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Sim Racing Novel Faster Fastest  作者: 赤城康彦
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New changes ―新しい変化―

 翌日から、本戦は始まった。

 本戦にそなえて注意するべきことを優佳が書き出し、メールで送ってくれた。トレーニングを欠かさないことはもちろん、色々あるが、体調管理に気を付けることが一番強調されていた。

 龍一は仕事がある身、いわばセミプロの立場だった。だからなおさら体調管理に気を付けてほしいと、切実に訴えていた。

 これに対し、「ありがとうございます。気を付けます」という旨の感謝の返信を送った。

 ちなみにフィチはウィングタイガーとプロ契約し、ゲームが本業。実家暮らしながら契約金の一部を家に入れていた。

 両親に相談すれば、思いのほか理解を得られて。仕事は定時で上がらせてもらえた。

 プロゲームチームに正式加入し、契約金も振り込まれた。そのことを言うと、両親の顔はなおのことほくほくしたものだった。

(お金の力は、やっぱり強いんだなあ)

 確かにこれをきっかけにプロゲーマーとしての成功の道が開けるのかもしれないし。両親もそれにあやかれるかもと期待するだろう。

 それよりも、本戦をどのように戦うかが一番の気掛かりで、将来の成功やお金のことはあまり意識出来なかった。

(とはいえ、このコロナ禍で。オレは恵まれているんだなあ)

 社会状況を考えると、なおさらに謙虚さを忘れるなと自分に言い聞かせるのだった。

 定時で仕事を終え、シムリグに身を預け、ディスプレイを見据え。Forza Eを起動し。フリープレイモードのシングルレースで、100%の難易度で、ディオゲネスの市街地コースをひた走る一方。

 ビデオチャットでウィングタイガーの面々と打ち合わせをする。

 ソキョンは龍一を正式に加入させられて、満面の笑顔だった。が、そこはプロチームのオーナー兼監督。

 かつて、大事なことは何度でも言うと宣言した通り。コンディション維持の努力を怠らないようにと、真剣に言い。そのたびに龍一は身も心も引き締まるのだった。

 そんな中で、どうにも頬の緩むのが禁じ得ないこともあった。

 韓国の女性コスプレイヤーふたりがウィングタイガーのSNSに、龍一の加入に対して、

「ファイティン!」

「頑張ってください!」

 との激励の書き込みをしていた。

 ひとりはあるゲームに出る九尾狐クミホのコスプレのアイコンで、コインランドリーの洗濯機にクールに腰掛け。もうひとりは同じゲームに出るくノ一のコスプレのアイコンで、ドゥカティ・パニガーレV4Rにまたがりどや顔を決めるくノ一のコスプレをしていた。

 ふたりはコンビで活動して、ウィングタイガーからのオファーでオフィシャルな応援活動をし、チームが開催するイベントにも出たこともあり。そこから親交するようになったという。

 書き込みには、チームシャツを着てのセルフフォトも添えられていた。

 コスプレイヤーはいまやプロモデルと同じで、着こなしも様になっていた。

 チームのアカウントやソキョンはもちろんフィチとも相互でフォローし合っていた。

(はぁ、かわいい……)

 もう頬は緩んで、異性愛者の男として胸がときめくのを抑えられず。龍一はこの書き込みをスクショしてスマホに大事に保存した。

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