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第45話 「楽しみにしているがよい」

アイシス視点です

「アイシス・ニルヴァーナ殿とジュン・グラウバーン殿、参られました!」


「うむ。通すがよい」


 陛下の許しが出て謁見の間に入る。

そこには陛下の他に護衛の騎士や宮廷騎士が並び、他にも財務大臣やら法務大臣やらの大貴族が並んでいる。


 私が見知ってる顔は陛下と大臣達くらい…あ。


「……チッ」


 あいつはさっきの…何だっけ。

何とか辺境伯のお坊ちゃん。

ジュンを見て舌打ちしてる。

ん?私の視線に気が付いたか?何、顔を赤くしてる?

勘違いするなよ?お前には全く興味ないからな?


「ジュン・グラウバーン、陛下がお呼びと聞き、参りました」


「アイシス・ニルヴァーナ、同じく参りました」


「うむ、御苦労。面を上げよ」


「「はっ」」


 この玉座に座る五十代のおじさんが現アデルフォン王国の国王。

ロイ・ナイトハルト・アデルフォン。銀髪で強面、長い髭のあるおじさんって感じだったんけど…少し痩せちゃったな。白髪も増えてるし。

…長男のヴィクトル殿下を失った悲しみは深かったらしい。当たり前だけど。


「アイシスは久しぶりであったな。お前の戦場での鬼神の如き活躍は余の耳にも入っておる。お前の活躍が此度の戦争における勝利に繋がったのは間違いない。無論、お前の活躍が全てでは無いが、お前の活躍は間違いなく大きい。余はお前の功績に報いる事を約束するぞ」


「ありがとうございます」


 …その活躍をしたのはジュンであって私じゃないんだよね…ごめんね、ジュン。


「そして…お前がガインの息子か」


「はい。陛下には初めて御目にかかります」


「うむ…ガインとは全然似ておらぬな。今年でいくつになる?」


「はっ、十五になります」


「十五…気を悪くしたらすまぬが、男よな?」


「は?…あ、はい。男です」


「そうか…いや、すまぬ。十五の男児にしてはこう…美しく見えるのでな。アイシスもだが…」


 陛下…まさかジュンに気があるんじゃ…そりゃ今のジュンの魅力はやべーけど!

それはダメでしょ!


「お前の活躍も聞いておる。僅か十三…いや十二であったか。史上最年少で『帝』に至り、人格も能力も容姿も完璧だとな。ガインだけでなくラティスもベタ褒めであったぞ。それにお前が白天騎士団に魔法を指導した御蔭で誰も死ぬ事なく、終戦を迎えられたと。実に素晴らしい事だ」


「はっ!陛下にお褒め頂き、光栄です」


「うむ。エメラルダがお前に会いたいと言っていたのだ。なぁ、エメラルダよ」


「はい、陛下」


 え?いつの間にか陛下の隣にエメラルダ様が居る…どうやって?

転移魔法?それとも隠蔽系のアビリティか何か?

団長や他の騎士達も驚いてるけど…ジュンは平然としてる。

もしかして気が付いてたの?


「ふむ…ジュンはお前の存在に気が付いていたようだぞ、エメラルダよ」


「そのようですね。いつから気が付いていましたか?」


「…最初からです。ですが陛下のお隣に誰かが居ると魔力感知で解ってはいましたが、それがエメラルダ様だとは思っていませんでした」


「私とは初対面ですからね。魔力を感知出来ても誰の魔力かはわからない…ですが私かもしれないとは思っていたのでしょう?」


「…はい。かなり高度な魔法で隠れていらっしゃったので、可能性として」


 ほへ~…凄いな、ジュンは。

気配の遮断も完璧だったし…私じゃ気付けないな。


 …でも悔しいから練習しよ。


「お前達には『帝』に至った事による陞爵とは別に余から何か褒美をやろう。楽しみにしているがよい」


「え?」


「あの…陛下。アイシスさ…アイシス殿はともかく、私は戦争に出ておりませんので…褒美を頂くに値しないかと…」


「先に言ったであろう?お主の指導の御蔭で白天騎士団は誰も死ななかったのだ。それは十分に褒美を与えるに足る功績である。遠慮なく受け取るがよい」


「はっ…ありがたく」


 あっ、また何とか辺境伯のバカ息子が舌打ちしてジュンを睨んでる。

あいつ、ほんと感じ悪いな。


「それにお主らには今後迷惑を掛ける事が増えそうだからの…」


「は?申し訳ありません、よく聞こえなかったのですが…」


「いや、よいのだ。話は終わりだ、下がってよい。ラティス達も御苦労であった。下がって休むが良い」


「はっ。失礼致します」


 謁見の間から出てパパとママ、セバスチャン達が待つ控え室へ。

パパは汗を流して緊張してたみたいだけど…なんでただ待ってるだけでそこまで?


