表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
223/307

60話ー水中二脚機甲戦闘ー

 ひっくり返ったガーネットは涙目になりながら頭を押さえ……。


「はっ……はぁ……わ、悪い……!!」


 雛樹は目覚め、息苦しそうに随分咳き込みながらも左手をガーネットに差し出し、右手でベリオノイズのシステム調整を行う為コントロールボードを叩く。

 覚醒したばかりで視界はおぼろげだがのんびりしている暇はない。


「あたしも勝手なことしたしぃごめんなさいだけどぉ……ちょっとひどぉい」


「吐いた海水被るよりはましだったろ……。げほっ……クソ、まずいな脚部が取り込まれつつある……スラスターの出力も安定してないな……」


「ふぅん、下の大きな子の気配ってそういうこと……随分大きくなっちゃったみたいねぇ。それにこの子水中稼働ぶっつけでしょお? つぎはぎなんだからあんまり無茶させちゃだめよぅ」


 ベリオノイズのステータスを細かく示したインジケーターに視線を走らせながらコクピットシートに座っている雛樹の膝の上に乗った。

 小さなお尻をもそもそと動かし、据わりの良い場所を見つけて落ち着いた。

 慌ただしくシステムの再調整を進めていた雛樹はコントロールパネルに伸ばした腕が激しく引きつるのを感じて一瞬動きを止めた……。


「……。なんだ、随分といつもの調子に戻ったな」


 再び手を動かしながら雛樹は膝の上に座るガーネットに皮肉っぽく言った。


「あのしどぉはあたしのしどぉじゃなかったからぁ。しどぉはしどぉだけどぉ」


「しどぉだらけでよくわからないな……。後で詳しく聞かせてくれ」


「いいわよぉ。で、今からどぉしたいのぉ?」


「潜水艇は……今から出ても間に合わないだろうからな。とりあえずこのデカブツを外に出る前に仕留めることが優先だ」


「ふぅん……じゃあこのシャフトの底から一度海溝に引きずり下ろした方がいいかもぉ」


 この装備じゃ結構難しいわよぉと雛樹に言うが、雛樹はやるしかないと操縦桿を握った。

 まずは脚部に絡みついている変異体を振り払わなければ話にならない。


「しどぉ、何度も言ってるけど感覚よぉ。この状況で考えて動かしてるようじゃ死ぬからぁ」


「はいよ。ありがたい助言サンキュー」


「ぜんぜんサンキュー思ってなぁい!」


 アイドリング状態でのスラスターの出力は安定していなかったが、いざ出力を上げてみると驚くほどスムーズに稼働した。


 おそらくベリオノイズのスラスターは本来の二脚機甲ではありえないことではあるが逆流してくる海水のせいで稼働不良を起こしているのだ。

 流れ込んでくる海水を全て機関部から吐き出してやれば問題なく動く。

 と、なればスラスターコントロールはかなりシビアなものとなってくるが……。


 

 「足が捕まっているならそのまま引きずり出してやる……」




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