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第83話 「新しい研究ですか」

「此処がそうですか」


「ええ、此処が宮廷鍛冶師専用の鍛冶工房よ」


「王国で最高峰の設備が整った、鍛冶師垂涎の工房よん」


「尤も、ジド殿は最近は鍛冶仕事をしていないがね」


「わたくしも杖の強化をお願いしましたが、断られてしまいましたわ」


「はぁ…そうなんですか」


 紅天騎士団の団長の依頼も断ったのか。

益々望みは薄そう…それはそれとして。


「あの…皆さんは何故此処に?」


「そうよ。ジュン君の案内は私だけで充分よ」


「いやなに、魔帝殿がジド殿に会いに来てると聞いてね。私からも口添えをしようかと」


「わたくしも同じですわ。ラティスだけではジュン様も心許ないでしょうし」


「あたしは単なる暇潰し。口添えくらいはしてもいいわよん」


 城内に入ってから鍛冶工房に来るまでの間に。

ヒューゴ団長、ビッテンフェルト団長、クリムゾン団長の三人がいつの間にか合流。


 そのままの流れで一緒に鍛冶工房に入る事に。


「七天騎士団団長、七人の内四人まで味方に付ける…ジュン君は凄いわね。この光景を見られてたら、益々勧誘合戦が激化するわよ?」


「勘弁してください…ボクは中立ですよ」


 陛下とお話しした通り、ボクもアイシスさんは中立の立場を示している。


 それでもあれやこれやと自派閥へ取り込み為に色んな話を持って来る輩が多くて困る。


 婚約話だけでなく、お茶会の誘い、パーティーのお誘い。ちょっとした観光地への旅行のお誘い。

その殆どが王位継承絡みなんだから堪らない。


 最近では父上に再婚話まで来てるし。

父上は即座に断っているけれど。

ボクとしても、ボクと対して変わらない年齢の女性が継母と言われても困る。


「それよか、早く入ろうよ。此処で話しててもしょうがないしさ」


「ですね。失礼します」


 アイシスさんに促され、中へ。

鍛冶工房のに入ると、まず受付かある。受付から鍛冶場な様子が見る事が出来る。

鍛冶場は熱気で溢れ、鍛冶師は男のドワーフばかり。


 唯一の女性ドワーフは受付係だけのようだ。


「こんにちは。受付はこちらです。仕事の御依頼ですか?」


「はい。筆頭宮廷鍛冶師のジド氏に依頼したいのですが」


「マエストロですか…紹介状はお持ちですか?」


「あ、紹介状はありませんが…」


「私、白天騎士団団長ラティス・バーラントがジド氏を彼に推薦しました」


「この私も彼にジド氏を推薦しよう。蒼天騎士団団長クリス・ビッテンフェルトだ」


「わたくしもですわ。紅天騎士団団長ネーナ・クリムゾンですわ」


「んじゃ、あたしも。燈天騎士団団長ヒューゴ・ニューゲイトよん」


「あ、一応私も。セーラ・マクスウェルです。ジド氏とは面識があります。必要であれば父様からの紹介状を御用意します」


「い、いえ!十分です!マエストロにお伺いをたてます、応接室でお待ち下さい!…それで、ええと…御依頼者の方は…」


「あ、ボクですか。ジュン・グラウバーン男爵です。よろしくお願いします」


「ジュン・グラウバーン男爵?…もしかしてグラウバーン公爵家の?」


「はい。グラウバーン公爵は父になります」


「し、史上最年少で『帝』に至ったあの…し、失礼しました!すぐに聞いて参ります!」


 受付嬢の女性は慌てて走って行った。

応接室に案内くらいして欲しかったのだけど。


「仕方ないですね。応接室ってあそこですかね」


「そうですわ。仕方ありませんから、勝手に入って待っていましょう」


 応接室はそこそこ広い。

けど、全員入ると少し余裕が無い。


「ふぅ…此処まで来て聞くのもなんですけど、ジド氏は依頼を受けてくれるでしょうか」


「難しいでしょうね」


「だが彼の一番腕の良い弟子は紹介してくれるさ」


「それじゃわたくし達が付いて来た意味がありませんわ」


「そうよねぇ…お弟子さんでいいなら、ジュンちゃんが単身で来ても、依頼出来たでしょうねぇ」


「う…」


「そもそも、何故ジド氏は仕事を受けないんです?マエストロにまで成った方なのに」


「さぁ…私は知らないわ。ヒューゴは知ってる?」


「噂程度ならね。何でも鍛冶とは全く関係無い、新しい分野の研究に着手したとか。そっちに夢中で仕事を受けないそうよ」


「へぇ…新しい研究ですか。それじゃ、その研究を始めてから鍛冶仕事はしてないんですか?」


「そうなるんじゃないかしら。最後に仕事したのは確か…四年程前、アイシスちゃんの剣を打ったのが最後じゃない?」


「え?私?」


 アイシスさんの剣?

え?アイシスさんの依頼は受けたの?


「ああ…そう言えばそうだったかも」


「…どうやって受けて貰ったんですか?」


「えっと…七天騎士団に支給されてる一般的な細剣じゃ、私の力に耐え切れずに直ぐ折れちゃって。だからもっと丈夫な細剣をくれって言ったんだけどね」


 …そもそも細剣に丈夫さは余り求められないように思うけれど。今は良いか。


「でね。生半可な腕の奴に打つ剣はねぇ!このナマクラでこの鎧を斬れたら考えてやらぁ!とか言うから目の前でやったの。そしたら受けてくれたよ。タダで」


「タダで!?」


「うん。いやぁ、良い剣をくれたよ?アダマンタイト製で丈夫さは折り紙付きの。今は陛下から下賜された剣があるから、予備になっちゃったけど」


「…その剣を手に入れてから、アイシスの破壊活動に拍車が掛かったのです」


「酷かったよねー」


「道を塞いでる落石を斬るのはいいとして、訓練で勢い余って訓練場の壁まで破壊したり」


「子爵の令息の顎を砕いたのも、その剣だよね」


「アハハーそんな事もあったね」


「笑い事じゃないと思いますけど。何やってるんですか、あなた…」


 ノルンは知らなかったか。

その辺りの話は聞いてたけど、あの剣はマエストロ作だったのか。


「待たせたな。俺がジドだ。…随分大勢だな、おい」


 話しながら待っていると、ジドさんが来たようだ。

入って来た男性はドワーフらしい体格。

そして思ったより小綺麗だ。


 鍛冶場に居たドワーフもそうだったが、ドワーフの男性は髪も髭も長く多い。

特に髭はドワーフの自慢と誇りらしく、伸びるに任せ切らない人が多い。


 でもジドさんは短髪で髭は口髭だけ。

他のドワーフと比べるとかなりサッパリしてる。

物腰が軟らかなら爽やかと言っても良いくらいだ。


「ふうん?七天騎士団の団長が四人。マクスウェル公爵家の娘っ子。それに剣帝。で、依頼主が魔帝…中々に豪勢な顔ぶれじゃねぇか。それで?どんな仕事だ?聞くだけ聞いてやる」


「はい。説明します」


 さて…仕事、受けてくれるかな。

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