「何やってんのパパ…」


「だっ、だってお前…パパはもうとっくに騎士を引退した身だし現役時代もこんなに陛下の近くに居る事なんて無かったんだぞ?そりゃ緊張もするってもんじゃない?」


「いやいや…見える位置に陛下居ないじゃん。そんな事で叙爵の時どうすんの?」


「へ?どうするって?」


「叙爵の儀は陛下がして下さるんだよ?陛下が目の前まで来るのに。そんなんで大丈夫?」


「……」


「何も考えて無かったって顔だな…我が夫ながら情けない…」


「どどど、どうしよう、エマ!服とかあったっけ!」


「ちゃんと用意してるよ。明日には出来上がるさ」


「おお!流石我が最愛の妻!エマ、愛してるぅ!」


「やめな、こっぱずかしい…」


 ほんと恥ずかしい…ママはパパの何処にホレて結婚したのやら。


「それじゃアイシスさん。この後は――」


「失礼します。ジュン・グラウバーン殿。筆頭宮廷魔導士エメラルダ様が御話しがしたいとの事。御同行を」


 王城付きのメイドがジュンを迎えに来た。

早速エメラルダ様がジュンと話たいらしい。


「あ、はい…従者も一緒で構いませんか?」


「構わないかと存知ます。こちらです」


「はい。…残念ですがアイシスさん、今日はこれにて。暫く王都のグラウバーン家の屋敷に滞在する予定ですから何かあれば訪ねて下さい。いつでも歓迎します。あ、それと…」


「ん?…わっ」


 ジュンが顔を近づけて耳打ちしてきた…長い事自分の身体だったけど、こんなに顔が近いとやっぱりドキドキする…


「(入れ替わってる間の事は出来るだけ日記につけてあります。ティータさんも大体知っているので補足してくれると思いますから)」


「(あ、うん、わかった。ごめんね、私は日記なんてつけてないや…でも大体の事はノルンが知ってるから)」


「(はい。それでは)」


 日記…日記かぁ。そんな事全然思いつかなかったや。

更に私はノルンにも話してない秘密が…絶対にバレるってわかってるんだけど、言い出せない…


「アイシス。グラウバーンの御曹司と何を話してたんだ?」


「も、もしかして二人は恋仲…なんて事はない…よな?」


「え?あ、うん。恋仲だよ。間違いなく」


 何せお互いの身体を交換しあった仲ですから。

他の誰よりも通じ合ってる!入れ替わりが解けた今でも何かが何処かで繋がってる気がするし!


「ななな!いかん、いかんぞ!お前、昔はパパと結婚するって言ってたじゃないか!」


「そんな記憶ないし。はっきり言って願い下げだし」


「わーん!パパ泣いちゃうぞ!」


「情けないからやめて」


「全くだ。アイシス、お前はこの後はどうする?家に帰るのか?」


「あ、ううん。一度本部に戻る。家に帰れるかはまだわかんないけど、多分、すぐ帰れるよ」


「そうか。じゃ、私達は帰るよ。ほら、行くぞノア」


「うう…一人娘がとられる…」


 やっとうるさいのが帰った。

さて、私も日記の内容を確認しなきゃ。


「おかえり、アイシス…よね?」


「ただいま。気持ちはわかるけど、アイシスで合ってるから」


 二年以上見た目は私、中身はジュンって状態が続いててアッサリと元に戻ったから混乱するのはわかる。ノルンはしないんだろうけど。


「それでティータ。ジュンが日記をつけてたって聞いたけど」


「ええ、これよ」


「どれどれ…」


 わー…細かーい。

結構どうでもいい事も書いてあるな。

報告書だって書いてたろうに…マメだなあ。


「へぇ…スラムの住人と…ん?んんん!?」


「どうしたの?」


 なんっだ、これ!?

ジュンの事だから問題行動はしてないだろうと思ってたけど、ちょっとこれは見過ごせないぞ!?

何やってくれてんの!?

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