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第63話 「隠したい物があったんじゃないの?」

「此処がそうですか」


「ああ。何にも無いだろう?」


「ですわねぇ。動物も魔獣も居ませんわ」


 帝国の南部で発見された古代文明の遺跡。

それの調査に参加する事に決めたボク達は、エメラルダ様の転移魔法で現地に到着。


 そこは見渡す限り、砂と枯れ木、岩しかない場所だった。

事前に聞いていた通り、遺跡以外はこれといった物が無い場所だ。


「ところで…何故ラティスが居るんですの?」


「エメラルダ様とジュン君の護衛です。貴女には関係ありません」


「護衛など必要ありませんわ。わたくし達が居るのですから。ねぇ、皆さん?」


 クリムゾン団長の言葉に、後ろに居る紅天騎士団の団員が頷く。

クリムゾン団長を含めて五人が紅天騎士団からの参加者。当然、全員女性だ。


「ふん!魔獣が出たらもやしの紅天騎士団では対処しきれないでしょう?壁になって戦える者が必要なのよ。そんな事も解らないのかしら?」


「貴女は脳まで筋肉で出来てるのかしら?わたくし達が魔獣の接近など許すとお思い?翠天騎士団ほどではなくとも、わたくし達とて魔獣との戦いの経験くらいあります。魔法障壁だってあるのですから。そうですよね?エメラルダ様」


「あ?ああ、まぁな。私達、宮廷魔導士もそうそう魔獣に遅れなどとらん」


「ぐっ…」


 流石にエメラルダ様にはラティスさんも文句は言えないらしい。

そう言えば、宮廷魔導士と紅天騎士団は仲が良いんだったか。


「それに、貴女達白天騎士団には罠の察知や隠れてる魔獣の察知など出来ないでしょう?その点、わたくし達なら――」


「それはノルンにお任せください。ノルンは罠の発見、解除の技術があります」


「魔獣の発見とかなら、あたしだって出来ますぅー」


「うっ…」


 ボクが行くならと、ノルンも強引に付いて来た。

白天騎士団からの参加者はラティスさんの他は、ティータさんが隊長の小隊。

ティータさん、レティさん、ダイナさん。そしてアイシスさんだ。


 元狩人のレティさんは魔獣の発見はお手の物。

レティさんは初級ダンジョンのクリア報酬で【五感強化】という、初級ダンジョンのクリア報酬で貰えるアビリティとしては結構良いアビリティを手に入れたらしい。

【視覚強化】が視覚が10強化されるアビリティだとしたら【五感強化】は8。

一つの感覚のみあがるアビリティと比べると、強化率は低いのだが五感全てが良くなるのは魅力的だろう。


「ふ、ふん。ですが、白天騎士団は遺跡探査の経験があるんですの?迂闊に触って物を壊されたりしても、困るのですけど」


「そんな事、貴女に言われなくても解ってます。十分に気を付けるわよ。…アイシスを頼んだわよ、ティータ」


「…止められるか、自信はありませんけど…わかりました」


「…何で私、監視されなきゃいけないんだ?」


「過去のアレコレを思い出して御覧よ、アイシス」


「器物破損で何枚始末書書いた?ここ最近はそうでもないけどさぁ」


「短期間で書いた始末書の枚数のレコードホルダーは未だアイシスなんだよ?」


「……本当に大丈夫なんですの?」


 どうなんでしょう?

ボクも何だか不安になって来た。


「…レクリエーションは済んだか?なら、現段階で解っている事を説明しよう。では、チェザーレ」


「「レ、レクリエーション…」」


「はい。現状で解っている事を説明します」


 エメラルダ様の部下である宮廷魔導士の一人、チェザーレさんによる説明が始まった。

と言っても、あまり分かった事は無いようだ。まだ本格的な探査はしてないのだから、当然だけど。


「ですが分かった事もあります。帝国の筆頭宮廷魔導士ストラウド殿の話では、帝国にこの遺跡についての情報は無く、この遺跡は地上一階、地下五階まであるそうです。それから、恐らくは二千年前以上前の遺跡だろう、と」


「何を見てそう判断されたのですか?」


「地上一階の部屋を見て、です。この建築様式は別の場所の遺跡にも見られ、それらが二千年前の建物だと判明していますので。それに近しい年代の物だろうという事です」


「地上一階は調べ終わっているという事ですの?」


「いえ、クリムゾン様。まだ最初の一部屋のみです。ストラウド殿一行はその部屋を拠点に出来るように、掃除中です」


「掃除?」


「何せ、地中…今や砂漠に埋まっていた建物ですから。窓がある部屋は完全に砂に埋まってますし。窓の無い部屋も埃まみれです。拠点とするには多少なりとも掃除しませんと」


 それも…そうか?

未知の遺跡の探索をするのに先ず拠点作り。その為に最初にするのが掃除…そんなものなんだろうか?


「では、その拠点とやらに向かおうか。ラティス、ネーナ。仲直りしろとは言わないが、遺跡の探査が終わるまでは喧嘩するなよ。他の者達もだ。あまり酷いようなら強制送還するからな」


「……はい」


「仕方ありませんわね」


 不満そうな顔のままのラティスさんとクリムゾン団長だが、取り合えず喧嘩は止めたようだ。

遺跡の地上部分は全て露出している。大きさは…アデルフォン王国王都アデルハイトにある、一般的な男爵家の屋敷と同程度の大きさはあるか。

外見上の作りは…治療院に似てるか?


「………」


「どしたん?ジュン」


「ああ、いえ。何故、地上部分は一階のみで、地下に五階層も作ったのかな、と」


「ん?どゆこと?」


「地下に建物を作るより、地上に作る方が単純に考えて楽だと思うんですよね。なのに地上は一階で地下は五階。わざわざ大変な方を選ぶ理由はなんだろう、と」


「んんん?そりゃあ………隠したい物があったんじゃないの?」


「隠したい物、ですか?」


「そ。貴族家も大金持ちも何か隠す時って、秘密の部屋とか作るけど…その多くは地下にあったりするよね」


 なるほど、確かに。

単純だけど、アイシスさんの見解が正解な気がする。


「ふむ。面白い意見だ。しかし、そうだとするなら、だ。この遺跡には――」


「やはり危険な物が眠っている。若しくは眠っていた、という事ですわね」


 そうなるのだろう。何があるのやら、だ。

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