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頼れる最高戦力

 ……。


アルデバラン隊そしてベリオノイズがドミネーターとの交戦を開始した頃……。

基地内に侵入した教団兵士をとある方法で無力化しながらガーネットは葉月の元へ戻っていた。


「はろぉはづはづぅ。だいじょぉぶだったぁ?」


「ガーネット! よかった、無事だったのね」


「当たり前でしょぉ」


 その部屋には武装した結月静流とその妹、ユーリが葉月を守るように立っていた。

 静流が言うには倒したそばから謎の黒い粘液体をまとって再び襲ってくるため武器庫へ避難しにきたという。


「あなたが来てくれて助かりました。何使っても千切れるだけで倒せないので参ってたんです」


「あたしもあれはすぐに壊せるわけじゃないけどぉ……」


「姉さん、静かにしろ……足音だ」


 足音がこの武器庫に向かってきているようだ。

 この基地の仲間か、それとも敵か判断がつかない。

 しかしこの中で一人だけ気配で敵かどうか識別できるものがいる。


「寄生型の気配……敵よぉ」


「寄生型……?」


「クソ、また敵か。これだけの戦力の侵入を許すなど……」


 教団兵が所持している寄生型の気配。

 それを察知してすぐさまガーネットが戦闘態勢に入る。


「銃で撃っちゃだめよぉ? ここはあたしがやるから下がっててぇ」


「なんだこの小さいのは……」


「ユーリ、言いたいことはわかりますがここは任せて下がりましょう」


 ガーネットが方舟の最高戦力だということを知らない人間からすれば、小さな少女にしか見えない彼女は相当頼りない存在に見えただろう。

 だが葉月や静流にとっては現状、これ以上頼れる人間は他に祠堂雛樹やアルビナ少佐以外にいない。


 そもそもここで銃撃戦などしようものなら貯蔵された火薬類などに引火する可能性があり派手に戦闘行為を行えないのだから。


 扉が開く前にガーネットは身をかがめて足に力を込め、扉が開けられた瞬間に廊下へ向けて飛び出した。

 敵の数は4人。

 ガーネットは相手に撃たれる前に前方二人の顔面を、その両手で覆うようにして掴みかかった。


「きひひ、そんなにあの子達になりたいならそうしてあげるぅ」


 ガーネットの素手で露出した皮膚に触れられた教団兵は触れられた箇所を抑えながら叫び、膝をつく。

 そして後方にいたもう二人はその膝をついた二人の兵ごとガーネットを撃ち、ガーネットの肩や脇腹数カ所撃ち抜き抉った。


 撃たれた衝撃でガーネットは床を転がり静止し、撃たれた箇所及び口から血を流す……。


「おいやられたぞ……!!」


 ユーリの言葉を聞きながら葉月と静流は息を飲む。

 ステイシスとしての彼女は通常の人間が負えば間違いなく致命傷な負傷でも死ぬことはないと聞いている。

 そしてその言葉の通り……。


 死亡確認をするためもう1、2発ガーネットに撃ちこんだあと、床をのたうちまわる仲間の兵士を仰向けにさせ、教団兵2人は驚愕した。


 そこで倒れている褐色の少女に触れられた部分から異常な速度でグレアノイド侵食が進んでいる。

 数秒でもがくこともできない程全身グレアノイド鉱化し、死に至る様子を見せられた2人の兵士は驚愕した。


 そして撃ち倒した少女の方に再び視線を移す。

 いない。

 血痕を残していなくなっていた。

 この狭い廊下で、しかもあれだけ撃たれて自分たちに気づかれず動けるはずがない。


「残念でしたぁ……これじゃあ寄生されることもないでしょお? ねぇ?」


 2人の教団兵はその声を後方に聞いた瞬間、顔を手で掴まれて声をあげることもできなくなった。

 触れられた瞬間から、火で炙られるような痛みに襲われ、自分の皮膚が、肉が変質していく感覚に襲われる。

 そしてそれが全身に広がり……。


「はいおわりぃ」


 グレアノイドに汚染された、元人間のオブジェクト4つ廊下に転がった。


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