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第96話 「にゃー!」

アイシス視点です。

「はぁぁぁ…」


「まだ気にしてるの?」


「別にいいじゃん、誰が倒そうとさ。特別報酬があったわけでなし」


 だって…アイツは私の獲物だったのに。


「仕方ないでしょ。この討伐作戦の指揮は翠天騎士団の団長にある。負けそうだったわけでもないのだし」


「それよか、襲って来たオーク共は始末出来たんでしょ?早く戻ろうよ」


「どした?レティ、怖いのか?」


「森の中はゴブリンやオークの住処だもん。森の中はあいつらの方が慣れてる。森の中で奇襲でもされたら厄介だよ」


「レティの言う通りね。戻りましょ」


 村に巣を作り始めたオーク共の討伐は終わり。

私達は一旦、ドノーに戻…らなかった。


 リーランド団長の命令で森から少し離れた場所で陣地を作り。

そこで援軍の到着を待つらしい。


 援軍が到着次第、再度討伐作戦を開始する予定だ。


「こんな陣地を作れるだけの物資、持って来てたっけ

?」


「グラウハウトで用意していた物をジュンさんが転移魔法で取って来たそうよ」


「ほえ〜便利だねぇ」


「で、収納魔法で持って来た、と。ジュン君の収納魔法って、容量凄いんだね」


 それは多分、収納魔法じゃなくアイテムボックスを使ったんだと思うけど。

言ってくれれば私も手伝うのに…おや?


「ミゲル、アトライア、テオドリック、セルジュ、コナー。来てたんだ?」


「え?」


「け、剣帝様?」


「剣帝様が俺達の事を覚えてる!?」


「やっべ!光栄過ぎてビビる!」


「帰ったら自慢しよう!」


 今更何を言って…あ。

しまった…あの時の私はジュンで、今は元に戻ってるからミゲル達とはほぼ初対面という事になるのか。


「アイシス。知り合い?」


「グラウハウトのお城で何回か見た顔だね」


「あ、あー…えっと、この人達はジュン直属の部下だよ。友人でもある…らしいけど」


「へぇ?ジュンちゃんに年上の友達…意外ではないかな」


「いつも年上に囲まれてるしね。むしろ年下と同い年の友達がいなさそう」


 確かに。入れ替わってる間にジュンを訪ねて来た友人は無し。それは戦時中で不要不急な他領への移動は禁じられていたって事もあるけれど。


 偶に来る手紙は女の子ばかりだったし。

もしかしたらジュンは友達は居ないのかも。


「そ、それで?何であんた達が此処に?」


「それは勿論、ジュン…様が此処に来ているからです」


「騎士には主を守る義務がありますから」


「私達以外にも来てますよ」


 ミゲル達以外にも?誰が…あっ。


「ちょっと、メリーアン。くっつかないで。歩き難いよ。ソニアとエッタも」


「これくらいいいじゃないですかぁ。最近はずっとノルンがベッタリだったし。セーラ様方や白天騎士団、アヴェリー殿下達が来てから私達がお呼ばれする事なくなっちゃったしぃ」


「…誤解を招く事言わないように」


 メリーアン達まで来てるのか…普通ならこんな場所にメイドなんて連れて来るべきじゃないけど、メリーアン達なら大丈夫だろう。


「なんでメイドが?」


「見た事ある顔ぶれだけど…」


「俺達と一緒に付いて来たんです。無理矢理」


「でも大丈夫です。俺達よりあのメイド達の方が強いっスっから」


「…それは本当に大丈夫なの?」


「メイドより弱い騎士とか。有り得ないよな」


「いや、あのメイド達…グラウバーン家のメイドがおかしいだけですから!」


「特におかしいのは執事長のセバスチャンさんだけど!」


 ああ、うん、まぁね。

そこは同意する。


「ミゲル、そろそろ行かないと」


「お、おう。で、では失礼します」


「ん!何か用事があった?」


「臨時で雇った冒険者達に仕事の内容を説明しに行くんです」


「公爵閣下が雇ったんです」


 冒険者?

