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健康オタク悪役令嬢、静かに城内改革を始めます  作者: 南蛇井


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17/30

アリア、“魔力色を整えるメニュー”を提案

料理長は腕を組み、まだどこか不満げに鼻を鳴らしていた。

 だが先ほどの“魔力色理論”が効いているのか、

 完全に拒絶する様子はなく――むしろ、聞く姿勢になっている。


料理長

「……で、その……色で魔力が整う、というのは……

 つまり、どう整えるんじゃ?」


 アリアは「待ってました」とばかりに、

 手元の紙とペンをぱっと取り出す。


アリア

「例えば、こうよ――」


 紙にサラサラと色分けしながら書き込んでいく。


●赤=肉(力)

●緑=葉物野菜(調整)

●黄=穀物(持久)

●青=水分・果物(循環)


アリア

「この四つの色が揃うと、魔力が安定して暴走しにくくなるの。

 だから――」


 ぱちん、と指を鳴らした。


アリア

「“魔力四色御膳まりょくししょくごぜん

 って名前で出すのよ!」


 料理長が思わず身を乗り出す。


料理長

「な、名前が……か、かっこいい……!」


 くわっと目が輝き始めた。


アリア

「でしょ!? 貴族はね、まず名前で釣れるのよ。

 “効くらしい御膳”“魔力が整う御膳”ってだけで、

 もう飛びつくから!」


料理長

「な、なるほど……!

 効能+格好良さで、“食べさせる理由”を作るわけか……!」


(※料理長の心の扉、ほぼ自動で開きかけている)


アリア

「だから料理長が得意な肉料理を“赤”に置いて、

 その周りを“緑・黄・青”で整えるの。

 肉の価値を引き立てる形にすれば、誰も文句を言わないわ」


 料理長の眉がぐっと上がる。


料理長

「肉の……価値を、引き立てる……!

 それなら……わしにも、できるかもしれん……!」


アリア

「もちろんよ。むしろあなたにしかできないわ」


 その一言で、料理長は完全に落ちた。


料理長

「お、お嬢様……!

 わし、やってみますぞ!!

 “魔力四色御膳”――王族にも魔術師にも、最高の料理を!」


 アリアはほっと息をつきながらも、

 内心では(よし、釣れた)と思っていた。


 こうして――

 王城の食卓改革は、

 “名前の格好よさ”という最強の武器によって、

 さらに大きく動き出すのであった。

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