母親
318:考察厨
むぅ、想像よりヤバいかも
319:名無しの異種族
あ、戻ってきた
320:名無しの異種族
どしたどした??
321:名無しの異種族
リン見つかったー??
322:特定班
見つかった
けど、【無言の帰還】だ
323:名無しの異種族
え、それって……
324:名無しの異種族
死んでたのか?!
325:名無しの異種族
殺されたの??
326:考察厨
外傷は、見たところなかった
俺も見たけど、一見すると眠ってる感じだったな
ベンチで座って、頭垂れて動かないのを、王立学園の警備員が発見
声を掛けても無反応
あきらかに死んでたが、ほら、医者か賢者紋か聖女紋持ち、鑑定士じゃないとそういう判断できないから
327:配信者
すぐに、王子や俺たちに連絡が来て
見つかった場所へ向かった
警備員は、蘇生魔法が使えない人だったから
近くに設置されてた蘇生装置をつかって蘇生を試みてた
328:名無しの異種族
ということは、蘇生装置は使用する方がいいって判断だったわけか
329:考察厨
まぁ、それで蘇生出来てたらここにこんな報告しにきてないけどな
330:考察厨
続きな
すぐに、薔薇ジャムさんや聖女Aが蘇生を引き継いだ
でも、ダメだった
331:スネーク
さすがにこの2人も取り乱してたな
332:名無しの異種族
そりゃあなぁ
333:名無しの異種族
それってつまり、天命での死だもんな
334:考察厨
ただ、どうも奇妙でな
混乱してる間に、俺は鑑定士を呼んで鑑定してもらったんだ
そしたら【脱魂状態】って結果がでた
335:名無しの異種族
え、それって
魂が抜けてる状態ってことだろ?
336:考察厨
そう、で、王立学園には『【怪人】が魂を抜く』って噂があった
337:名無しの異種族
リンは【怪人】に遭遇
魂を抜かれたって考えるのが自然、だよな
338:名無しの異種族
でも、魔族を尊厳破壊したリンだぞ?
そう簡単に魂抜かれるか??
339:名無しの異種族
抜くにしても色々準備が必要だろ
殴り殺した形跡がないのなら
毒殺か、ほかの体に傷がつかない方法を使って魂を抜いたってことになる
殺して体から離れた魂を捕まえる方が早い気もするがな
340:名無しの異種族
そういや、リンと一緒に巻き込まれた生徒がいたよな?
そいつに話聞けないか??
341:考察厨
わからない
342:名無しの異種族
は?
343:考察厨
その生徒の顔を俺たちは知らないんだよ
別々に飛ばされたから
けどな、たぶんだけどその生徒が【怪人】だった可能性はある
生徒の婚約者ってのが、行方不明になってて今回俺たちとともに戻ってきた
だから、いま一人一人鑑定士が確認してる
けど
344:鑑定士
終わったぞー
_(⌒(_๑´ω`)_
結論、戻ってきた被害者の婚約者の中に、リンと接触したやつはいなかった
345:名無しの異種族
うわぁ
346:名無しの異種族
マジか
347:名無しの異種族
けど、リンは警戒してないっぽいんだよなぁ
書き込み見る限り
348:考察厨
色々考えたんだが
もしかしたら、王立学園で俺たちが知らない間に、すでに【怪人】と接触していたのかもしれない
でも、リンには【怪人】だという認識がなかった
ある程度、【怪人】とリンは交流していて、警戒心ゼロになる程度には親密になっていた可能性がある
そう考えれば、リンに心当たりがなくても不思議じゃない
349:名無しの異種族
なるほど
350:名無しの異種族
してやられた、ってわけか
351:考察厨
とりあえず、鑑定結果を王子に報告だ
さすがにすぐ埋葬だなんだ、とはならないだろうが
念の為、リンの体を保存しておかないと
352:名無しの異種族
リンの魂を取り戻さなきゃだが
問題はどこに取り戻しに行けばいいのか、分からないってことだよな
※※※
リンの母が、それに気づいたのは、今度の休みに王都へ行くことを告げた通信の時だった。
(なんか、めっちゃ騒いでる人がいる)
リンは気づいていないようなので、おそらく低級霊なのだろう。
低級霊過ぎると、逆に誰も気づかないのだが。
リンの母の場合は逆だった。
『親御さん!!
貴方のお子さん、知らない人から物をもらって、しかもヤバいやつをふつうにもらって、警戒心ゼロで食べてましたよぉぉぉおおおお!!