冒険者なんて居ないけど…あ、居た。


「アレは?」


「ドノーから来た援軍ね。グラウハウトからの援軍は明日到着予定だから」


 戦力的にはそれで十分だと思うけど、本格的に動くのは翠天騎士団本隊が来てからになるだろうか。


「そうなるでしょうね。現状じゃ数の上では負けているから。正面からぶつかれば負ける気はしないけれど」


「だね。でも冒険者達に何させる気なんだろ」


「あたし達と一緒に戦うのかな?」


「いえ。冒険者には陣地で見張りと森の偵察をやってもらう予定です」


「あ、ジュンちゃんだ」


 いつの間にかジュンが背後に。

私の背後を取るとは…成長したな。


 ついでにメリーアン達もいる。

ノルンが居ないのは気になるな。


「で、冒険者に見張りと偵察?そんなの私らでも出来るじゃん」


「そうですが、冒険者にやってもらうのは夜間の見張りです。騎士団全員がベストな体調で戦えるように、と」


「なるほど。そして森の偵察はあの森に慣れてる冒険者に任せるという事ですね」


「はい。あの森に慣れてる冒険者なら、オーク達がどの辺りに巣を作るか、予想しやすいでしょうから」


「あれ?そんなのジュンちゃんかアイシスが飛行魔法で空から見ればいいんじゃない?」


「やってはみたんですけど、あの森は結構広くて深い。上からじゃ森の中の様子はわからないんですよ。森に入って探査魔法で調べるのは止められましたし」


 ああ、うん。そうだろうな。

ジュンなら大丈夫だと思うけど、公爵家の嫡男にそんな危険な偵察とかさせる訳に行かないし。


「大丈夫なんですけどね」


「ダーメーでーすー」


「ジュン様にさせるくらいなら私達がやります」


「そして捕まった私達はオーク達に陵辱され……ハァハァ」


「エッタ…そういう趣味だったの?」


「えー…私を目覚めさせたのはジュ…モガッ?」


 それ以上はいけない。

それ以上言ってはイケない。

またティータに絞られてしまう。


「アイシスさん?どうしたんです?」


「な、なんでもないよ?…にゃー」


「誤魔化すのが下手!」


「ああ、リーランド団長の真似ですか。可愛いですよね、リーランド団長」


「「「「は!?」」」」


「え?何です?」


 か、可愛い?

私じゃなく、リーランド団長が?


 何たる事だ!

ジュンの好みはああいうのなのか!


 私もリーランド団長は可愛いと思うけど!


「ジュンちゃん!ロリコンはダメだよ!」


「私らがジュン君を狙うのは良いけど!ジュン君が年下を狙うのはダメ!」


「言ってる事が無茶苦茶ですよ。リーランド団長は年上ですからね?ああ見えて」


「うああ!そうだった!」


「つまり合法ロリか!なぁんてこったぁ!思わぬ強敵が!」


「どうする?ティータ!」


「わ、私に聞かれても困るわよ…アイシスは?」


「…にゃー、だ」


「「「にゃー?」」」


「そう。にゃー」


 私達は既に大人のボディ。

どうやってもルックスは幼女には慣れない。


 しかし、今すぐ真似出来る幼女っぽさはある!


「それがにゃーと叫ぶ事だ!にゃー!」


「な、なるほど…猫獣人のあたしがやるとアレな気もするけど!確かに効果的な気がする!にゃー!」


「わ、私ならギャップ萌が狙えるな!にゃー!」


「…エッタ!にゃー!」


「うん!私達もやろうソニア!にゃー!」


「私もやりますよ、ジュン様。にゃー!」


「さぁ!ティータも!にゃー!」


「「「「にゃー!」」」」


「…いえ、私は止めておくわ。死にたくないもの」


「…それが良いかと。アイシスさん、後ろ」


「え?あっ…」


 私の後ろにはプルプルと震えるリーランド団長が。

翠天騎士団の副団長とバーラント団長も居る…もしかしなくても聞いてた?


「…おい、ラティス」


「…何かしら」


「ちょっと部下を借りるぞ。教育してやる」


「…ほどほどにしてあげてね」


「それはこいつら次第だな。そっちのメイドは…」


「このメイド達にはボクから言っておきますから、見逃してやってください」


「ちょっと!?ジュン!にゃー!」


「あ、あたし達も助けて!にゃー!」


「バーラント団長も助けてくださいよ!にゃー!」


「お前ら反省してないだろう!」


「因みにリーランド団長は寝言では何故か『わん』になるんですよ」


「お前も余計な事教えるな!」


 ああ、しまった!

火に油を注いでしまった!


「さぁ、私の天幕まで行こうか。因みに逃げたらお前らの今月の給料は全て野菜になると思え」


「給料無しじゃなくて野菜!?」


「更に全部食べないと翌月も野菜になるからな」


「鬼!」


「誰が鬼か!早く来い!」


 その後。

リーランド団長の天幕で説教を聞かされながら反省文を書かされた。


 地味にキツい罰だったがお仕置きの内容が子供っぽいと思ったのは全員共通の感想だ。


 そして…暫くの間、白天騎士団とグラウバーン家の使用人の間で『にゃー』と叫ぶのが流行ったのは言うまでもないと思う。

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