腸ケアが魔力暴走の予防策として正式採用
魔術師塔に再び呼び出されたアリアが扉を開けると、
魔術師長――塔でもっとも権威ある老魔法師が、険しい顔で待っていた。
アリア
「えっ、なに? もしかして腸を持ち上げすぎたとか……?」
魔術師長
「……アリア嬢。」
静まり返る室内。
魔法士たちが固唾を飲んで見守る中、
魔術師長がゆっくりと書類を掲げた。
魔術師長
「魔腸ケアを――
正式に魔術学院の“補助理論”として採用しようと思う。」
アリア
「…………は?」
魔法士A
「おめでとうございます、お嬢様!!」
魔法士B
「“腸こそ魔源”、学院公認に!」
アリア
「ちょっと待って!!
そんな大事になる話じゃなかったのよ!?
ただ腸を温めて繊維取りましょうって言っただけなのに!!」
魔術師長
「魔力暴走が三分の一に減ったのだ。
もはや無視できん。」
アリア
「腸で暴走止まる国って何なのよ!!」
◆
ルチアが満面の笑みで拍手する。
ルチア
「お嬢様、本当に国を変えておられます……!」
アリア
「待ってルチア、私ちょっと混乱してるから……
次に直すべきは……睡眠? 姿勢? 呼吸?
どれも魔力暴走の原因なんだけど!!」
ルチア
「全部やりましょう、お嬢様!」
アリア
「やるけど!!」
◆
こうして、
“魔腸ケア革命”は正式に王城を席巻した。
詠唱は滑らかになり、魔力の流れは穏やかになり、
魔法事故はまたひとつ、大きく減少したのである。
アリア
「……この国、本当に健康基準がゼロから始まってない……?」
ルチア
「だからこそ、お嬢様が必要なのです!」
アリア
「責任重大すぎるーー!!」