いくらコンビニ販売の既製品でも、知らない人から物を貰っちゃダメですって!!
注意して!!
叱って!!』
『ガチでヤバいやつなんです!!
息子さん狙われてるんです!!
ほんと、注意、じゃない、叱って!!怒って!!
いま止めないと、取り返しのつかないことに!!
魂抜かれちゃうんです!!』
あまりにも必死に訴えている。
こんなゴーストは初めてみる。
少なくとも他人の、それも子供のことにこんなに必死になっているゴーストは初めてだ。
そちらをジィっと見ると、目が合った。
なので、とりあえずゴーストの言葉を信じ、息子へ注意を促す。
『あ、あれ?
あの、もしかして僕のこと見えて??』
「母さん、俺もう高校生だよ」
霊の驚いた呟きと、息子の呆れた声が重なる。
しかし、一旦ゴーストのことは無視して通信を終えた。
少し、考える。
やがて、リンの母は手をパンっと叩くと、
「よし!サプライズで予定より早く行ってみよ!!」
そう宣言した。
聞いてる者は誰もいない。
仕事は休みを多くもらっているのだ。
というか、早く行けと両親や親戚からせっつかれている。
もともと、そういうことに敏感な血筋らしいから、虫の知らせでもあったのかもしれない。
先程のゴーストの存在も、その考えを補強するには十分だった。
ただ、生憎リンの母は村の中で一番見える力は弱い。
その代わりとばかりに、村でおそらく一番の力自慢はリンの母だったりする。
数百頭のドラゴンの群れを一人ステゴロで倒せるのは彼女だけである。
リコやリンは、精々数十頭が限界なのだ。
さて、サプライズで訪問日を早めたことをリコに告げると、
「じゃあ、私が転移させようか?」
そう申し出てくれた。
「いいのいいの、長距離ドライブしてみたいし」
「長距離運転したことあるの??」
「あるわよ。
というか、時々してるじゃない。
野菜の納品で」
転移魔法等をつかって納品しないのか、と聞かれそうだ。
出来ないのだ。
使用には諸々ルールがあり、制限があるのだ。
納品に使うには、コストがかかり過ぎる。
王都襲撃の際、リコが使ったのは黒に近いグレーといったところだ。
お目こぼしされていなければ、今頃リコの経歴に傷がついていた可能性もある。
「あぁ、そういえばそうだった」
そんなやりとりがあり、リンの母は今年で15万キロを走っている車で王都までやってきたのだ。
メンテナンスをしっかりしておいたお陰で、とくにトラブルもなく到着した。
しかし、そろそろ買い替え時だろう。
王都にいる間に中古車専門店もまわってみよう、と計画を立てる。
適当な有料駐車場を探して、車を停める。
幸い、リンが住む住所の近くに停めることができた。
少々金額は高いが、たまにはいいだろうと判断する。
それから、事前にリコやリリーに調べて貰っていた食事処や甘味屋を巡ったりして時間を潰す。
なにしろ到着したのは、昼少し前だったのだ。
リンの仕事が終わる頃に、今住んでいる家へ向かえばいいだろう。
「あ、そういえば警備さんがいるんだっけ??」
衣食住だけでなく、防犯対策も万全とは至れり尽くせりだ。
リンには贅沢過ぎる気がするが、職場のご厚意ということでなにも言わないでおくのがいいだろう。
なんだかんだ、子育てや仕事に追われていたので十数年ぶりの一人時間である。
「あ、携帯端末の電源は切っておこう」
こうして、彼女は一人時間を満喫したのだった。
陽が落ち始める。
近くにあった時計で時間を確認する。
そろそろ、仕事を終えて帰ってきてる頃だろう。
「警備さんたちや、同僚の方へのお土産、足りるかなぁ」
限界集落でもその名を轟かす、高級菓子店で贈答用のものをいくつか買い込んだが、はたして数は足りるのか。
そもそも口に合えばいいのだが。
なんてことを考えながら、目的地へむかう。
特に道に迷うことなくたどり着いた。
しかし、なにやら人の出入りが激しくバタついている。
家を間違えたのだろうか。
そう考え、彼女はリンの今の住所を確認する。
合っていた。
もしや、繁忙期かなにかに突入したのだろうか。
おそるおそる、彼女は警備員らしき人たちへ声をかけた。
「あのぅ、すみません。
少々、お聞きしたいのですが……」




