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第62話 「遺跡があった」

「お待たせして申し訳ありません、エメラルダ様」


「何、私が急に来たのだ。気にする事はない」


 エメラルダ様が待つ、城の応接室へ。

筆頭宮廷魔道士様が来てるならと、バーラント…ラティスさんと副団長のルクレツィアさんも同席。

父上はエメラルダ様と一緒に待っていた。


 アイシスさんも来るかと思ったけど、来なかった。

どうもエメラルダ様が苦手らしい。


「早速ですが、今日はどのような用件で?」


「うん。私がファーブルネス帝国の荒地化の原因を調査しているのは聞いているか?」


「はい。父上から聞いてます。自分から志願されたとか?」


「建前上はファーブルネス帝国からの要請という形になってはいるがな。未知の現象や原因不明の現象など聞くと取り敢えずは自分の眼で確かめたくなるんだ」


 学者や研究者みたいだな。

いや、エメラルダ様は魔法の研究者だから、おかしな事はないけど。


「それで、その事が何か?」


「うん。私は先ず、最初に荒地化した場所を調べに行った。そこは小さいながらも湖のある緑豊かな土地だった。だが今では荒地を通り越して砂漠さ。岩と枯れ木、そして砂以外何も無かったよ。地上には、な」


「地上には?つまり地下に何かあったんですか?」


「うん。遺跡があった。古代文明の遺跡がな。砂漠化した事で地表が削られ、私の探査魔法に引っ掛かって発掘出来たんだ。軽く見た限りじゃ何かの研究施設のような印象を受けたな」


 研究施設…もしかしたら、その遺跡にあった何かが原因で荒地に?


「そう考えるのが妥当だろう。今、現地では私の部下達が調査しているが奥には進ませてない。何があるかわからないしな」


「危険な遺跡なんですか?」


「さあな。少なくとも生物は居ないだろう。居てもアンデッドだろうな。だが古代文明の遺跡には魔法のトラップや仕掛けがある事が多いんだ。そこで、だ。ジュン、君も遺跡の探査チームに加わって欲しい」


「ボクがですか?しかし、ボクにはそういった経験が無く…」


「なら尚更だ。魔導士には古代文明の知識を得る事は大きな財産になるし、領主としても色んな経験をしておくに越した事はない。魔帝なら大概の事態に対処出来るだろうしな。因みにガインは許可している」


 父上を見ると、こくりと頷く。

それなら、行ってみるか。正直、興味あるし。


「そういう事なら我々、白天騎士団がエメラルダ様とジュン君の護衛をしましょう」


「ん?構わないが…探査チームにはネーナも参加してるぞ?いいのか?」


「な!何故ネーナが!?」


「あいつも優秀な魔導士だ。当然だろ?」


「ぐっ…ですが、それなら尚更です!ネーナとジュン君を二人きりにさせるわけには行きませんから!」


「いや、私も行くし、帝国からも何人か参加するから二人きりになんてなれないが…まあいい。なら明日、迎えに来るから人員の選抜と準備をして待っていてくれ。転移魔法で連れて行くから、物資はそれほど要らない。人数は十人以下に抑えてくれ」


 そういう事で。ボクは帝国にある遺跡の探査チームに加わる事に。


 そして、帝国の事なら皇女殿下にも話を聞いておこうかな。


「という訳で、アヴェリー殿下からも話を聞きたいと思って来たんですが…またですか」


「はい。申し訳ありません。直ぐに引き摺り出しますので。少々お待ちください」


「……家具は壊さないでくださいね」


「えー…」


「何で不満顔なんです…」


 何とか家具を壊さずアヴェリー殿下をベッドの下から引き摺り出し。リリさんとララさんが即座に裸にし、アヴェリー殿下を騎士モードに変える。


 毎回このプロセスが無いと、まともに会話出来ないんですかね…


「そうか。あそこにはそんな物があったのか」


「その遺跡があった場所について、何か知りませんか?歴史とか」


「いいや、何も。私が知る限り、あの辺りに人が住んでいた記録も無いし。だからこそ、今まで遺跡を見つける事が無かったんだろう」


 全く手掛かり無し、か。

未発見の遺跡なんだから、当然だけど。


「だが帝国からも何人か参加するのなら、ストラウドも参加するだろう」


「ストラウド…帝国の筆頭宮廷魔道士、キース・ストラウド殿ですか」


「ああ。あいつなら、何も言わなくてもその遺跡があった場所の情報は集めるだろう。それで何も情報が無ければ、帝国には情報は無いと判断していい」


「…素直に教えてくれますかね」


「隠す理由も無いだろう。ストラウドは意味の無い事はしない男だ。大丈夫だよ」


 だといいんですけどね。

まぁ期待せずにいよう。


「…ジュン殿」


「はい」


「貴殿に頼むのはおかしな事かもしれんが…どうか、帝国を、民を救って欲しい。どうか…頼む」


「…出来る限りの事はします」


 戦争は終わったんだ。幸いにして、ボクの大事な人達は皆無事だった。ここで帝国の手助けをするくらい、構わないだろう。


「見事ジュン様が問題の解決を成された時には、アヴェリー様は処女を捧げても構わないそうです」


「え」


「そんな事言ってない!ララ!勝手な事を言うな!」


「ですがアヴェリー様。帝国を救った方に何の褒美も出さないわけには」


「そ、それは…父上が何か出すだろう?」


「ジュン様に直接お願いしたのはアヴェリー様ですよ?ならアヴェリー様が褒美を出さないでどうするのですか?姉さんも、そう思いませんか」


「んー…一理あるかな」


「リリまで…だ、だが私の身体なんて何の魅力も無いだろう?それに私は皇女だし…身体を差し出されてもジュン殿も困るだろう?…そうだ!リリとララの処女なら問題無いじゃないか!」


「私と姉さんに身体を差し出せと?何て酷い主人でしょう。人格を疑います」


「主人を差し出そうとしたメイドが言うな!」


 仲良いなぁ、この人達。

決して羨ましい関係性では無いけど。


 古代文明の遺跡か…果たして何が待っているのやら。

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