城内でブームに ― “魔動ストレッチ講座”開講
騎士団での劇的変化は、
翌日には城内全域に広まっていた。
廊下ですれ違うたびに、誰かが肩を回し、
厨房ではコックが腰をひねり、
魔術師塔ではローブをひらひらさせながら背中を伸ばしている。
魔術師
「お嬢様……! 魔動ストレッチをすると、
魔力操作の精度が上がるんです……!
詠唱中に魔力がぶれない……!」
メイド
「肩こりが消えて、お皿が軽いんです!
腕が上がるって、こんなに幸せなんですね……!」
洗濯物を抱えたまま片足立ちでバランスを取るメイドまで現れ、
アリアは頭を抱えた。
アリア(内心)
(……いや、こんなに効く?
というかこの城、全員が健康の初期値ゼロなの……?)
そんなアリアの肩に、ルチアがにっこりと手を添えた。
ルチア
「お嬢様、今日も改革が順調に進んでいますね!」
アリア
「順調っていうより……
もう“健康文明の黎明期”って感じなんだけど……?」
それでも、騎士団・魔術師・メイドが
朝になると訓練場に集まり、
アリアの前で柔軟し始める光景を見れば、
胸の奥が温かくなるのを否定できなかった。
アリア
「……よし。次は“睡眠の質改革”ね。
この国、寝不足で魔力暴走してる人が多すぎるわ!!
ちゃんと寝ないと魔力は回復しないんだから!」
ルチアは誇らしげにうなずく。
ルチア
「お嬢様の改革で、この国はきっと変わります!」
アリア
「そうね……まずは睡眠から世界を救うわ!」
――こうして、“魔動ストレッチ”をきっかけに、
アリアの健康改革はさらなる広がりを見せるのだった。




