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Sim Racing Novel Faster Fastest  作者: 赤城康彦
62/99

New changes ―新しい変化―

 ベストタイムも記録され、更新すれば緑の字で表示され、できなければ赤い字で表示された。

(龍一さんは、見えないゴーストを追っているのかな)

 優佳は龍一の走りを眺め、そんなことを考えていた。かつてはワールドレコードホルダーだったのが、あれよあれよと5位にまで落ちてしまった。表には出さないが、悔しくないはずがない。

 ソキョン風に言えば、悔しがってもらわなければ困る、というところだろうが。

 1分31秒内でコンスタントに走ってはいるが、30秒台に入るのことは少なかった。ちらっと、カール・カイサのディスプレイを覗いた。ぎょっとした。

 単独タイムトライアルで練習をしているが、30秒8から9でコンスタントに走っているのだ。

「自己ベストって、自分でもなかなか追いつけないね、やっぱり」

 そんな軽口もたたく。

 カール・カイサの出した自己ベストは1分30秒770だった。それに手が届きそうなタイムを連発している。

 ちなみに、ここで自己ベストおよびワールドレコードを出しても、タイム表には記録されない。不正を防ぐためにオフライン化されているのだ。そこはご了承願うと通告はあった。

 ヴァイオレットガールもレインボー・アイリーンも単独タイムアタックでシムリグの感触を確かめている。

 フィチは初っ端からレースで、AIを相手にバトルを繰り広げている。精巧なドライビングに悪質な妨害の組み合わせは相変わらずだった。

 予選の時は一対一だったが。フィチはフルの対24台でレースをしている。奇しくも予選通過人数とフル設定の数字が合ったものだった。

 相手が増える分妨害も増える。前数台が妨害のために減速しての、妨害渋滞まで起こる始末だ。妨害渋滞で進路を塞がれるうちに、先頭グループから引き離されてしまい、もうどんなに頑張っても勝てないほど差を開けられてしまった。

「僕もまだまだだな」

 フィチは自分に苦笑しながら淡々とレースをこなし。45週のレースを3位でフィニッシュした。

 時間は正午になろうとしていた。

 ソキョンは腕時計を覗き、休憩しようと言い。ほかの面々も同意してカフェに向かった。

「食欲がなくても定期的にまとまった量を食べてください」

 と、フィジカル面を考慮して常々言っていたが。カフェではそんなことを言う必要はなく、みんな頼んだメニューを、美味しい美味しいと言いながら食していた。

 食事の間、ほかのスタッフがスマホでその光景の写真を撮り、SNSにアップしていた。現地での様子を伝えるのも、広報の一環だ。

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