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健康オタク悪役令嬢、静かに城内改革を始めます  作者: 南蛇井


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29/30

腸ケアの全国的(城内的)流行とゆる不和

魔術師塔での“詠唱スラスラ事件”から数日。

噂は城内を駆け巡り、今やどの部署でも腸ケアが大流行していた。


廊下ですれ違ったメイドが、頬をほんのり赤らめながら報告してくる。


メイド

「最近……その……お通じが良くて……

 魔力も安定してる気がします!」


アリア

「そ、そう! よかったわね!

 (※そんな即効性の説明はしてないんだけど!?)」


訓練場でも――


騎士

「腹の具合がいいと、剣も軽いな!

 魔力の流れが違うぞ!」


アリア

「それはまあ……そうね!!

 (※科学的に説明すると長くなるから黙っておこ……)」


結果が出すぎている。

アリアはもはや何も言えなかった。



そんな中、問題が発生した。


魔法科教師(白髭を震わせながら)

「最近の若い者は……

 “快便=強さ”と思っておるらしい。

 魔道の道は、そこまで俗ではないのじゃ!」


魔法士たち

「でも先生! 腸が整うと詠唱がスムーズです!」

「腸は第二の魔石!!」

「腸こそ最強!!!」


アリア(そっと視線をそらしながら)

「……実際そうなんだけど……

 言わない方が良かったかも……」


老教師

「腸、腸と……最近はどいつもこいつも腸信者よ……!」


魔法士たち

「“腸こそ我らの魔源!”」


アリア

「だから宗教化するのはやめてってば!!」


しかし、城内のどこかから聞こえてくる。


「腸に良いスープ、追加でー!」

「黒パンの発酵種、売り切れですー!」

「腸は裏切らない!」


アリア

「……これ、もう止まらない流れよね……?」


ルチア(にっこり)

「お嬢様、今日も改革が大成功ですね!」


アリア

「成功……なのかなぁ……?」

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