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サバイバル訓練
目の前には遥か彼方まで湿地帯が広がっている。
此の惑星の大気圏に突入する直前、搭乗していたロケットが小さなデブリと接触して墜落。
その結果、私は惑星の無人観測基地まで此の広大な湿地帯を超えて行かなくてはならなくなる。
同乗していた仲間たちは墜落のショックで死亡した為、観測基地まで1人で行かなくてはならないのだ。
私自身も右脚を負傷している為、思うように身体を動かす事が出来ない。
出来ないが、生き延びる為に仲間たちの死を無駄にしない為に、エマージェンシーバッグを背負いロケットの残骸で作った即席の杖を突き観測基地まで湿地帯を歩む。
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私の前に並ぶ数十台のモニターに映っているのは、仮想現実世界でサバイバル訓練を受けている宇宙飛行士たち。
過酷な環境でのサバイバル訓練、中には脚を負傷して全身を覆っているスーツによって麻痺剤を注入され、脚を動かせなくなった者もいる。
33世紀の今、人類は宇宙開拓時代を迎えていた。
太陽系から全方位に向けてアンドロイドが搭乗したロケットが多数飛ばされていて、そのアンドロイドが発見した取り合えず呼吸可能な空気かあり、生身の人間が普通に生活できる環境の惑星に訓練を終えた宇宙飛行士たちは送り込まれる。
送り込まれた惑星で人間に害がある病原菌や生物の有無を調べ、一般市民からなる開拓団を送り込んでも大丈夫か調べるのが彼らの任務。
だが開拓団の先鋒として送り込まれる彼らが何らかのアクシデントに見舞われても、彼らを救援する者は……否、救援できる程近くにいる者は存在しない。
だから彼ら自身でそのアクシデントを乗り越えなくてはならない。
仮想現実世界とは言え過酷な訓練を彼ら宇宙飛行士たちに課しているのは、万が一それが現実になったときに生存率を少しでも上げる為の物なのだ。




