効果が出るのがまた早すぎる(恒例)
翌日。
魔術師塔の練習場には、いつものように詠唱練習の声が響いていた――
はずだった。
魔法士A
「……ファイア・ボ……
……あれ? 詠唱が……つっかえない……?」
魔法士B
「え、え? 昨日より声が……スムーズ……
魔力の通りが違う……!」
彼らは自分の喉や胸元を触りながら、
まるで初めて魔法を覚えた子どものように目を見開いていた。
そこへ、老魔法科教師がゆっくり歩いてくる。
老魔法師(白髭を撫でながら)
「ふむ……声帯の問題ではないな……
これは……腹から魔力が流れておる……?
お前たち、何かしたのか?」
魔法士A
「えっと……昨日、お嬢様の“腸スープ”を……」
老魔法師
「腸……だと……?
ば、ばかな……腸など、ただの……」
(ぐるるるぅ……)
老魔法師
「……む?」
周囲の魔法士たちがざわつく。
魔法士B
「先生、お腹鳴ってません……?」
老魔法師
「ち、違うわい! これは……魔力が……腹で暴れて……!」
アリア(胸を張って登場)
「だから言ってるでしょう!
腸なのよ腸!! 腸が整えば魔力も整うの!!」
魔法士たち
「お嬢様の“腸理論”…本物だった!!」
老魔法師
「むぅ……腸……侮れん……!」
アリア(内心)
(いや……いくらなんでも翌日で効果出すぎでしょ……
この世界の腸……弱すぎない……?
全員、文明レベルが胃腸薬前なんじゃない?)
しかし広場では、魔法士たちが声を合わせて詠唱していた。
「スラスラ言える!!」
「魔力が噛まない!!」
「腹が軽い!!」
アリア
「……まぁ、結果オーライね……」




