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第80話 「見苦しい!」

アイシス視点です。

「ねぇねぇ、アイシスは何貰ったの?」


「私は指輪。レティは?」


「あたしは弓。ダイナは?」


「私は盾だったよ。ティータは…リボン?」


「見た目は只のリボンね…何か効果のあるリボンだと思うのだけど」


「品評会は後にしましょ。あの魔法陣が出てる間に外に出なくてはならないわ」


 おっと、そうだった。

出なきゃ最深部から地上まで登らないと行けない。


 それは面倒くさい。


「じゃあ先ずはティータ達が先に出て」


「はい」


 全員が一度に魔法陣に入れないので先ずは私達から外に。


「…ありゃあ?」


「何かな、こいつら…」


 ダンジョンから外に出ると、そこには帝国の騎士団が待ち受けていた。


 私達の姿を見た途端、臨戦態勢に入った。

どう見ても友好的には見えない。


「…ん?どうかしたんですか?」


 ジュンに続いて、団長達も出て来た。

皆、帝国騎士の姿を見て、体制を整える。


 …見たところ、只の騎士が百程度。

私だけで問題無く瞬殺出来る…ん?


「お?出て来たか。無事、アヴェリー殿下を救出出来たようで、何よりだ」


「エメラルダ様?」


 帝国騎士の壁を割って出て来たのはエメラルダ様だ。

それともう一人は…何だっけ、何とか殿下。


「皆、武器を下げるんだ。彼女達がアデルフォン王国の白天騎士団だ」


「ハリー殿下まで?」


 ああ、そうだ、ハリーだ。

第二皇子のハリー殿下。


 …第二皇子が何で此処に?


「エメラルダ様、これは一体…」


「何かあったのですか?」


「いや、何も。此処まで来たのは実行犯達を引き取りに来ただけだ」


 …それだけにしちゃ、随分数が多いような?


「城に連れ帰らず、別の街で収監し、そこで取り調べをするらしい」


「城に連れ帰ると、兄さんの手の者が口封じするかもしれませんから」


 それを避ける為に、第二皇子がわざわざ?

部下に任せれば済む話じゃ?


「それは…アヴェリーの顔を早く見たくて。葬儀の間、ずっと様子が変でしたから、心配で」


 ああ、うん。

そりゃそっか…普通心配するよね。

第二皇子はまともな人みたいで、安心した。


「アヴェリー…よく無事で…ほんとに良かった」


「心配かけたようで、すまない。ハリー兄さん」


 …感動の再会シーンにしては淡白。

もっと、こう…熱いハグとかあるんじゃないの?


「…帰ったら、嫌なモノを見る事になるけれど…大丈夫かい?」


「…大丈夫だ。私がその場に出ないと、話は進まないだろうからな」


 嫌なモノ?

