄ちゃんが起こしてきていいよ!私こっちやっておくから...」


 俺がじっと有栖を見つめているが、有栖は目が合うと視線を逸らした。


「何か企んでるだろ?」


「な、な、なんのことでしょうか?」


「噛みすぎ...何があったんだ?」


 俺は問いただすが「行けばわかるから!」と頑なに教えてくれなかったので起こしに行くことにした。


「志乃亜入るぞ〜!」


 俺はコンコンと扉を叩いてから部屋に入る。

 有栖の部屋は久しぶりに見たが前と変わってはいない感じだった。


「おーい起き...え?」


「あはは、りょうがいるぅ〜お肌ぷにぷにぃ〜」


 どうやら志乃亜が寝ぼけて俺に抱きついてきたみたいだった。


 しかも綾がいるぅって俺はいるよ?目の前に...どんな夢見てるんだ。


「おーい志乃亜...起きてくれ」


「んん〜あれ?綾が何故ここに、私の家ではないんですか?」


「昨日泊まっただろ...起こしに来た」


「ということは先程までの素敵な夢は...もしかしてげん...じつ?」


 俺の方を睨んでくるが俺は何も知らない、何も見てない、何も聞いてません。


 そういうことにしておこうと思った。


「聞いてましたか...?」


 ジト目でこっちを見てくるが俺は無罪を主張したい。

 ただ起こしに来ただけだからね?何もやましい事した人みたいな反応取られるんだけど...。




 ◇




「いやぁ〜そんなことになるなんて思わなかったよ!お兄ちゃんに起こしに行ってもらわずに私が行けばよかったね!」


 何も知りません、と言わんばかりの言葉に俺と志乃亜は有栖を見つめていた。


「さ、さぁいただきます!」


「「あ、逃げた」」


 有栖が逃げて、朝食を食べ始めたので俺と志乃亜も「いただきます」と言って食べ始めた。


 簡単なのにしようとトーストなどを用意していたが結局有栖が来て和食になっていた。


「朝から美味しいです。私だったら食パンを1枚かじるくらいです」


「朝は弱いもんな...」


「うるさいです。人は誰しも欠点があって当然です。私をなんだと思ってるんですか...」


「完璧超人?」


「そんなすごい人じゃないです。綾とあまり変わらないと思います」


 無表情で言っているあたり真面目に返しているのだろう。

 少しは嬉しがるのかなとか思ったがどうやら違ったみたいだった。


「志乃亜は朝が弱いのはこれからきちんと覚えておくから安心しろ」


 とりあえず不安要素を拭ってあげようとしたのだが「忘れてください...」と言ってきたが「大丈夫だから安心しろ!」と返してあげたら「わ、忘れてください」とパタパタ軽く叩かれた。


 痛くはなかったが心になにかきた気がする、可愛いと思ったのは内緒だ。


 


「それじゃあ行ってきます」


 志乃亜は学校の準備をするため1度帰るらしい、俺も一緒に行くことになったので、志乃亜の家にとりあえず向かうことになった。


「隣の家まだ起きてなさそうですね...」


 志乃亜が何かを察したかのように言ってきたので「そうだな...」と一言返しておいた。


 通知がきていた時間帯的に深夜だったので起きるのは大変だろうが、頑張って早く返事がほしい。


 今後の予定も決めていくので日曜日が最善だと思ってるだけだ。


 土曜日には有栖と楓ちゃんとまた遊びに行く約束が勝手にできた。


 有栖に突然言われた時には「無理だから...」と言ったけど「お兄ちゃん、昨日私に看病してもらったよね?恩感じでないの?」と言われたので行くことになった。


「ま、なるようになる。はずだから大丈夫だ」


「綾、置いていきますよ?」


 どうやら独り言は志乃亜には聞こえなかったみたいで「はいはい」と言いながら早足で向かった。



 学校へ着くと悟と竜馬がめっちゃうるさかったのは言うまでもないことだった。






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