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Sim Racing Novel Faster Fastest  作者: 赤城康彦
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New changes ―新しい変化―

 そんな心情は、ともすれば偽善と言われるかもしれない。問答無用で苦労を強いられている人たちは多いのだ。でも、だからこそ、すべてを受け止め、悪いことは自分のところで堰き止めて、広げないようにする。

「……ああ」

 思わずため息を漏らすこともある。

 あのコスプレイヤーコンビが、ワールドグランプリに挑戦するウィングタイガーに向け、声援動画を投稿していた。

 チームシャツを着こなし、愛嬌のある笑顔で、

「ウィングタイガー、ファイティン、ファイティン!」

 と、元気よくスタジオらしきところで声援を送っていた。さらに、

「龍一さん、がんばって!」

 と、日本語で龍一に声援も送ってくれた。

 また本戦観戦の様子をライブ配信することも告知していた。

 誰に教えてもらうまでもなく、動画チャンネルをフォローして定期的にチェックしてたので、観れた。

「はぁ、かわいい……」

 もう、メロメロになってしまった。こんなかわいい女の子に応援してもらえるなんて。と、照れと闘志が同時に沸き起こるのであった。

 このコスプレイヤーコンビも、コロナ禍が始まると同時にイベント等の仕事がキャンセルになって、スタジオからのライブ配信や投げ銭でしのいでいた。

 内心はしんどいだろうに、そんな様子を見せることなく、明るく振舞い。非常に胸打たれた。

 優佳にメールをして、

「動画観ました。ありがとうございます、頑張ります!」

 との、お礼の言葉を伝えてもらった。


……


「やっと会えましたね! 頑張りましょう!」 

「はい、頑張ります!」

 羽田空港で、龍一と優佳は初対面を果たした。もちろん互いにマスクをし。握手の代わりに肘タッチ。

「いざゆかん、アイスランド!」

 と、意気揚々と飛行機に乗り込んだ。

 日本からアイスランドへの直行便はなく、フィンランドはヴァンダー空港で乗り継ぎをしなければいけなかった。幸い短い時間で乗り継ぎが出来た。

 初めての海外旅行、優佳が着いてくれているとはいえ、のんびり物見遊山の気持ちはなかなか持てず。ただ、優佳の指示に従い目的地を目指すこと以外は意識できず、空の旅の記憶も曖昧なものになってしまった。

 ともあれ、長い時間飛行機に揺られ。アイスランドのケプラヴィーク空港に到着。そこで、ソキョンやフィチたち、ウィングタイガーの面々と、初対面を果たした。

「やっと会えたね!」

「やっと会えたなー!」

 挨拶をし、肘タッチをし。適切な距離をたもちつつ、話を弾ませる。さすがに移動のバスでは無言でいなければいけなかったが。

 この時期のアイスランドは、雪はまだながら、やはり寒く、用心して厚めの服を持ってきたのは正解だった。

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