…ああ、第一皇子と第二皇女の断罪か。

確かに、実の兄姉が裁かれる場になんて、居たくはないだろうな、うん。

私だって嫌だ。


「…すまないね。ストラウド!実行犯達の移送と尋問は任せる。騎士達を率いて確実に遂行して欲しい」


「お任せください、殿下」


 そして、実行犯達はおじさんに任せ。

私達は帝城に帰った。

そして…早速始めるらしい。


 第一皇子と第一皇女の断罪を。


「こ、これは一体…何事ですか、母上」


「に、兄さん…これは只事じゃないわよ…」


 断罪の場は謁見の間。

玉座には皇妃であるジーナ様が座り、その隣にはハリー殿下が。


 そして帝国貴族達が周りを囲む中、第一皇子と第一皇女は立たされている。


 私達もその中に混ざっている。


 アヴェリー殿下はまだ姿を見せてはいない。


「イワン」


「は、はい」


「ヴァネッサ」


「はい…」


「貴方達には失望しました。まさか此処まで愚かだったとは…親として情けない限りです。ゲオルギウスもあの世で嘆いている事でしょう」


「な、何を……それより、何故母上が玉座に座っているのです!そこは私の…」


「黙りなさい」


「「ヒッ」」


 ジーナ様の声は、それほど大きくない。

だけど広い謁見の間に響き渡る声。

その迫力に二人は怯え、小さくなる。


「イワン、貴方は皇帝に相応しくない。それどころか皇族にすら相応しくない。ヴァネッサ、貴女もです」


「な、何をバカな!」


「そーよ!私が皇族に相応しくない?それはアヴェリーの方でしょ!『龍姫』なんて言われて調子に乗ってたけど、本当はタダの引きこもりじゃない!」


「それを貴女が言いますか。引きこもる原因を作った貴女が」


 ああ…何となく想像ついた。

察するに、ヴァネッサがアヴェリー殿下をイジメてたとかだろう。


 実の妹をイジめるとか、平気でやりそうだもん、あいつ。


「な、何を…そ、そんな事より!そのアヴェリーを探す方が大切でしょ!」


「そうですよ、母上。こうしてる間にもアヴェリーは…」


「私がどうかしたか?兄上」


 突然、後ろから現れたアヴェリー殿下に目を丸くする二人。予想外過ぎて理解が追い付けないのか、口をパクパクさせるだけで言葉はでないらしい。


「ア、アヴェリー…無事だったのか」


「ああ。御蔭様でな、イワン兄さん」


「そ、それは何よりね…でも、どうして?」


「どうして?どうして、とは?どうやって此処に戻って来たのか、という意味か?ヴァネッサ姉さん」


「そ、そうよ…だって、貴女…」


「救出されたからに決まっているだろう。そこに居る、魔帝殿達によってな」


「因みに。犯人達は全員、生捕りに成功しました。今頃は尋問を受けてますよ。別の場所で、ね」


「つまり…今回の一件は貴方達の仕業だと判明している、という事です」


「「な…」」


 只事じゃないのは感じていたらしいけど、今になって漸く状況を把握したらしい。


 自分達が崖っぷちだという事を。


 いや、もう崖っぷちじゃなく地の底かな?


「は、母上!これは…!」


「言い訳は無用。証拠は全て揃っています。イワン…貴方は父であるゲオルギウスをバカにしていましたが…ゲオルギウスも貴方を見限っていました。あいつは次期皇帝の器じゃないと」


「わ、私が…器じゃない?」


 因みに。その証拠集めに協力していたのが、エメラルダ様が連れて来た黒天騎士団の二人。


 集めた証拠の殆どが二人の手による物らしい。


「ヴァネッサ…貴女はイワンよりもっと酷い。アヴェリーを引きこもりだとバカにしていましたが、ならば貴女はなんなのです?アヴェリーは戦時には武器を持って前線で戦った。その時、貴女は?いつものように遊んでいただけでしょう」


「そ、それは…だって…」


 言葉使いと物腰こそ丁寧だけど、ジーナ様の迫力は凄い。

まるで私のママのようだ。


「何でもジーナ様がファーブルネス帝国直系の皇族で、ゲオルギウス皇帝は入婿だったそうよ」


「ああ…何となく納得」


 そんな事まで知ってるティータにも驚きだけど。

ジーナ様が直系の皇族というのは納得だ。


「…少し、話がそれましたね。イワン、ヴァネッサ。貴方達は私利私欲の為に実の妹であるアヴェリーの誘拐を計画。その結果、アデルフォン王国に多大な負担をかけ、帝国に更なる窮地に追い込んだ。その罪は重い、決して赦されない物です」


「は、母上!聞いてください!私達は帝国の為に!」


「そ、そーよ!魔帝と剣帝を抱き込めば帝国の利になるでしょう!?」


「見苦しい!」


「「ひっ」」


 初めて語気を荒くするジーナ様。

更に迫力が増し、覇気すら感じる。

その覇気に、イワンとヴァネッサは何も言えなくなった。


「…刑を言い渡します。イワン・イグナチウス・ファーブルネス。ヴァネッサ・ヴィルヘルミナ・ファーブルネスの両名は皇籍を剥奪。平民として、修道院にて軟禁とします」


「なっ…私が平民?は、母上!それはあんまりです!」


「実の娘に対して酷過ぎるわよ!私達がした事の何がそれほどの罪になるって言うのよ!」


 本当に見苦しいな。

権力を持つとああなるのかなぁ…やだやだ。


 うちのパパは……うん、心配ないな。

パパは基本的に小心者だから。その点だけは安心出来る。


「何を言っても無駄ですね。連れて行きなさい」


「は、離せ!私は皇帝だぞ!」


「気安く触るんじゃないわよ!」


 最後まで見苦しく。

喚き散らしながら二人は連行されて行った。


 あの二人はこれから先、決して表舞台に出る事も無く、辺境の地でひっそりと生きて行くんだろう。


 それはきっと、あの二人にとって苦痛の日々。

だとしても自業自得としか思えないけど。


「…アデルフォン王国の皆様には改めて謝罪を。大変御迷惑をお掛けしました。この御詫びは必ずいたします」


「私はもういいさ。本音を言えばあの二人をボコボコにしてやりたかったがな」


「…エメラルダ様、何も言葉にしなくても…」


 エメラルダ様は苦手だけど、そこは同意。

私もあの二人はボコボコにしたかった。


「…今日はもう遅い。アデルフォン王国の皆さんは泊まって行ってください。出来れば…アヴェリーも」


「…あんな事があった後だ。本来なら今すぐに連れ帰りたいとこなのだがな。どうする?ジュンよ」


「…アヴェリー殿下は御家族と話をする時間がとれていませんから。構わないのではないでしょうか。ただし、今回は完全に帝国側で責任を持ってもらいますが」


「感謝します、魔帝殿」


 …ちょっと甘いなと思う人も居るだろうけど、ジュンがいいならそれでいいか。


「それでは、解散。皆、明日から忙しくなります。今日はもう休みなさい」


 ジーナ様の号で解散となり、帝国貴族達は一礼の後、退室して行く。


 私も今日はもう疲れたし、サッサと寝よう…


「お待ち下さい、剣帝殿。それから魔帝殿も」


「え?…あ」


 呼ばれて振り返ると…そこには神の子(チルドレン)教会の大司祭が。


 今まで関わらないようにしてたのに…何でまだいんの?

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